最適なCVボタンを求めて10業界・100社のLPを分析した
多くのマーケターにとって、CV(Conversion)の獲得は至上命題です。CVR向上のためのLP設計には様々なポイントがありますが、ファーストビューにおけるCTA(Call To Action)は特に重要です。
CTAは一般的にボタンの形で表現されます。どのようなCTAが最適かを記した書籍はいくつもありますが、実際のところ、どのようなCTAが採用されているのでしょうか?
今回は、それぞれ異なる10業種・100社の実際のLP事例を調査し、ファーストビューにおけるCTAがどのように表現されているのかをレポートします。調査対象はスマホのLPに限定しています。
CTAに使われるテキストの平均字数は10.6字
いわゆる「お申し込みはこちら」などに代表されるCTAテキストの平均字数は10文字をやや上回りました。
CTAテキストは業界によって基本となる形が異なりますが、逆を言えば業界が同じならどの企業もほぼ同じCTAテキストを用いています。例えば英会話商材では「無料体験レッスン」というキーワードがどのLPでも使われていますし、保険商材では「資料請求」というキーワードが使われています。
キャッチコピーの平均字数は14.5字
LPの中で最も存在感のあるコピーの字数は平均で15字をやや下回る文字量でした。
キャッチコピーは顧客に商品のベネフィットを伝える上で欠かせない要素ですが、あれもこれも言い過ぎては逆に何も伝わりません。簡潔に商品の魅力を表現する必要があります。また、情緒的であるよりも機能的なキャッチコピーの方が具体的な利益をイメージしやすいでしょう。
SPEEDAのLPは短いテキストの中でうまく商品のベネフィットを表現できています。キャリアカーバーのLPは具体的な年収額を示すことで顧客の利益がわかりやすく提示されています。一方、ニチガスでんきのLPは抽象的なコピーであり、具体的にどの程度お得になり、どう生活が変わるのかがいまひとつ分かりません。
CTAボタンで一番多い色は「赤色」
ボタンの色のTOP3は赤、オレンジ、緑の順であり、セオリー通りの結果となりました。上位3色だけで全体の7割近くを占めています。
一方で、この結果はやや注意して見なくてはいけません。なぜなら「一般的に効果的だと言われているから」という理由でこの3色を採用するケースも多いと考えられるからです。自社のLPにとって最適なCTAカラーは何色か?という点はそれぞれがきちんと検証すべき点かと思います。
CTAボタンにアクションマークをつけている割合は56%
アクションマークの位置は40%が「右側」
過半数以上の企業がCTAボタンに何らかのアイコンを付随させており、その中でもボタン右端にアイコンを設置するケースが圧倒的多数派でした。
一般的な人間の視線の導線を考えると、右端にアイコンがあるのは自然な形に見えます。
CTAテキストの長さとキャッチコピーの長さは相関関係にある
CTAボタンそのものに使われるテキストと、ファーストビュー上にあるキャッチコピーのテキストの文字数は、正の相関関係がありました。
これは効果の話というよりも、なるべく情報を多く提示したい性格であるか、なるべくすっきりと見せたい性格であるかという担当者のタイプに依るものも大きいと考えられます。CTAテキストにせよキャッチコピーにせよ、適切に検証を重ね最適な字数を模索すべきでしょう。
CTAテキストで最も使われる単語は「申し込み」
CTAテキストで最も用いられている単語は「申し込み」でした。ついで「無料」という単語を使う企業が多く確認されました。「申し込み」は業種に関係なく使える汎用的なフレーズですので、多用されてしかるべきものでもあるでしょう。
上述した通りCTAテキストは業界の特徴が顕著に表れ、各社が共通のフレーズを活用する傾向があります。英会話のLPは、ほぼ全ての会社が「無料体験レッスン」という単語を使用しています。
LPから個人情報入力までの移動ページ数の平均は3.5ページ
最初に着地してから何らかの個人情報(メールアドレスなど)を記述しなくてはいけないページに達するまでの平均ページ数は3.5でした。
このプロセスは業界によってかなり特徴があり、詳細な情報が必要な保険商材や、電話・回線系は長めのプロセスになります。一方、SaaS系は大半のサービスが1ページ目ないし2ページ目には、個人情報(大半がメールアドレス)の取得に移っています。
70%以上の会社がファーストビューに価格表記を「していない」
過半数以上の企業が、LPのファーストビューに具体的な金額を表記していないことがわかりました。
価格はあらゆる業界で重要な検討要因となります。低価格を武器にできれば記載した方が効果的かもしれませんが、割高感を感じられると逆に離脱の原因となるでしょう。多くの企業が価格をTOPに提示していないという事実は、なかなか興味深いものがあります。
まとめ
今回調査して明らかだったことは、各社とも競合のLPを強く意識しているということです。業界が変わればCTAの表現や訴求要素は多様に変化しますが、同じ業界内においては驚くほど似たような表現や訴求を行っています。
それぞれの業界ごとにセオリーは当然ありますし、勝ちパターンがある程度類似するのは自然なことです。しかし同業他社が軒並み同一のパターンを用いれば、その効果も減じられてしまうでしょう。
他者を参考にし、自社でも検証を重ね、さらに新しいアプローチを常に考え続けること。この3点が現在のデジタルマーケティングにおいて重要なアクティビティだと言えそうです。