ヨーロッパ旅行記10:真夜中のアクシデント、結末.
6月24日、パリのホテルにて。
深夜0時過ぎ、
親友がホテルのスタッフ2人に囲まれながら懸命に状況を説明しているところに、
同じくホテルに滞在していた他の宿泊者がやってきた。
「これ、もしかして彼女のですか?」
と親友を指しながら、日本のパスポートと小さなポーチを見せた。
「あぁっそうです!良かった!」
という彼女の声が、少し離れたところで見守っていた私の元にも聞こえてきた。
パスポートとポーチは、ホテルの前の道路を少し歩いたところに落ちていたらしい。
現金とクレジットカードは抜き取られていたけれど、他のものは戻ってきた。
親友が「ありがとう、ありがとうございます!」と何度も拾ってくれた宿泊者に伝えているのを聞きながら、私もほっと息をつく。
深夜3時、先に部屋で休んでいた私の元に
一連の事務手続きで家族と電話していた親友が戻ってきた。
「もう、どうなるんだろうってすごく怖かったよぅ」
と泣き顔の親友とハグをする。
「でもね、」
と彼女はパッと明るい表情に戻りながら
「手帳は戻ってきたの!お金やパスポートは再発行できるけど、旅の合間に綴ったこの日記は、変わりがないからね」
「本当に良かった~!」と言いながら布団にもぐった親友は
なかなか寝付けない私の横で
すぐに眠りに落ちた。