人食い電車
ホームにやってきた電車は、私を遠くに連れていってくれる
ひとを乗せては、ゴトゴトはこぶ
乗ったあと、いろんな想いも一緒に乗っていることに気づく
遠くへ向かうと、そんな想いがつよくなる
そして、さびしくなる
さびしくて、つらい。
遠くに行くにつれ、体はどんどんとけてゆく
まるで、村上春樹の小説みたいだ
とけて、私は電車の中のくうきになる
ひとを乗せては、ゴトゴトゴトゴト....
くうきとなり、今度は電車の壁に入り込む
そうして私のように電車となった彼らとともにエンジンとなる
車輪をまわす
ドアを開ける
そうして静かに獲物をまちかまえ、みちを進むものを食べる
遠くに行くにつれ、いろんな思いも一緒に乗っていることに気づく
好きな人の姿を思い、夢に向かって歩いたみちをふりかえって
進むことを拒むようになる
進むものからみちになる
ひとを乗せては、ゴトゴトはこぶ
人食い電車はそういうものだ