天上のバレエ・地上のダンス(44) 文化教室の発表会②衣装から学ぶ
半世紀前のバレエ。わたしのバレエは、百貨店の文化教室の講座から。週に一回のレッスン。
のんびりと発表会の練習開始。
先生の創作バレエ
バレエといえば「白鳥の湖」
有名な古典作品は、バレエ団の団員や本科生が踊ります。
毎日の過酷なレッスンのたまもの。
文化教室のクラスは、本気度もダンス能力も(経済力も)ない、趣味の生徒のあつまりです。
それでも文化教室・上級クラスは、幼少からレッスンしてトゥシューズを履いていました。
発表会の振り付けは、クラシック音楽を用いた先生のオリジナル作品です。
バレエスクールの発表会で、あるある。
海の妖精・花の妖精・ちょうちょ・いろんなどうぶつの役……
よくわからない「踊るメルヘンちっく」な創作バレエ。あれです。
若さゆえ
発表会の先生の創作バレエ。どんな踊りかは忘れてしまいました。
そんなに難しい振り付けではなかった。
忘却のかなた。あなたは、どなた。
しかしなにも覚えていないということは、可もなく不可もなく。
さして苦労せず覚えもよかったのでしょう。
文化教室クラス・タイトルは『森の夜明け』
幼児・小学生の生徒が、たぬき・うさぎ・ちょうちょ……。
中学生初心者4名は「森の妖精」
「森の妖精たちが、すがすがしい朝を知らせます。
目覚めた、森のどうぶつたちと楽しく踊ります」
……物語も事件もオチもない、おとぎ話ふうのバレエです。
いまから思えば笑っていまします。恥ずかしい。
「バレエおどれる!」鼻息だけは荒かった。
わたしは、はじめての発表会で、キューっと舞いあがっていました。
衣装は手づくり
振り付けが終わったころ。
「来週は針と糸などの裁縫道具を持ってきてください」
先生がおっしゃる。衣装は自分でつくるのだ。
森の妖精の衣装は、
みどり色のスムース地のレオタード(練習着)に、うすいスカートを手縫いでつけると説明がありました。
先生が、生地や材料などすべて揃え、わたしたち生徒は3000円ぐらいの材料費で衣装代はOK。
貸衣装だったら高くて、とてもわたしは、お金払えない。
助かった……
先生、ありがとうございます。
古典芸能
華やかな古典作品のオデット姫やオーロラ姫は、衣装ひとつでも、決まった色・かたちがあります。
役柄に合った衣装。服がキャラクターを語ります。
古典芸能の能や歌舞伎は、振り付け・衣装も、なにもかも「厳しい決まりごと」がある。
しぶんで勝手な振り付け・衣装・アクセサリーはつけられない。
バレエもおなじ。伝統美の厳しさ。
それでバレエは「クラシックバレエ」というのか……
古今東西・伝統芸能の奥深さ。
時代は変わっても、古典は変わらない。
ほんとうに、何でも勉強になりました。
先生のしごと
また先生の仕事は、たんにバレエの指導や、振り付けだけではない。
こまごまとしたことも全部、先生はできないといけない。
何でもできて、大きくなってからバレエを習う生徒をバカにせず教え、恥をかかせない先生。
この文化教室のバレエの先生は、母のいないわたしにとって有り難い存在でした。
うすいスカートの生地を4人分、ハサミでサーッと切る先生。
この生地は「チュール」というのよ……
たぶんチュール、ソフトチュールだったと思う……バレエの衣装の布だ。
このチュールも、たくさんの種類があった。
やわらかくきめの細かいチュール。
網のような穴が大きく硬いチュールなど。
幾重にも折りかさなり、バレリーナを優雅にみせる。たいせつな衣装。バレエは踊りだけではない。
どんな、ちっさいことでも、
いっぱい気がついたほうがトクやな。
家庭環境が悪いわたしは、
外で学ぶことがすべてでした。
いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに
さいごまでお読みくださり、
ありがとうございます。
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