081 Main: そのお題いただきます(2022年10月)
毎月、月の初めはいただいたメッセージやコメントをお題におしゃべりする特別回。
今回もたくさんの興味深いツイートやメッセージをいただき、本当にありがとうございました。
そのなかで75回で話題に上がった、番町皿屋敷が微妙に四谷怪談と混じっているのではないか、というご指摘。ふたりして、まったくその通りでした。
ということで、自分のためにもちょっと整理してみます。
<番町皿屋敷>
舞台は、現在の千代田区五番町。
下女のお菊さんが、主人の大切にしていた皿10枚のうちの1枚を割ってしまう。怒った主人が、お菊さんの中指を切り落としたうえで、お菊さんを監禁。お菊さんは縄で縛られたまま部屋から逃亡し、裏の古井戸に身を投げる。それ以来、井戸から「いちまい、にまい」と数える声が……というお話。
しかし、その話には続きがあって、その後生まれてきた主人の子どもには右の中指がなかった、だけでなく、お菊さんの霊をなぐさめるために、呼ばれたお坊さんが読経していた折りに「いちまい、にまい……」と聞こえてきて、お坊さんが最後に「十枚」とつけくわえてやると、お菊さんの霊は「あらうれしや」と言って消えた、という……むむむ、であります。
<四谷怪談>
舞台は現在の豊島区雑司が谷。
お岩さんという正妻がありながら、よその女と浮気をして子どもをつくった夫が、邪魔になった小岩さんに毒を盛り、お岩さんは毒薬で顔が腫れ上がり悶死をとげる。その後霊になって夫やその親戚などを呪い殺すという、めでたしめでたし(?)なお話です。
というわけで、我々の頭のなかにあった、顔の腫れた女性の霊が皿をいちまいにまいと数えるイメージは、完全にこのふたつの混合だったというわけです。はぁ。五十を過ぎても、日々是精進でございます。
(か)
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