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この家どうするの?(60)ひとくぎり

父なき、一軒家のかたづけ。わたしは、おなじ市内の賃貸マンションで、のんびりオットと暮らしていた。週2回、ゴミ出しの日に実家へ通う。
そろそろ3か月、ひとくぎり。
(1015文字)




解約とは消滅

父の銀行口座の凍結を皮切りに、支払い関係の清算をすます。凍結といっても、とけるものではなく消滅というべきか。
もはや存在しない口座。


「事務手続きの関係で、引き落としできなかった金額は、後日、請求書がお家に届きます。ご了承ください」


消えて滅ぶ口座。
父の口座はふたつだけ。
ラクだった。ほぼ預金もなく。
ラクと現金は反比例。



ケーブルテレビ


クレジットカード払いだったので、カード会社に連絡。現金主義の父が、めずらしい。年金生活者でも作れるカードがあるんだ……。きっとケーブルテレビ側の提携で案内したのだろう。


世はカード決済の時代。
ほかに月々の定額支払い・買い物はないか? 父はスマホなしで、サブスクなんて知らない世代。しばらく様子を見るが請求書のたぐいは家に来なかった。


親のスマホのサブスクまで気がつかない、とかいう話もよく聞く。
スマホのロック解除すら。あとで請求が、わんさか来るらしいから助かりました。


「ケーブルテレビの回線は撤去しますか?」
工事用の車で家に来た担当者。
電話一本で解約完了だと思っていたのに訪問とは。


設置と撤去はセットなのか。
回線の再利用とか、空き家ならトラブルもありそう…いろいろ勉強になる。親の死で、じぶんの無知さや要領のわるさが出るわ、出るわ。


「回線を置いておくと、ケーブルテレビ再契約のときの工事代が、かかりませんよ」


だれもいない家だし、テレビなんて。




くぎりにおもう

かたづけが、ひとくぎり。
頭をよぎるのは、この家どうしよう。


不仲の親だったので家に執着もない。
家じたい、必要ない。


四十九日のとき、お寺さんがいうには
「親なきあと、たまに窓をあけたり、掃除するという人も多いですが。
家は……住む人がないと、水まわり(水道関係)から、すぐにダメになっていくのです。」


家の劣化……
家にも寿命、いのちがある。
どうしたものか。
ずっと家に来て空気の入れ換えをするつもり?


めんどうだ。この家を売ろう。
ボンヤリ考えていた。
それで、かたづけをしていたのだ。


「回線は、置いといてください」
はんたいのコトバをはきだした。


なぜかは、わからないが。




(つづきます)

いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに


さいごまで お読みくださり
ありがとうございます。


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