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【海外の職場の人事事情#5】誰が先輩で、誰が後輩?
日本では、年齢が1年でも上だったり、入社年数が早かったりすると「先輩」となり、上司も年上の人が多いですよね。もちろん例外はありますが、ヨーロッパ諸国、特にポーランドでは、年齢は先輩・後輩の関係に全くといっていいほど影響しないんです。
先輩・後輩は年齢でも勤務年数でもない
ヨーロッパ諸国、特にポーランドでは、「人生の先輩」として年上の人を敬う文化はありますが、基本的に年功序列の概念はなく、「先輩・後輩」という関係自体がほとんど存在しません。仕事においては、肩書きやポジションが重視され、レポートラインとして上下関係が明確に定められています。
また、年齢を尋ねること自体がタブーとされているため、同僚の年齢を知らないケースも珍しくありません。たとえ入社年数が長くても、自分より下のポジションの人は日本でいう「後輩」にあたり、逆に年下でも上のポジションにいれば「先輩」となります。そのため、年上の後輩や年下の先輩がいることも一般的です。
日本のように日常的に敬語が使われることは少なく、基本的には下の名前で呼び合うのが一般的です。ただし、企業によっては「Mr.」「Ms.」といった敬称を使ったり、肩書きで呼んだりすることもあります。
日本文化を理解している企業では、「〇〇さん」とさん付けで呼んでくれる場合もあります。より親しい関係を築きたい場合は、自己紹介の際に「〇〇と呼んでください」と伝えたり、「〇〇さん」と呼ばれたときに「〇〇でいいよ」と返したりすると、自然に距離が縮まりやすくなります。
若く見られてしまう人は、経験をアピールしよう
日本人は海外で実年齢より若く見られることが多く、ビジネスの場面では不利だなぁと感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。というのも、「若く見える = 経験が少ない」という印象を持たれがちです。
若く見られてしまうことで悩んでいる方は、わざわざ年齢を伝える必要はありませんが、機会があれば 自分の経験や実績をさりげなくアピールすると良いでしょう。
普段の会話の中で、仕事やプロジェクトの話になった際に、実績やスキルに触れるのも良いですが、自己紹介の場が最適な機会です。こちらの記事で海外での自己紹介の仕方を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
普段の仕草も意識して堂々と!
英語に自信がなかったり、新しい職場で緊張したりすると、その不安が表情や態度に出てしまう ことがあります。私自身、同僚と食事していたら「身振り手振りや仕草が日本人っぽい」と言われたことがあります。決して悪い意味ではなかったのですが、自分で意識してみると、相槌の回数が多かったり、ジェスチャーが細かすぎたりすることが、そう見られる原因のようです。
堂々としているように見せるには、相槌を打つことは大切ですが、細かく頷きすぎず、適度に短いコメントを挟むのが良いでしょう。また、ジェスチャーをする際は、場面に応じて大きめの動作を使うと、自信があるように見えます。
さらに、「自分は周りより劣っているのではないか」「英語が上手じゃないのではないか」と謙遜しすぎると、その気持ちが表情や態度に表れます。会社に行く前やミーティングの前に、「自分は優秀だ」「自分は堂々としている」と何度も言い聞かせると、少しずつ自信を持って堂々と振る舞えるようになります。
レポートラインを意識して、信頼関係を築こう
日本ほど先輩・後輩や年齢を気にする文化はありませんが、レポートラインはしっかり意識する必要があります。
契約社会だからこそ、それぞれのポジションの職務内容や、誰が上司・部下なのかが明確に決まっています。そのため、たとえ「先輩」だと思っている人から仕事を振られても、その人に業務を指示する権限があるかを確認することが重要です。毎回上司に確認するわけにはいかないため、事前に組織の構造を把握しておくとよいでしょう。もし判断に迷う場合は、その「先輩」ではなく、まずは上司に相談するのが適切です。
レポートラインを守ることは、「会社との契約を遂行する」ことにもつながります。自分のポジションに求められる職務内容や責任を理解し、適切なレポートラインを意識して働くことが、信頼関係を築くための基盤となるでしょう。
今まで投稿した記事をトピック別にマガジンにまとめています。【人事関連】にご関心がある方は、よろしければこちらからご覧ください。
※この記事ではポーランドを例に挙げていますが、国や企業によってビジネス文化は異なります。肩書きひとつとっても文化の違いがあることをご理解いただけたと思うので、今後のリサーチやコミュニケーションの参考になれば幸いです。
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