ネパールからのサステナブルなファッションとは
私がネパールで服作りを始めたのは、1998年のことです。その時、日本では、まさにファストファッションが生まれ始め、80年〜90年初頭に見られたファッションブランドが勢いをなくし始めていました。
1995年からイギリスの大学院で国際関係学を学び、開発学、環境学の存在を知った私は、その当時からサステナビリティー、持続可能性という言葉の重みを認識していました。現代の人々が地球に負荷をかけながら、物質主義に進んでいくことの怖さを思い、何とかしてそれを止めなければという思いがありました。少なくとも、それを傍観し日本で流されて生きていけない自分がいました。
「なぜ、ネパールで?」とはいつも聞かれることですが、一つはサステナブルなファッションブランドをネパールから作ってみようという途方のない夢を思いついてしまったからです。
それから20年以上経ち、本当にアパレルの大量廃棄の問題が深刻な問題となりメディアに取り上げられるようになった今年、コロナウイルスが世界中のアパレルの動きを止めてしまいました。
衣食住の衣、である場合生活必需品としての服。それを安く大量に消費し、廃棄するということは、地球にとってもう限界なのかもしれません。
一方、ファッションは、文化であり心の潤いです。私はこちらの意味での服がとても好きです。お洒落をすることの喜び、生活に与えてくれる豊かさを大事にしたいと思っています。
地球に優しく、心にも潤いを与えてくれる、そして持続可能なファッション
それが受け入れられる時代が必ず来るだろうと思ってしまった私は、それからネパールに住み、苦節16年後の2014年に日本に帰国し一つ目のブランドNature and Creation を立ち上げ、その一歩を踏み出しました。そして今年は、いよいよ会社を作り活動を始めた矢先の強制ストップです。でもこれには意味があるのだろうと思っています。
今までのスピードを強制終了。しばらく停止して考えてみることを、地球から求められているのだと思います。本当に今までは何もかも早すぎます。
ネパールからの最初のブランドのキャッチは、スローファッションでした。
大量生産のアパレル会社が見向きもしない、インフラも整っていないネパールでは、その当時から今まで、昔ながらの手仕事を中心にした生産体制を維持しています。つまり、手染め、手紡ぎ、手織りです。
そして、ネパール人の家庭や文化を大切にする暮らしとゆっくりしたリズム。これは、これからの時代には見習うべきことなのかもしれません。かつての日本がそうであったように。
ガンディーは、イギリスからの独立運動の時、たった一人で糸車を回して糸を紡ぐことを始めました。しかし、この行動から何百万という人が糸を紡ぎ、布を作りました。それがカディーという布です。それをきっかけにしてイギリスからの輸入の服が売れなくなり、インドの独立にも繋がっていったそうです。ガンディーの思想、手仕事と人々の連帯が歴史を変えたことを知り感動しました。
今、私のネパールの工場でもインドの手紡ぎの糸を仕入れてカディーを織っています。本当に100%コットンの味のある布は薄く涼しく、快適です。そしてそのような布で作られた服は、愛着を持って長く着ていただけます。
ネパールからお届けするサステナブルファッションは、
*伝統的な手仕事を守ること
*自然素材のみを使用すること
これにより、社会を守り地球を守ることにつながっていくものです。
コロナの収束は、きっと新しい価値観をもたらすに違いありません。