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SHIVA
2021年10月20日 02:16
この凶々しい出来事の前には、実は数々の前触れがあった。あるとき、男たちが馬や牛に食わせるための馬草を、あらかじめ積み置かれた中から引き出そうと、三ツ歯の鍬(くわ)で掻き回していた。すると、馬草の下から一匹の大きな蛇が出て来た。殺すな、と主の孫左衛門が云った。だが、男たちは打ち殺してしまった。すると。殺した蛇のまわりの馬草の中から、おびただしい数の蛇たちが出て来た。うねうねと、
2021年10月20日 02:07
山口孫左衛門の家が、死に絶えた云われの話である。ある日、屋敷の梨の木のまわりに、見慣れぬキノコがたくさん生えていたのを見て、男たちは食うか食うまいかと論議を重ねていた。主の孫左衛門は、食わぬ方がよい、と皆を制した。しかしその時、下働きの男が云った。どんなキノコでも、水を張った桶の中に苧殻(オガラ)と一緒によくかき回してから食えば、決して毒に中(あた)ることは無い、と。苧殻と云うの
2021年10月20日 01:52
遠野の古い家には、ザシキワラシと云う神が棲んでいる家が、少なからずあった。この神の多くは、十二、三歳ほどの子供であった。時々、人に姿を見せることもあった。土淵(つちぶち)村の、飯豊(いいで)にある今淵勘十郎という人の家で、近頃起こったことである。高等女学校に入っている娘が、休みで家に帰って来たとき、廊下でばったりザシキワラシと出会った。娘は大いに驚いた。これは、間違いなく男の子だっ
2021年10月20日 02:00
ザシキワラシは、娘の姿でも現れる。先ほどの話(その十七)と同じ山口という所に住んでいた山口孫左衛門の家は、古くからある家だったが、そこには「娘の姿をした二人の神様が棲んでいる」と、昔から村に言い伝えられてきた。ある年。同じ村にいる男が、用事があって出かけた町から帰る途中、村では見かけない二人の娘と行き違った。それは、留場(とめば)という、川から水を引く場所でのことであった。水の上をか