オンライン稽古③

対面の稽古より、オンラインのほうが優れていることもあるのは発見でした。

ひとつは、お弟子さんが受け取る情報量がオンラインだと圧倒的に少ないので、逆にわかりやすいと思っていただけるところです。

また、これは当たり前のことですが、移動に時間がかからない、という利点があります。
お仕事や家事の空き時間に稽古を受けられるので、いつもなら月2回が限度という方も、オンラインでの稽古は回数を増やしておられました。
オンラインでは実験的に、お月謝を定額制で受け放題にしたこともあり、ほとんどの方がいつもの2倍から5倍の稽古量に。
振りや注意点を忘れないうちに次の稽古日が来るので、稽古の習慣がつき、よく覚えられると好評でした。

さらに、質問がしやすいとのお声もありました。
対面の稽古だと次にお待ちの方がいるので、なかなかゆっくりとお話しできません。
オンラインですと完全にマンツーマンですから、時間いっぱいまでお一人お一人に向き合うことが可能です。
但し後半はご予約が混んできたので、オンラインでも多少急ぎ気味になりましたが…。

逆に、やっぱりオンラインでは難しいこともたくさんあります。

いちばん大きなデメリットは、言葉に頼りがちになること。
舞踊は本来「言葉=アタマ」でなく「動き=カラダ」で覚えていくものです。
言葉にしてアタマだけで考えてしまうと、舞踊の大切なものが抜け落ちてしまう可能性があるような気がします。

また、師匠の息づかいや、気迫のような「目に見えないもの」は画面を通して伝えることが困難です。

こう考えると、オンラインは「振りを覚える」「所作のかたちをなぞる」のが得意。
そして対面は、目で見ることができない「ニュアンスや思いを伝える」ことに適しているのかもしれません。
(続きます)

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