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【外国語でコミュニケーションをとる#3】外資系に合格した履歴書に書いたこと
日本では履歴書に関して、フォーマットや書き方が細かく決まっていますよね。一方で、海外では少し書き方や内容が異なります。
私はポーランドで採用されましたが、イギリス系の企業で、採用担当の方々は多国籍だったため、ここでは「ヨーロッパ諸国で通用するCVの書き方」として、私の体験を共有させていただきます。
なんと年齢は記載しなくてOK
日本では履歴書に年齢や生年月日を記入するのが一般的ですよね。しかし、ヨーロッパ諸国、特にポーランドでは、年齢や生年月日を記載する必要はありません。結婚の有無や結婚予定についても、もちろん不要です。さらに、住所の記載も求められません。
企業から指定がない限り、履歴書には、連絡先として「メールアドレス」と「電話番号」を記載するだけでOKです。
これは、「個人情報に関わることは、採用段階では判断材料にしない」という考え方があるためです。採用後に初めて、必要な個人情報を人事部に提出します。
学歴・職歴は新しい順に書く
日本では古い順に書くことが一般的ですが、ヨーロッパでは新しい順(時系列が逆)に書きます。最初は少し戸惑うかもしれません。
また、職務内容については勤務期間や担当業務だけでなく、「どのような成果を上げたか」を具体的に記載するのが基本です。ヨーロッパでは、転職社会であるため、自分が会社でどのように貢献したかをアピールする必要があります。
ただし、実際に採用されると試用期間が設けられ、設定された目標をクリアできるかで能力が判断されます。そのため、過剰に盛りすぎると後で困る可能性もありますが、日本人特有の謙遜は禁物です。
「少し大げさかな?」と感じるくらいが、ちょうど良いと意識してみてください。
アピールしたい項目を自由に追加、目標はA4用紙1枚
資格がなくても、語学力や個人的に努力して得たスキルがあれば積極的に記載しましょう。
さらに、「人となり」を伝える遊び心も時にはプラスになります。例えば、「フルマラソン完走」「登山が趣味」「ボランティア活動」など、仕事に直接関係ないように思えることでも、「自己管理能力がある」「粘り強い」といった印象につながることがあります。
ただし、内容を詰め込みすぎると肝心な部分に目を通してもらえないリスクがあります。バランスを意識しながら、取捨選択して記載することが大切です。
コンサルティング業界で長年活躍している方からいただいたアドバイスですが、「職歴が長くても、アピールポイントを絞ってA4 1枚にまとめるのが良い」と言われたことがあります。特に忙しい採用担当者は、長文に目を通す時間がありません。応募先企業やポジションごとに内容を調整し、必要な情報をコンパクトにまとめることが重要です。
また、日系企業で現地採用の面接を受ける場合、英語と日本語、両方でCVを用意するのも効果的です。例えば、厚めのA4用紙の表に英語、裏に日本語(日本の履歴書の形式)、のように1枚にまとめる工夫をすると、目を引くかもしれません。
デザインは「Canva」を活用、写真は「少しカッい写真」を
特定のフォーマットがないため、Wordで作成する方も多いと思いますが、「Canva」というデザインアプリもおすすめです。シンプルで見やすいテンプレートが豊富なので、「ただ情報を並べる」のではなく、「相手にストレスなく読んでもらう」レイアウトを意識してみてください。
また、日本の履歴書では証明写真が一般的ですが、ヨーロッパのCVではもう少し「格好つけた写真」がおすすめです。例えば、体を少し斜めに向けて腕を組んでいる写真などが定番です。迷ったら、LinkedIn(ビジネス用SNS)で海外のプロフェッショナルたちのプロフィール写真を参考にしてみてください。
もちろん、オシャレさだけが評価されるわけではありません。しかし、「読みやすさ」「整理されている印象」、そして「プロフェッショナル感」は、あなた自身の第一印象アップにつながる大切な要素です。
今だけは「謙虚さ」をちょっと置いておこう
CV作成や面接では、「実績」や「強み」をしっかりアピールすることを何より意識してください。真面目な方ほど、「こんなふうに言ってもいいのかな?」「入社後、期待外れと思われたらどうしよう」と不安になることがあるかもしれません。
しかし、ヨーロッパでは「自分を大きく見せる」のが当たり前です。面接で話したことと、実際に働いてからのギャップがあるのも日常茶飯事。むしろ、多少盛って話すくらいがちょうどいいと考えましょう。もちろん、「嘘をつく」のはNGですが、あなたがこれまで積み上げてきた努力や成果を、しっかり言葉にして伝えることが大切なのです。
また、ヨーロッパでは多くの企業で試用期間があります。入社後に、会社側もあなたの働きぶりを見て判断する時間が設けられているのです。会社は会社でしっかり判断する仕組みがあるので、自信を持ってアピールしましょう。
もう一つ大切なのは、「一緒に働きたい」と思ってもらうこと。面接では、笑顔や話し方、誠実な態度など、スキル以外にも「この人となら良い関係を築けそうだ」と思わせることが、採用の後押しになります。
日本人同士でも「仕事はできるけど、一緒に働くのはちょっと…」と感じることがありますよね。それは海外でも同じです。信頼関係を築けそうかどうかを、採用担当者は見ています。
自分を信じて、一歩踏み出してみよう
「語学に自信がない」「海外で働けるか不安」そんな気持ちもあるかもしれません。
でも、まずは自分を信じて一歩踏み出してみることが、何より大切です。あなたの経験や努力は、きっと誰かに必要とされています。合否関係なく、ちょっと勇気を出して挑戦してみることで、新しい可能性が開けるはずです。
あなたの挑戦を、心から応援しています。
今まで投稿した記事をトピック別にマガジンにまとめています。面接の準備や外国語の習得にご関心がある方は、よろしければこちらからご覧ください。
※この記事ではポーランドを例に挙げていますが、国や企業によってビジネス文化は異なります。履歴書ひとつとっても文化の違いがあることをご理解いただけたと思うので、今後のリサーチやコミュニケーションの参考になれば幸いです。
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