『アイカツアカデミー!』の魅力について改めて考える(5)

いろいろな角度から『アイカツアカデミー!』(以下、略称の「デミカツ」とも表記)の魅力を改めて考えてきましたが、ひとまず今回で一区切りとなります。

最後に、『アイカツアカデミー!』が進む先にいったい何が待っているのか、予測というよりは期待希望、さらには若干の妄想も含めてお話ししたいと思います。

(※いわゆる「メタ的な話」を多く含みます。そういうのが苦手な方は閲覧にご注意ください)



『アイカツアカデミー!』が導く新たな世界

『アイカツアカデミー!』は「作品」でもある

アイカツアカデミー配信部以外の配信者さんを以前より愛顧している方々は疑問に思ったこともあるのではないでしょうか。少なくとも私自身はある時、こう思ったのです。

「配信を追っているだけなのに、なぜこんなにも従来作と同じ感動を覚えられるのだろう?」と。

それが、前にも触れた「配信部の面々はアイカツのアイドルそのものである」という事実について深く考える機会となりました。

みえる、メエ、パリンの3人によって『手作りのアイドル活動』を行うために創設され、後にたいむが加わり現在は4人で活動しているアイカツアカデミー配信部。YouTubeを通して配信される日々の活動が『アイカツアカデミー!』の物語そのものと言えます。
「アイドルの活動はひとつの物語に等しいと言えるのではないか」というのは、本来であれば哲学的な領域のお話でしょう。(もちろん素敵な考え方だとは思います)
しかし、デミカツはそれを本当に「物語」にしたのです。彼女たちが「アイカツキャラのアバターを用いて活動する配信者」ではなく「アイカツのアイドルそのもの」となることによって。

常に努力と奮闘を続けるアイドルたちの物語。今までのアイカツシリーズ作品と比べると本当に身近な距離感で、我々はそれを見守り、応援することができています。
そんなアイカツファンとしてはあまりにも幸福な日々の中で、こんな考えも浮かぶことがあります。

「もしかすると、アイカツの世界が現実の世界に重なりつつあるのかもしれない」

だとすれば、『アイカツアカデミー!』が我々に与えてくれる体験には、もうひとつの解釈が見えてきます。そしてそれこそが、今回のお話で最も述べたかったことでもあります。


視点を変えると見えてくること

従来のアイカツシリーズの作品世界と我々の世界との間には、相互のコミュニケーションを通さない境界、いわゆる「第四の壁」がありました。アニメ作品またはゲーム作品なのだから当然のことではあります。

では、『アイカツアカデミー!』の世界と我々の世界の場合はどうでしょう。
繰り返しになりますが、設定上のデミカツ世界は我々の世界と極めて近いながらも、アイカツアカデミーという巨大なアイドル養成学校が存在し、アイカツシリーズの影響力が非常に強い並行世界です。

とは言え、そこで活動する配信部の面々と我々とは、配信内のチャットなどでコミュニケーションの認識がお互いに可能、つまり「第四の壁」は存在しないと言っても良いでしょう。
つまり、デミカツ世界と我々の世界の境界は非常にあいまいです。だとすれば、こうも考えられないでしょうか。

これは「『デミカツ世界のアイドルファン』になれる体験」なのかもしれない、と。

「アイカツの素晴らしさ」が広く認められている世界、それは多くのファンにとって理想郷と言えましょう。我々の世界がその状態に辿り着くには、きっとまだまだ時間が必要です。
我々は配信部のアイドルたちの活動を追い、応援し、見守っている中で、まだ見ぬ素敵な世界を一足早く体験しているのかもしれません

この強烈な没入感こそ、『アイカツアカデミー!』が生み出そうとしている「新たなアイカツの世界」なのではないか、それが私の現在の考えです。

もちろん、ここまでの話であれば他のコンテンツにおいても、アバターを用いた配信やメタバースなどの手法を用いて追究されていることもありましょう。
しかし、デミカツが我らアイカツファンにもたらしてくれるかもしれない、そしてアイカツファンだからこそ素晴らしさを十二分に理解できる「その先」のことを、最後に考えてみます。


配信部と共に第四の壁を超える

(※先にお詫びしておきます。
これから述べようとしていることは私の空想です。
現在の段階では、予想ですらありません)

配信部のアイドルたちが語った言葉があります。

「いつか、先輩の皆さんと同じステージに立ちたい」

実現のハードルはなかなか高いでしょう。アイカツシリーズのライブイベントは原則として「演者」が舞台に立つものですし、デミカツが始まってからも過去作のライブイベントは当然そのような形式で行われてきました。

しかしその一方で、彼女らは従来のアイカツシリーズ世界との間にある第四の壁を超えることに成功しています。自らを「アイカツのアイドルそのもの」にすることで。
そして同時に、我々の世界との間にある第四の壁は常に曖昧となっている。

だとすればスペシャルアイドルコラボレーションは、ほんの数分の間ではありますが、「我々の世界とアイカツシリーズの世界を地続きにしてくれた」と言える気がするのです。

ならば、もしもいつか配信部の夢がかなって、アイカツシリーズの先輩たちとの共演が実現したならば。
ライブやトークを交えた大規模な催しが開催されたとしたら。

その時こそ――

アイカツシリーズの世界と我々の世界が、デミカツを通して一つに繋がるのではないでしょうか。

夢をかなえるために日々の活動を頑張るアイカツアカデミー配信部。そんな彼女たちを応援するファンの夢も、いっしょに叶えてしまうかもしれない。

まさに「みんなで作る新たなアイカツ」

この先に何が待っているのか、楽しみでなりません。


おわりに(噛み砕いたまとめ)

文章を綴るうちに熱が入ってしまい、とんだ大袈裟な物言いになってしまったことを重ねてお詫びいたします。
ただ、自分の正直な想いではありますため、大きくは修正せずそのまま公開させていただきました。

結局のところ、『アイカツアカデミー!』の魅力は「身近さ」「没入感」、そして「従来作に通じる感動」にあるのだと考えています。
(全5回、合計14000字以上語っておきながら、噛み砕いたら一言でまとまってしまいました……)

これは自分の主観ではあるのですが、デミカツのリスナーさんにはチャットの文面に優しさを強く感じる方が多い印象があります。
各々の人間性の良さもきっとあるとはもちろん思います。それに加えて、意識するしないに関わらず「アイカツのアイドルと同じ空間にいる=同じ世界の住人になってるとも言える」という感覚から、この世界を素敵なものたらしめたいという想いが生まれるのかもしれない……そう考えたことがありました。(一部の例外を除きエキストラまで含めて皆が心優しいのが、アイカツシリーズ世界の大きな魅力です)
第四の壁云々の話は、このあたりの思索を暴走させていった結果、生まれたものです。アイカツのアイドルとコンタクトが可能ということは、あちらから見れば逆もまた然りだよなぁという話です。あなたがみえるを覗いている時、みえるもまたあなたを覗いているのだ。(有名な迷言)

今回は「デミカツを知らない方、知ったばかりの方」にもお読みいただけるような文章を目指した結果、デミカツファンの方には既知の話ばかりになってしまった感じはありました。
機会がありましたら、今度は部員さん向けのもう少し突っ込んだ内容の雑記を書いてみたいとも思っております。

さらに、客演での初めてのオフラインライブイベントがちょうど終わったばかりのタイミングでこの節を追記しているのですが、それを実際に見て新たに感じたことなども近々書きまとめられればと考えてる次第です。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


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