育児エッセイ「トマトの間引き」
この春 小学生に上がった次女が「植物を育ててみたい!」と言い出したのが3月の終わり頃だ。
去年、しまじろうでお馴染みのこどもチャレンジの付録(?)で育てていまオジギソウが途中から育たず、結局花を付けることなくサヨナラしてしまったことが哀しかったらしい。
しかしながら、私は大の虫嫌い。
家の中に虫が入らぬよう、常に細心注意を払っているし、毎年この時期になれば家の周りに蜂が来ないよう、「蜂が巣を作らないスプレー」なるものを秋まで毎月欠かさず巻き続けているし、庭は一切造らず、全面砂利の駐車場だ。(もちろんアリよけコンバットも等間隔で置いている)
そんな我が家で植物など屋外で育てられるわけがない。
しかしながら、子どもの「植物を育てたい」という気持ちも大切にすべきだと思うのだ。
そこで買ってきたのがこのペットボトルタイプの水耕栽培キットだ。
セットも簡単。屋内の日当たりの良い場所に置いて、週一で水を変えるだけ。
しかも土を使っていないので虫の心配も少ない。
これならイケるのでは??と今月頭に3つ本屋さんで購入した。
一つ目はミニトマト。
これは主役の次女セレクト。
全ての野菜の中でトマトが一番好きな彼女にはピッタリだろう。
二つ目はワイルドストロベリー。
こちらは今年小3になった長女セレクト。
一番成長に時間がかかり、実をつけるまで半年ほどかかるらしいが、「秋には妹ちゃんとパパのお誕生日があるから、その時のケーキに乗せられるね!」と言うのだからまだまだ素直で可愛いものだと思う。
そして3つ目はミント。
こちらは私のセレクト。
え?ミントにした理由??
ミントは虫が嫌いで虫除け効果があるとどこかで聞いた気がするからです。
念には念を入れねば!
そして、育てること数週間。
順調に芽が出て、最も成長の早いトマトは背丈が5センチほどになった。
ここで次の工程。
間引きである。
まあ、小さなボトルだし、芽が出た全ての苗を育てるのはスペース的に無理があるのだろう。
最終的な間引きの目安はミントは10本程度、ワイルドストロベリーは5本程度。そしてトマトはなんとたったの一本だという。
ちなみに今トマトの苗は5本程度だ。
つまり、1本だけ残してあと4本はサヨナラしなければならない。
なんとなく、この事実を知ったら次女は泣くような気がした。
少なくとも結構なショックを受けるだろうな、と。
そして、そのことを伝えた瞬間、案の定それまでの上機嫌とは打って変わった悲壮感に満ちた表情になった。
どう見ても順調に育っている苗を抜かねばならないのだから、当然だ。
「なんで抜くの?かわいそうじゃん!全部元気に育てたい!」
そう訴える6歳児の言い分は何も間違っていない。
私だって、別に全部育ててみてもいいんじゃない??と思う。
だが、ここで私が折れて上手に育たなかったらオジギソウの二の舞になってしまう。
それは避けたい。
説明書通りに育てて失敗したならまだしも、書いてあることを無視して失敗したら絶対に後悔したと思う。
なので、次女には
(漢字ばかりの小さな文字がつらつらと書かれた多分読めない)説明書を読んで説明した。
じっくり何度も話をして、ようやく「わかった。その方がおいしいトマトができるんだね」と納得してくれた。
「脱いちゃった苗ちゃんにはちゃんとありがとう、って言うね」とも。
親バカ極まりないが、本当に優しい子に育ってくれたな、と嬉しくなった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?