まぼろしの…にしなり銭湯スタンプラリー

2022年5月6日 14:42

水分多めの　おはなし。
「銭湯」だから、ほぼ水分。ほぼ、お湯ですね。
わたしは水場が、すきなのです。

銭湯

今は『銭湯』と、呼んでいますが、わたしが子どもの頃は『お風呂屋さん』『おふろやさん』でした。
八百屋、肉屋…と、おんなじ、お店。個人経営のお店。

わたしはそんな『おふろやさん』に通っていた最後の世代です。

1970年、大阪万博が開催された頃。どこの家にも、お風呂が、まだ設置されていませんでした。
お風呂は外の『おふろやさん』に、お金を払って入っていたのです。銭を払って商品のお湯をいただく。だから銭湯。

(家に、お風呂がないなんて…ヤダ)と思う人もいると思います。今は何でも家にある便利な時代ですものね。

普通の町の風景に、いつもお風呂屋さんの煙突がありました。

その翌年、我が家にお風呂が設置され、わたしの銭湯通いは終わりました。
銭湯。『おふろやさん』は、いまでも子どものわたしに戻る場所。50年前の。ちっちゃな、わたしに。

2018年・大阪銭湯スタンプラリー『おおさか湯らり』開催

開催期間　2018年2月6日～9月30日
大阪府下の銭湯30軒が参加。

15軒 × 2チーム(桜チーム・亀チーム)の構成で、台紙がわりの「手ぬぐい」(1000円)を購入。
「手ぬぐい」にスタンプを押してもらい銭湯を巡るイベントがありました。

銭湯に行かなくなって、銭湯の存在さえ忘れていた自分。スーパー銭湯には行ったりしていたものの、懐かしさもあり、にわか銭湯ファンの、できあがり。

おふろやさん、まだあった！

ワンコイン500円のノスタルジー。

銭湯の暖簾のれんをくぐる。
下駄箱に靴を入れてアルミの平たい鍵をかける。ガラスの扉を横に開ける。カラカラと扉がすべる音と同時に「いらっしゃいませ」
最初に入浴料を払う。
おんなじだ。
番台ばんだいと呼ぶ、すこし高い台になったところ。
ここに、女将おかみさんや大将たいしょう(店主)が座っていて、入浴料、入浴後のドリンク代の受け取り、入浴中のトラブルがないか見回り。洗濯や毛染めなど禁止を徹底して見回り。
司令塔。高い台に座って番をしているから「番台」というのかな。

番台は、ロッカーがあり服を脱ぎ着する脱衣所の中にある。常連さんとの挨拶や世間話。
「どこそこで、交通事故…」
「○○さん、大もうけして豪邸に引っ越し…」
「とうとう○○の嫁はん、出ていきはった…」
とりわけ番台の女将おかみさんは何でも知っていた。
オトナの話。こどもゴゴロにも面白く、銭湯に行けば、近所の「どうでもいいニュース」がいつも生放送されていた。
湯上がりのフルーツ牛乳を、ちびりちびり遅く飲む。脱衣所の面白い話を聞くのが、すきでした。

そして「悪さをすると、ここでみんなに言われてしまう」ことも。
いまの言葉で「晒される」ということですね。

個人情報の保護もなし。ご近所情報が飛び交う、番台と脱衣所の空間。
楽しいおしゃべり。愚痴。はだかのつきあい。銭湯に行けば何でも、わかった。今のネットのように。

いろいろな銭湯を巡る。
おふろやさんの、大きく深い湯船は、わたしの身体や人生も何もかも包みこむ。
若返った気もするし、何もかも、すっきりと清潔に。
湯上がりのドリンク。懐かしい。瓶入りの牛乳は何十年ぶりか。気持ちの良さは格別なスタンプラリーでありました。

「番台」が「フロント」というホテルのやスーパー銭湯みたいな受付に変わっている銭湯もあり、時代の流れを感じました。

そして、2020年。
なんと大阪で、ふたつの銭湯スタンプラリーが、ほぼ同時に開催されることに！

(1)『おおさか湯らり』規模が大きくなって再登場。
(2)『にしなり銭湯スタンプラリー』

『にしなり銭湯スタンプラリー』

大阪市西成区おおさかしにしなりくの銭湯10軒をめぐるスタンプラリー

開催時期 2020年
3月1日～6月30日の予定でした。

『にしなり銭湯スタンプラリー』
終了していますが、詳細はこちらです。

画像の一部です↓

大阪の銭湯スタンプラリー
ふたつ…

『おおさか湯らり』60軒。
『にしなり銭湯スタンプラリー』10軒。

多すぎて両方は巡れない。
その頃、わたしは習い事で西成区へ通っていたのです。
わたしはホントに運がいい。

西成区の銭湯10軒を巡ろう！

10軒、行けるかも。
大阪市西成区。銭湯が、たくさんあり巡りやすいのです。
どこの銭湯も14:00~とかお昼過ぎの開店が普通ですが、西成区の銭湯の多くは、朝早くから

お湯が、わいている。

わたしは晩ごはんの時間に帰宅する主婦。「朝風呂」というのも、朝活のようで時間を有効に使える。
わたしの住んでいる湾岸の区から西成までは、そんなに遠くない。

習い事など、いろんなラッキーが重なって無事『にしなり銭湯スタンプラリー』を10軒、巡ったのでした。

最初に行った銭湯。
スタンプラリーの紙をください。と申し出る。
「えっとスタンプラリーやね、ちょっと待ってね」あたふた慣れない番台の女将さん。
「銭湯巡り、気をつけてね」フロント式の銭湯で掃除機を操る女将さん。

声をかけてもらえる。
初めて行く銭湯なのに。

脱衣所では、やっぱり常連さんたちが、いろんなお話しで盛り上がっていました。
変わらないところだ。銭湯。

この令和の時代にも銭湯がある。
わたしも銭湯の女将さんの歳になったんだ。
若女将わかおかみさんもいる。
昭和～平成～令和。いつの間にか時間は流れていたのです。
わたしは、おかげさまで平穏無事に暮らしている。
普通の平凡な暮らし。
町の変わらない銭湯。
10軒の西成区の銭湯、ありがとう。

印象に残った銭湯
玉水温泉さん

「たまみず　おんせん」
水という字が入っている。嬉しい。
この玉水温泉たまみずおんせんさん、外観は、よくある大阪の町の銭湯。

ハーバルスチームサウナ
唯一無二。

スチーム(蒸気)のサウナは数あれど、本物の植物…ハーブと呼ばれる乾燥した薬草の香り。まさにハーブ浴。
脱衣所にハーブの見本もありました。
この玉水温泉さんのハーブのスチームサウナ室の外観は面白い造りですよ。

脱衣所・浴室ではスマホの使用禁止です。わたしの、目ん玉カメラで記憶したイラストをご覧ください。

個性派ぞろいの西成区の銭湯。
印象に残った銭湯は、まだまだありました。

残念ながら、にしなり銭湯スタンプラリーもおおさか湯らりも3月末で中止になりました。再開のお知らせもありましたが…再開かなわず、