天上のバレエ・地上のダンス(42) 文化教室のバレエの先生
百貨店の文化教室の講座。いまでいう「デパートのカルチャースクール」のバレエ講座に中学生女子が入会。1970年代後半。
おおらかな時代でした。
文化教室のバレエ
いろんな趣味の講座。百貨店のお買い物がてら、ちょっと習い事。
多彩な講座に、マダムやシニア、学生割引。
百貨店の文化教室は、なんちゃって習い事・お試し隊の人で、にぎわっていました。
まちで開講している師匠に、じかに入門するのは気がひける。お金もかかるし、やめられないし。
そこまで本気でなくカジュアルにレッスン。
本気の親子がだけ本部に直接入門。
バレエもその典型でした。
どのジャンルの師匠も各地の百貨店で開講し、生徒の裾野をひろげ優秀な人材は本部に吸い上げる……
「文化教室の講座は、バレエ団の支部教室なので発表会も全員参加ですよ」
先生のことばに中学生以上・初級クラスは、ざわめいた。
中学生のわたしと、ほかにも中学生2名、あとは高校生ひとり。
生徒は4人のクラスでした。
こころある指導
4人とも、何らかの事情で幼少の頃はバレエができなかった。
やっといま、バレエのレッスンしてる、嬉しいというのが、見れとれる。
いつもまじめにストレッチ。はみかみながらも楽しそう。
ギクシャクとしたカチカチのバレエ。
こどものころから習っているバレリーナにはおよばないが、バレエの喜びが背筋から、つたわる。
先生の背中からもつたわった。
先生は教えるのが、すきなのかな?
先生も、中高生でかなり大きくなっている生徒たちをバカにせず、丁寧に教えてくれた。
なんかいも何回もバレエの動きの細かいところを説明。
だだしい手足のポジション。
だだしい軌道のカラダの動き。
わかるように動いて見せてくれました。
基礎を厳しく。きっちりと。
余談だが40年近くのちにネットの時代になった。
その先生らしき人のバレエスクールのホームページを発見した。
たしかに百貨店の文化教室の先生の顔。娘さんと一緒にバレエスクールを運営……とある。
わたしが中学卒業のころ。
この先生は、お腹が大きくなり重そうにクラスの指導をしていた。いよいよ出産で、別の先生にすこし交代した。
代わりの先生は、なんとなくなじめなかったのです。なにか違和感がありました。
上からものを言われているような。
大きくなってからバレエをする女の子の気持ちや悩みがわからない先生だった。
ちいさいころからやっている人は先生のお手本をみるとすぐ踊れる。すぐ動ける。
けど中高生のわたしたちには、体の動かしかたの理論的な説明が必要だったのだ。
指導のしかた、なにか違う。
わかりにくいなと思っていました。
あとあとわかること
ホームページの先生のプロフィールを見て、ほんとうにおどろいた。
「高校生のとき○○バレエ団入門」
「本部にてバレエ団の公演に多数参加」
「△△百貨店で講師をつとめる」「○○バレエ団を退団、娘とバレエスクールを主宰」
わたしが中学生のころは、そこまでわからなかった。先生もちいさいころからバレエを習って指導者になったんだと思った。
高校生からバレエをはじめた
それで丁寧に説明して基礎を教えてくださってたのか!
この一文は、わたしを勇気づけた。
この先生のおかげかもしれない。
きっとそう。それしかない!
この先生にバレエを習ってなかったら……
最初に習った先生に
しらないうちに
たくさんの勇気や希望を教えてもらったのです。
百貨店の文化教室から始まった、わたしのダンス。
その先生にいまでも感謝しています。
いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに
さいごまでお読みくださり、
ありがとうございます。
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