「問いと影響力。」
新年、明けましておめでとうございます!残すはキャプテンとマネージャーということで、重圧を感じています(笑)
僕は、4年生になり、約3ヶ月間を地元のサッカークラブでインターンをさせていただきました。部活をやってる選手としては、かなり珍しい経歴です。今回のnoteでは、これからのキャリアとサッカーについて書かせていただきます。
部活を休部してまで、インターンに参加した理由を聞かれると
『サッカーが好きだからです。』
と本当は書きたいです。しかし、本音は違います。
『自分にとってサッカーとは?ということを探しに行きました』
私は、3年の冬から本格的に就職活動を始めました。始めは、心の底からこれをやりたいという目的もなく、就活を行っていました。
そして、本に書いてあるように自己分析をやり、大手企業を中心に面接を受けていました。
そんな中で思ったのは、
『とにかく早く知名度のある会社から内定がほしい。』
やりたいこととは違う業界でも給料や周りの目を気にしながら就活していました。
色々な会社に対して、「ぜひ、御社に入りたいです」と本音を隠して、早く内定をとろうとしてました。
ところが、本当の自分を偽っていたため、自分が何がやりたいとかが分からなくなってしまいました。4年生の3月。この時が、就活の迷走時期でした。
それと同時に、この時期が人生で一番サッカーがつまらない時期でした。
12月末には、約1ヶ月のオフ期間があります。前のシーズンに、東海リーグに出場できなかったこともあり、オフを返上して自主練をしました。
苦手なアジリティとスピードをあげるために、筋トレとアジリティトレーニングを行っていました。
しかし、シーズンが始まると前のシーズンと大きな変化はみられませんでした。むしろ、体のバランスを崩して、逆効果になってしまいました。
本来の自分のパフォーマンスを見失い、なにをやってもうまくいかない日々が続きました。
周りに比べて身体能力に劣る自分が嫌になり、次第にサッカーも嫌いになっていきました。
このような状況の中で、
『なぜ、自分はサッカーをやっているのか?』
『将来は、どのような人間になりたいのか?』
ということを自問自答することが多くなりました。その結果、心から好きなサッカーの仕事を通して、自分とサッカーについてを見つめ直そうと考えました。
そして、選考途中でありましたが就活を辞め、部活も休部させていただきました。(ご迷惑をおかけしました)
コロナの影響もあり、インターンを受け入れているクラブはありませんでした。そこで、地元である水戸ホーリーホックの社長にメッセージを送り、想いを伝えました。このような厳しい状況の中で受け入れていただいたクラブの関係者には、感謝しています。
3ヶ月の間、クラブを運営する事業部の一員として働かせていただきました。貴重な3ヶ月は、楽しく、あっという間でした。
私は、このインターンから、『サッカーは、人生を豊かにするもの』ということを強く実感しました。
僕を含めて多くの選手は、プレーヤーとしてからしかサッカーを見ていません。だから、試合にでて活躍しなければ、選手としての価値はないように感じます。
しかし、サッカーの試合を作る側として見てみると、多くの人が試合をするために努力していることを学びました。
たった1試合のために、
「何ヵ月も前から準備するクラブスタッフ」
「試合当日に、ハードワークするボランティアの方々」
「試合を盛り上げるサポーター」
「チームを影で支えるスポンサー様」
「全力でプレーする選手達」
など多くの方々のお陰で、試合ができています。チームが勝てば一緒に喜び、負ければ一緒に悔しがります。
そして、それぞれの人のチームに対する貢献が、サッカーに関わる人を豊かにしていました。
このような姿を見たときに、自分自身の視野の狭さに気づかされました。試合に出るためだけにサッカーをするだけでは、本当にサッカーを楽しむことはできない。
勝敗や豊かさを決めるのは、ピッチ内の選手の力だけではなくて、ピッチ外の力との総合力です。
これを静岡大学サッカー部に置き換えると、サッカー推薦制度のない大学が、東海リーグ1部で戦える理由だと思いました。
「練習に一番早く来て、コートをつくるキャプテン」
「遠くまでビデオを取りに行く分析班」
「Bチームの練習を考えてくれる選手や学生コーチ」
「チームのために行動してくれるマネージャー」
「忙しい時間を割いてきてくださる監督やコーチ」
ここにあげられないほどの方々が静岡大学のサッカー部に関わってくださっています。そして、ピッチ外での貢献をする選手が増えれば増えるほど、チームの雰囲気がよくなり、強くなっています。これは、4年間の実感です。
どんな組織でも、影で支えているポジティブな力が、必要です。そして、その貢献する力は、チームだけでなく、自分の人生も豊かにします。
僕は、この経験からシンプルですが、
『周りにポジティブな影響を与えられる人間になる』
と決めました。
チームに戻ると、試合に出る出ない関係なく、ポジティブな雰囲気になるように意識しました。
AでもBチームの選手ともコミュニケーションを大切にし、自分の経験や想いを伝えるようにしました。また、お笑い担当(???)としても、チームを明るくするために最善を尽くしました。(笑)もちろん、練習に対しても、常に全力で取り組みました。
さらに、就活に対する気持ちにも変化がありました。
『サッカーを通して、人の生きがいをつくる仕事がしたい』
という目的を持って、就活を再開しました。そして、自分の想いを正直に伝えることで、サッカーの道に繋がる企業から内定をいただきました。
この気持ちを忘れずに、自分の好きなことを通して、誰かの人生を豊かにできるような人生にしたいです。
私の大学サッカーは、はっきり言って順風満帆ではありませんでした。
試合に出れるときよりも出れないときのほうが多く、苦しい時期が長かったです。
しかし、出れない時期があったからこそ、またサッカーに関わる仕事をしたいと強く思えます。
「塞翁が馬」ということわざもありますが、苦しいことを含めて今の自分があります。
ここからは、サッカー部の後輩と、これからの自分自身に向けて、言葉を伝えます。
それは、
『ポジティブな影響力を持て』
ということです。
これも試合に出ている選手が、活躍するのは当たり前です。大事なのは、出てない選手が何ができるかを考えて行動することです。
試合に出ていない時は、自分の不甲斐なさを感じることがあると思います。そんな時こそ、自分自身にベクトルを向け、悩むことが大切です。主体的に考えて、チームのために行動したことは、チームをより良くします。さらに、チームのために行動したことで、自分自身を成長させる機会を生み出すことができます。
チームのために行動して、チームを利用して自分を成長させてください。
最後に、静岡大学では、多くの選手がプロになるわけではありません。だからこそ、「試合に出るか、出ないか」がその選手の価値を決めるものではないと思います。
『サッカーを通して学んだことで、人生を豊かにすること』
に価値があると信じています。
常に、自分の周囲にポジティブな影響力を発揮できる人間でいてください。そして、サッカーを通して学んだことを生かして、自分の人生を豊かにしてください。
僕のサッカー人生はプレーヤーとしては終わりますが、これからは支える側として大きな目標があります。
四年間、お世話になりました。そして、これからもよろしくお願いします。
2021年度卒業生 瀧口晃広