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富士丸持ち帰りが神だったよっていう日記

次の日が休みの旦那が、夜の10時頃にふと呟いた。

「明日富士丸が食いたい」

そう呟かれたのなら食べたくなるのがヒトというもの。二人とも一瞬で富士丸のおくちになったのであった。

富士丸とは、所謂二郎系ラーメンのお店。二郎で修行したお弟子さんが開いたお店だそうで、詳しいことは良く分からないが、とにかくとんでもない中毒性を持つラーメンを提供している。

スープの一口目が衝撃的。甘じょっぱい醤油ベースのスープに浮かぶ甘みのあるアブラ。舌から脳に旨味が直撃して思考が飛ぶようだ。いやおそらく飛んでいる。

たべおわった直後は腹パンがすぎるので心のなかでは(もう暫くは全然いらないよ…)と思うのだが、3日後くらいにスープの味を思い出して唾液腺がしっかりと働く恐ろしいラーメンだ。

その味を思い出した私と旦那は、明日は朝も昼も食べずに富士丸に行こうと約束した。

ふと、最近は持ち帰りに対応してくれることを思い出した。

「持ち帰ってゆっくり食べてみたくはないか」

そう提案すると旦那はうんうんと頷き、楽しみだと小躍りしていた。その後朝の8時までネットフリックスを見ていた。

次の日の18時10分、大きめの鍋とタッパー2つを抱えてお店を訪ねた。

開店時間は18時だが、すでにお客さんでいっぱい。並びもいる。

食券を買い、店員さんに持ち帰りであることを告げ、鍋とタッパーを託して待つこと15分ほど。

あちあちのスープが入った鍋、たっぷりのクタ野菜とゆでたまごと豚、にんにくが入った大きなタッパー、別皿アブラが入った小さめのタッパーが返ってきた。

食材それぞれの温もりを感じながら帰路につく。

旦那は「2人前の麺てもっとあるかと思ってた」と袋に入った茹で前の麺を見て寂しそうにいうが、茹で前だからだよ。彼は料理をしないので、どれくらい膨らむのかがわからないのだ。

帰宅してさっそくタッパーをあける。ふんわりと湯気が立って具材が現れた。


テンションがやばい。二人してニヤニヤしていた。

さっそく麺を茹でる。絶対に全部一気には食べられないので、少し残して茹でることにした。旦那は「俺めちゃめちゃ食べるよ?」と不満気だが、必ず後悔することを私は知っているので、無視した。

そもそも、私は二郎系ラーメンの味はとっても大好きなのだが、食べるのは遅いし、一気にたくさん食べられないので少し悩んでいた。

店舗では、麺1/3、野菜少なめ、ニンニクアブラ、無料トッピングの生卵と日和ってオーダーする。

それでも腹パンになる。最後には豚がキツい。美味しいのに、好きなのに、ちょうどよい満足感を得られる量がどれくらいなのか分からなかった。

麺1/3でオーダーしても、絶対に1/3じゃないなと思いながら食べているので、今回はゆっくりお家で時間を気にせず食べられると思うと、それだけでワクワクした気持ちになるのだった。

袋に入っている麺の2/3ほどを茹で、スープをあたためた。ほとんどの麺を旦那の丼に盛った。

野菜、ニンニク、豚、ゆで卵を盛り付けて完成だ。
テンションはMAXだった。


旦那用

生卵を隣に用意して、いただきます、とスープを啜った。

ひりつくような旨味が口内を駆け抜ける。レンゲを掴む右手に力が入った。

これだ。これである。一口目が正直旨すぎてびっくりする。

つづいて麺を啜る。太めで小麦の主張が強い富士丸の麺。噛むほど小麦の甘い味が滲んだ。

そして野菜。クタクタに茹でられた野菜をスープに浸して食べると、いくらでも食べられそうな気がする。

最後に豚。見た目は大きく荒々しくも柔らかしょっぱく煮られていて、家でこんなものを食べていいのだろうかと、謎の罪悪感が生まれるほどである。

全体を通してうまい。うますぎる。さらに生卵に麺をつけて食べると、まろやかになってまた違う美味しさで蕩けそうになった。

問題の量も、大変美味しく食べ終えられる量だった。

途中豆板醤やラー油を加えたりと、家でしかできない味変をしながら食べ進められたのもよかった。豆板醤は激おすすめである。試してほしい。

時間を気にせず、楽しく、美味しく、ちょうど良い満腹感で「ごちそうさまでした」と手を合わせた。

まだ具材と麺とスープが余っている。明日も美味しく食べることができそうだと思っていると旦那が言う。

「麺、全部茹でなくてよかった……」

苦しそうに腹をさすりながらも満足した顔に、ほらみたことか、と笑って返した。

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