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心を整えるために見落としがちなもの2

実体のないものが消耗するのはなぜ?

私たちは時々「心が疲れた」などといいます。しかし私たちの体内に心という臓器はありません。実体のないものが消耗するとはどういうことでしょう? 

心とは現象です。あえてドライに記すと、脳が伝達された情報を処理することで生じるものです(心が実体のない現象であるというのは、ヨガや仏教といった哲学の世界でも大きく矛盾はしていません)。

脳も体の一部です。他のパーツ同様、スタミナ切れや不調が起こります。しかも脳はエネルギーを非常に多く必要とします。重さは体重の2%程度なのに、消費するのは全エネルギーの20%。もし必要な摂取エネルギーが不足してしまったら……想像するとゾッとしますね。

脳の休息ばかりに注目がいくけれど

脳が快適に働くためにはブドウ糖、アミノ酸、必須脂肪酸、リン脂質、ビタミン、ミネラルといった栄養素が必要です。果たして私たちは日々の生活でこの6つの栄養素をバランスよく摂取できているでしょうか? 

また、脳を休息させるというのはマインドフルネスなどの流行でかなり普及してきました。瞑想やヨガをすると集中することで無駄に脳を使わず、脳が休まります。脳内の燃費も改善できるかもしれません。

しかし、休息の習慣ができたとしても、大前提として必要な栄養が足りていなければ、日々無理やり鞭打って脳を働かせていることになり、不具合が生じるのは当然です。同時に、感情のコントロールに関わる脳内ホルモンのセロトニンなども作られず不足してしまいます。脳にはかなり酷な状態です。当たり前すぎて忘れがちですが、栄養は侮れません。

相性で食べる

瞑想やヨガをしても心がもう一つ落ち着かないという方は、もしかしたらタンパク質などが不足しているのかもしれません。特にベジタリアンの方は、豆類でカバーできているつもりでも、実は体質と合っていなかったというケースを時々お見かけます。

余談ですが、私自身がそのケースです。以前、肉・魚を食べない(卵、乳製品は食べる)ゆるいベジタリアンでした。豆類でタンパク質を摂取していたつもりでしたが、食べ方によっては胃もたれを起こすことがたびたびありました。おまけに半年ぐらいしたら気力・体力が落ちてしまったので、魚は食べることに変更。元気を取り戻しました。

私は先祖が海の側で暮らしていたので、DNA的に魚のタンパク質が合うのかもしれません。その人と先祖が生まれ育った土地の食材を食べる=地産地消というのが、基本的に体には合いやすいのではと最近では考えています。例えば、肉食のイヌイットの人たちにベジタリアンになれ、というのは無理な話だと思います。既に消化酵素や栄養吸収などが肉食用に変わっているのではないでしょうか。

食べ物との相性に個人差はつきもの。今の食生活と自分の心と体を観察してみてください。

食べることは自分をアップデートすること

心を整えるためにもう一度見直したいもの。体力、体調、そして食事。脳のためにも必要な栄養を摂りましょう。

私たちは私たちが食べたもので出来上がっています。もし自分にタグをつけるなら、どんな原材料が記されるでしょう。肉体は約60兆個の細胞で形成され、細胞は日々入れ替わります。数年経てば体の全ての細胞の入れ替わりが完了。知らぬ間に私たちは新しい肉体へとアップデートしているのです。どうせ更新するなら、改悪よりは改良の方がいいですよね。

今の私たちは、私たちの食生活が作り出したもの。さらに、今の食生活が
明日の心と体を作るのです。


参考文献 

『食べ物が変えれば脳が変わる』生田哲 PHP新書


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