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生涯付き合っていくであろう頭痛という名の伴侶についての話。

 ここ数日、頭痛が続いている。元々頭痛持ちではあるものの、ひところに比べるとずいぶん頻度は減ったように思っていたけれど、こうして忘れたころに、集中して痛みそうな日が固まってくる。

 頭痛との付き合いは、覚えている限りだけれど、大体20年ちょっとくらいになる。高校生くらいの時、頭痛が止まらなくなり、痛みで吐きそうになったこともあった。特に冬場、制服の下に着こんだまま、ストーブの熱のこもった教室の中にいるときは何度か死にそうな目にあったのを覚えている。

 そういえば一度、私が小学生のころで、家族と出かけていた時のことだった。たしか三重県あたりの水族館(だったとような気がする。なにかショーがあってそれをとても楽しみにしていたので)に車で行くことになり、いよいよ目的地に着くあたりで、私が頭痛を訴え始めて、しまいには気持ち悪いと吐いてしまったのだ。それを見た母が「まるで二日酔いだね」って言っていたのをよく覚えている。小学生を捕まえて二日酔いはなかなかのお言葉だと思ったし、こんな苦しい思いをするなら酒なんて飲まないと思ったのをよく覚えている。

 話がそれたけれど、時期として一番ひどかったのは、初めて正社員として勤めていたころだった。県内チェーンの、そう大きくない、かといって小さくもない書店だ。週に何度も頭痛を訴える私に、見かねた社長から病院で検査を受けるよう指示を受けたくらいだった。

 結果として何か異常があったわけでもなく、社長も何かあると思っていたわけでもなかったようで、「何もない、というお墨付きをもらっておきなさい」とのことだった。実際、直接的ではないものの、原因もある程度わかったのでとてもありがたかった。

 当時は緊張性頭痛、あるいは筋緊張性頭痛だと言われて、頭痛に原因があること、種類があることに驚きを感じた。頭痛は頭痛だし、なんとなくこういう時に起こる、というのがわかってはいたものの、種類まで考えたことなんて一度もなかった私には、目から鱗が落ちるような話だった。今考えてみると、症状はどう考えても偏頭痛なのだけれど。

 大体頭痛になるときは、首の後ろが重い。とにかくここからくることが多くて、なんとなく、すっきりしないなと思った時点で薬を飲むようにしている。原因はほぼコリからきているようで、当時(今もだけれど)寝不足が原因のこともあるようだった。気圧もよく原因にあげられるけれど、実際のところよくわからない。どちらかといえば、寒暖差アレルギーなので気象で言えばそっちのほうが辛い。

 痛むときは、とにかく右側が痛い。脈打つタイミングでの痛みが常に付きまとって、何をするにも集中できないし、これを放っておくと多分吐き気までたどり着くんじゃないかなと思う。最近は放っておくことがないのでもう覚えていないけれど、学生の頃は薬を飲むことすら考えたことがなかったので、気持ち悪くなっていたのかもしれない。

 あとは音と光がとにかく痛い。静かにしてほしいし目に何も映したくなくなるくらいには不快になる。頭痛持ちにとっては割と当たり前のことかもしれないのだけれど、つい最近その話を同僚にしたところ、ものすごく驚かれた。私は私で、一般的だと思っていたので驚いたのだけれど、頭痛のない人がわざわざ調べることもしないだろうし、知らないのも当たり前なのかな。

 頭痛に関して冷やすか温めるかが割と微妙なところだと思うのだけれど、わかる人はきちんとわかっているのだろうか。偏頭痛は冷やしたほうがいいらしいと今正確に知った私は、お風呂に入ると頭痛が収まったり治ったりするので偏頭痛ではないのかもしれない。相変わらず自分のことがよくわからない。

 この頭痛の痛みが、どの程度のものなのかと問われると非常に困る。といっても、あまり聞かれることはないのだけれど。自分でも、この痛みが、一般的なのかどうかよくわからないでいて、人の痛みがわかるなんて言えばそれは嘘つきでしかないだろうし。ただ自分のこらえ性のなさを自覚している身としては、大して痛くもないのに我慢ができないだけじゃないかと思っているところもある。いや、本人的にはもう何もかもシャットアウトして横になりたいくらいには痛いのだけど。周りの人が頭痛を我慢していたりすると、私はほんとに痛みに弱いんだなぁと心の底で反省する羽目になる。

 近頃は頭痛仲間ができたり、痛みの前兆もほぼ捕まえることができたりしている。仲間だとか友人だとかは異常なほど少ないので大切にしたいとは思っている。(実際には、新しくできた趣味仲間がたまたま頭痛持ちだったというだけであるけれど)

 今も現在進行形で頭痛の予兆と戦っているのだけれど、こうしてキーボードをたたけばたたくほど、肩のあたりがこわばってきて頭痛の確率が徐々に増してきているような気がする。薬が効いているので事なきを得ているけれど、なんだってこんなタイミングで久しぶりのnoteを書こうと思ったのだろう。わかってる、ちょっとエッセイを読んだからだ、影響されやすい私のことだから間違いないのだ。

 ただ、いつものような、抽象的な、鬱々とした、内面をさらけ出した愚痴のようなものではなくて、なにかもっと、具体的な話を書きたいと思ったのだ。多分そんな気持ちになることはそうなくて、あってもおそらく途中で飽きてしまうに違いなくて、なら今、書けるときに書いてみたかった。

 ほかにも趣味のこととか好きなこととか、そういうものに言葉を尽くして書いてみたいとぼんやりと考えてはいるけれど、それが実現するかどうかは、時間と、気分と、頭痛様の都合次第なので、なるべく薬に頼っていない状態を狙っていきたいところである。そんな時があるかどうかは、考えてはいけない。


 生涯の伴侶としては少々刺激的すぎるのだけど、今後も頭痛様の機嫌を損ねずに、共同生活をしていきたい所存であります。





 文筆乱れてお目汚し。失礼いたしました。

 本城 雫


 (久しぶりすぎて名前を忘れてしまいました)

いつも見ていてくださって、ありがとうございます。 役に立つようなものは何もありませんが、自分の言葉が、響いてくれたらいいなと、これからも書いていきます。 生きていけるかな。