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大食い動画から学ぶ「つい見ちゃう」コンテンツの作り方
はじめに
まずはこの動画をご覧ください。
細身の美女が巨大すぎる二郎系ラーメンをガツガツ食べる様は圧巻であり、爽快感すら感じます。
大食い系の動画は「やっていると、ついつい見てしまう」という人が多いのではないかと思います。TVではおなじみのフォーマットですが、最近ではYoutubeでも大食いチャレンジ系の動画が増えてきました。そこで今回は大食い系Youtuberにスポットを当て「なぜ大食い動画は人気があるのか?」を考察してみたいと思います。
今回参考にさせて頂いたのは、次の10人。いずれもYouTubeで確かな実績のある猛者達です。
統計でみる大食いYoutuber
まずはこの10人の動画パフォーマンスを比較してみましょう。
総合再生数、チャンネル登録者数ともに王者・木下ゆうかが圧倒的であり、他の追随を許しません。しかし動画一本あたりの再生数でみると、自身で料理もこなす谷やんが僅差で木下を破っています。また、比較的新顔である三年食太郎はアップ動画数こそ少ないものの一本あたり再生数が第3位であり、勢いを感じさせます。
動画一本あたりの平均時間
動画の時間は人によってかなりバラツキがあります。注目すべきは、王者・木下の平均時間がかなり短いことですね。
再生数と時間のグラフを重ねてみました。動画の時間と再生数には、あまり関係がなさそうなことがわかります。
TOP30動画の公開時期
各 Youtuberの再生数TOP30動画の公開時期の割合を比べてみます。昔からやっている木下ゆうかやデカキンは過去の動画の割合が大きく、逆に最近の動画はいまいち再生数が伸びていないようです。一方でYouTube参戦歴が一番古いMAX鈴木は過去1年に作られた動画がランクインしており、ここにきて再生数が伸びているようです。他のYoutuberも、最近の動画の方がパフォーマンスは高いようです。
タイトルによく含まれるキーワード
動画タイトルの単語を分析してみます。明らかにみなさん使っているのは【大食い】タグで、これは何の動画か視聴者に瞬時に理解させるための必須テクニックと言えるでしょう。他にもカロリーを明示する、自分の名前を入れる、食べ物のデカさを強調するなどの、再生数を伸ばすための細かいノウハウが見えてきます。
人気の大食い動画によく出るメニューとは?
大食いのみなさんは、どんな料理を食らっているのか調べてみました。
5位:ハンバーグ
子供から大人までみんな大好きハンバーグが、まずはランクイン。芸人のネタにもなるくらいですし、その国民的人気度は間違いありません。
4位:ステーキ
THE・肉料理の王様。1位になるかと思いきや、まさかの4位。食べ応え、見応えは充分ですけどね。
3位:チーズ
様々な料理と相性が良く、伏兵として大食い料理に忍ばされる事の多いチーズ。ボディーブローのように腹に溜まるチーズは、古来から多くの大食いタレント達を苦しめてきました。
2位:丼
何丼かは問題ではありません。とにかく丼であることが重要です。あらゆるものをなんでも放り込める丼物スタイルは、まさに大食いチャレンジにうってつけの料理スタイルです。
1位:ラーメン
圧倒的な人気を誇りTOPに立ちました。巨大ラーメンチャレンジは視聴者の心を震わせ、大食いYoutuberなら避けては通れない道なのでしょう。
大食いYoutuberから学ぶコンテンツ作りのヒント
本題です。なぜ大食い系の動画は「ついつい見てしまう」のか?
その理由を考えてみました。
「食」は本能であるから
食べることは生存に直結した行為であり、「食」というテーマはそれ自体が私達の本能を揺さぶるコンテンツです。大量の食物を豪快に捕食する様は原始的な「強さ」を想起させ、私達は無意識のうちにそこに引き込まれているのかもしれません。
大食いはスポーツであるから
「フードファイト」という言葉もあるように、大食いはすでにひとつのスポーツとして確立されています。圧倒的な物量の食事を短い時間で食べ切るには強靭な肉体が不可欠であり、著名なフードファイター達は日々のトレーニングを欠かしません。その姿は記録に挑戦するアスリートそのものであり、私達はスポーツを観るのと同じ感覚で、大食いに熱狂するのです。
見た目とのギャップが面白いから
大食い企画に欠かせないのが「大食感だけど、なぜか細身の美女」です。まさに人体の神秘。一見普通の女子が信じられない量の料理を平然と平らげていく様子は、それだけで強い見た目のギャップがあり、めちゃくちゃ面白いです。
ありえない大きさが非日常を感じさせるから
大食いの魅力と言えば、通常の何十倍かと思わせるような巨大な器に盛り付けられた料理でしょう。遠近法が完全に狂っているのではないかという構図は、正に不思議の国のアリスもびっくりな非日常。特大ラーメンを見ただけですでに満足している自分がいます。
本人と一体化してしまう臨場感がすごいから
食は私達にとって非常に馴染み深い行動であるため、大食い動画は簡単に当事者が共感できるという性質があります。チャレンジに必死に取り組む挑戦者を見ているうち、いつのまにか自分が当事者になっているかのような没入感を抱いてしまいます。大食いチャレンジを見た後は、自分もお腹がいっぱいになっているような感覚になる人も少なくないのでは。
チャレンジの結果が気になるから
大量の料理を制限時間内に食べきれるのか、食べきれないのか?視聴者としては気になりますね。途中で見るのを止めてもいいものの、つい結末が気になって最後まで見てしまったという経験はないでしょうか?
料理にストーリーが見えるから
大食いのメニュー自体に背景やストーリーが見えると、なお動画が奥深くなります。自分で料理ができるYoutuberは積極的にこの手法を取り入れ、大食いにまた違ったコンテキストを付与しています。食べるだけでは終わらない、それがこれからの時代の大食いに求められるのかもしれません。
大食いYoutuberから学ぶ動画再生数を上げるコツ
最後に、Youtubeで大食い動画再生数を上げるためのヒントをまとめました。数が多いので箇条書きで。
・美味しそうに食べる
・湯気は超大事
・画質は命
・行儀よく食べる
・メニューへのコメントは編集時に字幕でカバーする
・競技感を出す
・サムネイルとタイトルには総カロリー数を明記する
・サムネイルとタイトルに料理の重さを記載する
・サムネイルとタイトルに料理の数を記載する
・サムネイルとタイトルにメニュー名を記載する
・タイトルには【大食い】を入れる
・チャレンジしたお店の情報をきちんと紹介する
・動きの少ない部分は編集で早送りする
・激辛チャレンジする
・たまには自分で料理する
・カメラはやや斜め上から撮ると料理の大きさが際立つ
・制限時間つきのチャレンジは経過時間をリアルタイムで出す
おわりに
私達は大食い動画を見る際、頭だけでなく身体も刺激されているのだと感じました。まさに本能直結型のエンターテインメントであり、真剣勝負のスポーツなのだと。果敢なチャレンジを続ける大食いYoutber達に心からのリスペクトを贈りたいと思います!
Thank you.
Good Influence.