piony
今年の芍薬が咲いた。
圧倒的な華やかさは時に威圧的なほど
艶やかに匂い立つ。
むせかえるほどの濃厚な香りは
庭に咲いているときでさえ
芳しく漂うほどであるけれど
花束にした室内ではなお一層
甘やかに香っている。
両手足の指の数を足しても余るほどの
香水の瓶が並ぶ私の部屋でも
この花の香りは決して引けを取ることなく
生命だけが放つであろう
力強さの存在を魅せてくれる。
それこそが香水の原料として使われる
所以でもあるのだろうとあらためて感じている。
気付くと緩やかになっていた日没に
だいぶ近づいてきた夏の温かさを含んだ
空気が花を包むとき
私は生まれ月のご褒美を貰ったような思いがする。
今年もありがとう。
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