毛染めおことわり
銭湯にいくと、まだまだある。
「毛染めおことわり」「毛染禁止」。
こんな貼り紙が令和のいまでも残っています。
公衆浴場の銭湯でなにするものぞ。
(1201文字)
そもそも「毛染め」とは
「ヘアカラー」「染毛剤」のたぐいです。オシャレ染め・白髪染め。髪の毛に色を入れたりする行為。ふつうは美容院で施術してもらいますよね。
銭湯の下駄箱(いまは「靴入れ」というそうです)コーナーや、脱衣所・浴室にも、注意書き貼り紙があります。
銭湯で「ヘアカラー」?
すっぽんぽんで、ヘアカラーの紙箱を持って浴室に入る。そしてビニール手袋を両手に装着……。
むかしの銭湯であった迷惑なこと。
むかしのヘアカラーは、目に痛く鼻にも強烈な刺激臭。揮発性で鼻がもげるほどのヘアカラー製品の品質。髪が染まるのに時間がかかる。染毛料とかパーマ液は、ひとによっては荒行・苦行でありました。
それでも白髪と引きかえに。
いまなら、グレイヘアや白髪も個性の時代。
当時は「お婆さん」一択。老け見え回避に白髪染め、でした。
家でできない毛染め
なんで銭湯で「ヘアカラー」?
50年ぐらいまえは、家におふろがなかったからです。
洗面台もない家もあり、台所の流し(シンク)で手洗いもしていました。
家には、子どもが大勢いる時代。
あの刺激臭は、子どもにはダメ。
電子レンジや掃除機などの電化製品もなく家事時間は長い。美容院はぜいたくなイベント。
銭湯で髪の毛を染めるぞ、お湯もたくさんあるし。……なんて短絡な考えか、はたまた合理精神か。
そんな迷惑行為の「銭湯の毛染め」。
わたしは、さいわいにも?毛染めの最中を見たことがありません。
マナーとおもいやり
それでも銭湯にいくと、
かつての犯行現場を、かいま見るのです。
床のタイルの、一部黒っぽいスジ。茶色いシミ。湯アカではない不自然な取れないヨゴレ……。
しかし、毛染め料を髪にのばし、ビニールのヘアキャップをかぶって、あの刺激臭をまきちらす。あの状況。あのすがた。カッコわるすぎます。
浴室にいたひとは、ホント迷惑だったろう。その最中に番台に通報できなかったんだろうか?
あかんことだと、わかりつつ。
見て見ぬふりをしたのか、口止めされたのか。
「毛染めおことわり」
いまでも、たまにあるそうだ。
もう、よごれたタイルを交換するにも業者さんもなく。もちろんおなじタイルもない。
「毛染め後の洗髪は100円」
そうそう、色落ちしてお湯が茶色くにごる。
苦肉の策の折衷案もありました。
(いまの染毛料は質が良く、毛染め後の洗髪で色落ちがすくないです)
「毛染めお断り」
銭湯で、この注意書きを見る。
むかしを
おもいだしたりするけれど
はだかになっても
マナーと思いやりは脱がないで。
いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに
さいごまで お読みくださり
ありがとうございます。