![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/65091158/rectangle_large_type_2_d019b37c30462ce1da04913965092c67.png?width=1200)
【質問箱】作家の会計簿
こんにちは、皐月です。
お久しぶりの更新になってしまいました。
キックオフが一気に重なり、現在も手持ちの原稿はありつつ、一度頭をリフレッシュさせるためにもと、このnoteに手を付け始めました。
ひたすら創作の世界に入っていると、自分の生きている世界からも現実味を感じなくなって、ふわふわと不思議な感覚になることがあります。
それでも体が痛くなったり、具合が悪い日はやってくるので、「現実の嫌さ」みたいなのが一気に押し寄せて、憂鬱になったり。
忙しい時、人と会っているときは基本ハイなのですが、一人になるとかなり暗くなります。別に普段から暗いので、平気だと思っていたのですが、私は感情に高低差があるときの方が、暗さの濃度がより濃くなる気がする。
なので、毎日何かしらの打ち合わせをしては、家に帰って一人で黙々と原稿を書かなきゃいけない今の私はかなりブルーです。
暗い話ばかりしたら皆さんを深淵に引っ張り込んで悲しませてしまいそうなので、ハッピーな報告でもひとつ。
双子のライオン堂さんが発行している『しししし』という文芸誌のvol.4に、エッセイを寄稿しています。11月23日の文学フリマ東京で先行販売され、12月から全国各地の書店で買えるようになるそうです。
私が寄稿しているエッセイ欄には、他にもいろいろな方が寄稿されています。本を持っている尾崎世界観さんがいて、びっくりします。まさか自分の本棚にある作品を作った人と名前を並べてもらえる日がくるとは。
よろしければこちらのサイトにて詳細を見ていただけると嬉しいです。
さて、このnoteは質問箱に頂いている質問やテーマをもとに、脚本家の私がつらつらとお喋りする場所になります。
もしよろしければ、お時間があるときにでも、下記よりお便りをいただけるととっても嬉しいです。
===
===
今回頂いたテーマは、こちら。
「以前の記事で、今月の給料は4万と書かれていましたが、脚本家って月によってかなり貰える額に差があるものなのでしょうか? げすい質問ですみません。答えられる範囲で教えていただきたいです。また、皐月さんにとってのお金の価値観(このくらいさえあれば生きていける、これさえ買えればいい、など)も知りたいです」
とのことでした。
今回の記事の主題はお金ってことですね!MONEY!MONEY!MONEY!
生きるために不可欠であり、私のモチベーションでもある、素敵なテーマだと思います。
さて、頂いたお便りにある通り、「月4万」しか貰えない月っていうのは、わりとよくあります。4万どころじゃなく、数千円単位の月もザラです。
なので、多くの若手作家はアルバイトをしたり、脚本の講師をしたり、本を書いたりして生活費を成り立たせたり、既婚の方だとパートナーの方の収入をベースに暮らしている方もいらっしゃいます。
アルバイトをすることで、純粋に打ち合わせや執筆時間がなくなってしまう人もいます。そういう作家は、オファーを避けられることも多いので、アルバイト生活から脱却できるだけの貯金や仕事数を持っていないと、若手が脚本家として暮らしていくのは難しいと言えます……。悲しいけれど、これが現実。
私もそうですが、実家ではなく一人暮らしだとさらに必要な費用は増えますよね。PCが壊れたらまたお金が飛ぶし、作品だって資料を全く見ないで書くわけにもいかない……。図書館だって、バイトをしているうちに閉まってしまうから限界があるし。
さらに、来年からはインボイス制度により、これまで1000万円以下の年収の作家は消費税を免税されていたのが、これを自分で支払わなくちゃいけなくなって……。若手としてデビューをしようと思う人たちのハードルは上がるばかりですね。
さて、こういうケースに対する私個人の対処法ですが、私も一応アルバイトをしています。
昨年までは書店でアルバイトをしていたのですが、打ち合わせ時間の調整が難しくなり、出社して働く仕事を辞め、ライターアルバイト1本に絞りました。
※ライター仕事はデザイン会社がひとつと、円谷のライティング業務が一つ。あとは宇宙船とか、ナタリーとかをたまーーーに書かせてもらってます。
それ以外にも、去年コロナで生活が苦しかった時にはイラストの仕事をしたり、映像編集の仕事を請け負ったり。「脚本の仕事を受けるために、仕事をする」みたいな不思議なサイクルを走っています。
正直、本意ではないけれど、キャリアを積む過程としては仕方がない。ちゃんとした生活が送れずに倒れたりしたら、それこそやりたい仕事ができなくなるので……。
人並みの収入を得られるタイミングと言えば、原稿が完成稿になったタイミング、または放送後数か月経ってからです。つまり、月に1本なら1本分。作品によって値段はまちまちですが、日本脚本連盟が指定している基準で言うと、30分の台本で最低金額が18万円。新人はたいていそこからスタートして、何年もかけて値段を上げていく方式です。
尺の短い作品だと、比例して低くなります。また、再放送やDVDの販売に際して支払われる印税なども、最近は圧倒的に「買取」といって、最初の原稿を限りに報酬が支払われないケースが多くなっています。キャー、ますます作家で生きていくのは難しい。
つまり、1年に1本しか出せる作品がなかったら……つまり、そういうこと。それでも作家と名乗りたい。だって、自分の信じるものこそ「本業」ですから。
いつか年収5億とかになって、国内のチャリティーができるくらいになりたいな。
大学より前は公立に通っていたので、通わせてくれていた人たちに恩返しがしたい。もちろん両親にも。
でも、日本で仕事しているうちは難しそうですね。もっと実力を伸ばして海外に行こうかと思いを巡らせたりもしています。ライバルはそちらの方が多くても。
★
さて、いただいた質問の二項目目は「私にとってのお金の価値観」でしたね。
このくらいさえあれば生きていける、っていうの、考えたことありませんでしたが、バイト代含め最低15万は稼いでいかないと暮らしていけません。映画も行かず、打ち合わせもフルリモートなら可能かも。でもこれは2020年の話。今やオフライン会議も増えて、付き合いの食事の機会もあります。
そうなると20万は欲しいから、原稿料が入る月はさしおいて、それ以外の収入がない月に平均20万になるようにアルバイトをしなきゃいけません。くぅ、厳しいぜ。できれば将来結婚もしたいから、そうなると子どもを育てるためのお金も欲しい。
貯金するとなると、本当は年に700万以上は欲しいですね……。脚本家の収入としてはだいぶいい方だと思います。(詳しくは脚本家 平均年収で検索)
売れればこんな悩みなくていいんですけどね。
以上が、お金に関する私のボヤキでした。
お金の話、なかなか人とする機会もないので面白かったです。
では、今日はここまで。