シンママの娘 (10) 新ママと新ババ
出産というもの。どうなるかは誰も知らない。どんなに若かろうが美しかろうが。時代がかわっても。
妊娠を終わらせるしかない
臨月の入院。これがフィナーレではないことを、わたしは知っている。
ここからが始まりです。
どういう始まりかたかは、誰もわからない。
娘の入院後、病院より呼び出されました。昼間に動けるのは、わたしだけ。いや、あとひとり連絡しているはず。
娘の旦那さまは何をしてるのか?連絡つかなかったのか?
もういい!頭のモヤモヤを消して。じぶんが病院へ急げばいいだけ。
「妊娠高血圧を治すには、妊娠を終わらせるしかないのです」
お医者さまの説明が…わからない。
終わらせる? モヤモヤを消した頭の中、次はグルグル。 落ち着いて。
緊急帝王切開
そういうことか。トシをとってくると理解力も低下します。新ババへの入口。
「一刻でも早く赤ちゃんを出産すれば、血圧が下がるのです。
妊娠を終わらせるには帝王切開を…」と、お医者さま。
そしてすぐ同意書やらの紙が出てくる。ゆっくり見る間もなくサイン。
「ちょうど今、手術がなく空いているので、緊急帝王切開術とします」
「こちらで、お待ちください」看護師さんに言われるまま、待合室へ。
あとひとり、わたしのような女性が待っていました。
令和元年。まだ病院に入れた。
食品は差し入れ厳禁になり、この頃からだんだんと世の中が厳しくなっていくのです。
ここから始まる娘と初孫の人生。やっとこさ、ではなく、ここからなのです。
新米ママの娘
どれぐらい待ったか、そんなに待っていないと思う時間。
分娩室とは違うところに入ったベッド。ドアが開いて赤ちゃんが先に出てきた。
保育器に赤ちゃん、まご…孫だ。
ちっちゃい女の子。超音波診断で聞いていたとおりの。
お医者さまとすぐ、どこかに消えていった。いろんな処置があるのですね。
じぶんの時を思い出す…23年前だ。
わたしも、血圧が上がり点滴を受けた。点滴から始まったのです、わたしの産後と育児は。
続いて娘のベッドが出てくる。
「おばあちゃま、おめでとうございます」看護師さんの声。わたしは新ババ。
新ママの娘。意識はある。
娘に、なにか声をかけようとしたが言葉は出なかった。
なんて言えばいいのか…? よそよそしく、「お疲れさま」
あとで看護師さんに「お姑さんです?」といわれたほど。
こっちの方が恥ずかしかったです。
まずは新生児室
病院事情も最新の育児も、わからない。特に育児では、でしゃばり厳禁。
世代間のズレは深い溝。実の親子であっても。
次に娘に会ったのは病院の個室。
点滴している娘。お乳が張るなど、育児スタートの個性が出てくる。みんな違う。
赤ちゃんは? ナースステーション横の部屋に、赤ちゃんは一列に並んでいる。
ここは赤ちゃんの治療室かしら、新生児室とかいうのかな。忘れてしまいました。
始まりは母子別室。
赤ちゃん室の面会、娘と旦那さまは顔パス。
あとは、「新ジジ・新ババ」のみの特典。なんと1回きり。叔父・叔母・友人などは不可でした。
3日後に母子同室
安静にしている娘。3日後に母子同室。赤ちゃんと一緒。
個室に入るには、ナースステーションに知らせて首から下げる札を借りる。
わたしとオットは毎日、様子を見に行った。赤ちゃんより娘の事が心配らしい。娘はとにかく頑張った。妊婦時代も。
さぞや嬉しかろう。しかし体調不良のためか顔色は……
旦那さまが来ないのか…?
あんまりだというか。やっぱりだというか。
授乳グッズから始まる時代のズレ
わたしは、なにも言わず見守りました。それより。娘と孫のことに集中するのだ。
動きづらそうであるが容赦なしの授乳。そうだった。娘は母乳より、「人工乳(ミルク)を希望していた。
ミルクの入った哺乳瓶。抱っこして赤ちゃんに。
また育児やりなおしだ。忘れている。
娘が孫を抱っこしている腕の下は、なんかフワッとしたものがある。浮き輪のような。
「授乳クッション」。そういえば娘は、お祝いでもらったはず。しかも2個も。人気の育児グッズなのだろう。
育児グッズ、これは要チェックや。
いつも こころに うるおいを。
水分補給も わすれずに。
最後まで読んでくださり、
ありがとうございます。
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