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サブリースのリスクと実態!区分マンション投資の甘い罠
マンション投資をする上で、空室リスク、滞納リスク、クレーム対応、入居者募集などのリスクを全て背負ってくれる仕組みがあったら、不動産大家にとって、どれほど嬉しいことでしょう!
それを、実現してくれるのが“サブリース”です。
別名、家賃保証とも言われている、夢のような仕組みです。
そして、この夢のような仕組みは、数々の投資家を虜にしてきました。
しかし、この素晴らしきサブリースは、多くの投資家を落胆(失望)させました。
今回は、そんなサブリースのリスクと実態をお伝えさせて頂きます。
私自身、サブリースの仕組みを不動産業界に広めていった会社につとめていたました。大家さんに満足してもらうために一生懸命仕事をしてきた過去がありますので、現場の大変さやサブリースの魅力を知ってもらいたいとも思っています
しかし!
投資用区分マンションに関しては、サブリースはやめて下さい!
この記事で一番伝えたいことです。
なぜ!?サブリースをオススメしないのか!
その理由を知ることで区分マンション投資の本質を知ることができます。
そして、サブリースという甘い誘惑を跳ねのける知識がつきます。
サブリースで困る人が減って欲しいという想いをこめて記事を書きました。
【目次】
① サブリースとは?
② サブリースの費用
③ 何故、サブリースがNGか?
④ 契約解除するのが大変(汗)
⑤ そもそも契約解除できない!?
⑥ 売るときにマイナス
⑦ サブリースの悪用
⑧ まとめ
① サブリースとは?
詳しい話をする前に、そもそもサブリースがよくわからない
という人のために仕組みを、かんたんにお話しします。
一般的な賃貸の契約は、大家さんと入居者が直接 契約をします。
サブリース契約は、大家さんのリスクを減らすために
いったんサブリース会社が入居者として契約をします。
実際には、サブリース会社が
本当に入居する人へ「また貸し」するという仕組みです。
そうすることで、空室があっても、滞納があってもサブリース会社が借りているので大家さんは安心できます。
管理会社としての役割もしてくれるのでクレーム対応やトラブル対応、入居者募集や退去の手続きなども行ってくれます。
② サブリースの費用
サブリース会社は、大家さんのリスクを肩代わりする変わりに
大家さんから相場家賃の10〜20% 安い金額で部屋を借ります。
90%保証、80%保証などという言い方をします。
入居者が決まりやすい都心などは保証率が低く
入居者が決まりにくい地方などは保証率が高い
傾向にあります。
空室リスクが高ければ、当然ですが家賃の保証率が高くなります。
余談ですが
入居者がお部屋の契約をする時に連帯保証人の変わりになってくれる
家賃保証会社があります
その家賃保証とは違う話です。よく混合している方が多いのでお伝えしておきます。
③ 何故、サブリースはNGか?
何故、サブリースをやめたほうが良いのかというと
空室と滞納のリスクから逃れられるというメリットがありますが
それ以上のデメリットがたくさんあるからです。
マンション投資は、利益を出すためにやるものですが
利益が出なくなります。それどころかマイナスになってしまいます。
サブリースの保証料だけでみても家賃保証の保証率が仮に15%だとすると
家賃が100,000円の場合、手取りが85,000円に下がってしまいます。
2年間の契約で家賃だけ考えても、360,000円もマイナスになります。
計算式:保証料15,000円 × 2年間(24ヶ月) =360,000円
そして、契約は2年更新です。
10年保証と聞いても、10年間ずっと同じ金額で保証してくれるわけではなく2年ごとに見直しがあります。
年数が経てば、入居者が退去するタイミングがあります。
新しく入居者を募集する時などに築年数が古くなるので家賃は下がります。
サブリース会社は利益を出すことが仕事なので保証料を下げてきます。
もし減額に応じなかったり、
サブリース会社が割に合わないと思ったら契約を解除をされてしまいます。
一見、長期に安心して保証してくれそうなイメージのサブリース契約ですが、数年ごとに保証金額が下がっていくと思って下さい。
また、本来 大家さんがもらえるはずの礼金や更新料の一部が
全てサブリース会社の収入になるので更に収入が減ります。
現状回復も工事業者もサブリース会社の指定のため
工事費などの削減も出来ず、利益を出せる余地が狭められます。
マンション投資は、細かい金額の積み重ねと工夫で収支をよくしていくものだと私は思っていますが、しばられてコントロールが出来なくなるのは危険です。
そして、サブリース契約の仕組み上、実際に住んでいる入居者の契約書は見ることが出来ないことがほとんどです。
自分の物件なのに どのように募集され、誰がいくらの家賃で入居しているのかもわからない。
マンション経営の決定権がなく、サブリース会社のいいなりになってしまいます。
④ 解約が大変
サブリースはリスクの方が多いと感じ「じゃあ、収入も減るし、名ばかりオーナーから脱却するために、解約をしよう!」と思っても、すぐに解約が出来ないケースがほとんどです。
2年後の更新時を待たないといけないか解約ができたとしても、違約金として3〜6ヶ月分保証料を払わないといないケースがほとんどです。
保証料が8万円であれば24万〜48万円も違約金がかかります。
ドンドン収支が悪くなっていきます。
サブリース契約をしている人は、契約更新時のタイミングまでに事前に良心的な管理会社を探しておいてサブリースを解約することをオススメします。
たまに、サブリース会社がさらに別のサブリース会社と契約をしているケースもあります。二重でサブリース契約をしているケースです。
そうなると、また解約手続きをしないといけないので大変です。
サブリース会社が2社入ることで、余計な中間マージンが掛かってしまってうので、大家さんと入居者の両方が損をしてしまうので良いことは何もないのです。
⑤ そもそも解約が出来ない
実は、二重契約以上にやっかいなケースが、そもそも解約をさせてくれないというケースです。
契約書にサブリースの解約の取り決めがないしていない場合は特にです。
日本は、借地借家法という法律があるので入居者(借家人)の方が強いのです!
大家さんが契約をやめたいと言っても法律上やめることができないのです。
納得できない人がサブリース会社を相手に裁判を起こしましたが
結果、サブリース契約の解約が出来なかったという判例が出ています。
ということは、サブリース契約は解約をしたくても解約が出来ないということです。あとは、サブリース会社の良心次第です。
しかし、サブリース会社は収益がなくなることを嫌がります。
そして、あなたが またサブリースをお願いすることは無いとわかっているのであなたに良心的に対応するメリットがないのです。
大手のサブリース会社でも、解約を断わるケースがあります。
どうしてもサブリースを解約したいという場合には「立ち退き交渉」をすることになります。ただし、立ち退き交渉には“正当事由”が必要になります。
しかし、実際に住んでいる訳でもないので、“正当事由“を作ることは難しいです。
すんなりと立ち退き交渉に応じてくれる場合は良いですが、それに応じないような場合には素人が解決するのは難しいと思ってください。
場合によっては、“立退料“の支払いをサブリース会社から請求されることもあります。提示された金額で和解するかどうかは大家さんの判断となりますが解約の取り決めのないサブリース契約は本当に大変です。
サブリース会社は解約したくなったら解約できるのに
大家さんが解約しようと思ったら解約が出来ないということです。
⑥ 売るときにマイナス
これだけのデメリットがあるサブリースです。
サブリースが付いていると売るのも大変です。
売れても金額がけっこう下がります。
マンション販売会社や仲介会社もサブリース付きの物件は、お客さんに勧めません。どうしてもサブリースを希望するお客さんがいたら自社でサブリースをします。
根本的な話ですが、ほとんどの購入者は金融機関(銀行)から融資を受けます。その融資評価は販売業者が提携の金融機関に事前に「この物件なら、どれくらい融資をしてくれますか?」とお伺いをたてて、物件の価格を決めます。
金融機関も、実際に住んでいる入居者の賃料が分からないと融資の正しい評価を出せないので融資が出来ないのです。
サブリース業者の中には、物件を売却されてサブリースを解約されるのを防ぐために、わざと実際に住んでいる入居者(又貸し先)との賃貸借契約書(サブリース会社と入居者の賃貸の契約書)の提出をこばむ業者もいます。
サブリースが原因で売却が出来ずに苦しんでいる人達はたくさんいます。
不動産投資は売る時を想定して買わないと失敗するといわれています。
売る時にマイナスになるものは、最初からつけないことがベストです。
本当に売却で困っている方は、相談にのりますのでご連絡ください。
⑦ サブリースの悪用
ここで、サブリースが悪用されているケースをご紹介します。
悪いマンション販売会社が利益を高く取るために無知な人や、忙しくて しっかり調べることをしなそうな人をターゲットにしています。
相場が 7万円の物件なのに、このエリアは相場が10万円と嘘をつき10万円でサブリースをして物件の販売価格を大幅に釣り上げて物件を販売するケースです。(2,000万円の物件を2,500〜3,000万円で販売)
販売価格を上げることによって、販売会社は500〜1,000万円の利益を得ることが出来ます。販売会社は、販売してから数年後に一方的な理由でサブリース契約を解除します。(会社で管理する余裕がなくなったなどの理由)
販売会社が、仮に2年後(24ヶ月)に解約をしたとすると2年間の相場家賃と実質家賃の差額が72万円(3万円×24ヶ月)です。
【販売会社の利益】
売却直後の利益 1,000万円
2年間の差額 -72万円
2年経過後の利益 928万円
販売会社は、こういった仕組みで大幅に利益をとるのです。
騙された、マンション購入者は、多額の負債を抱え最悪のケースは破産してしまいます。
かぼちゃの馬車などで問題になっているのは、このケースのシェアハウス一棟単位でのお話しです。
サブリースのトラブルが多いので、サブリース事業者への規制を強化する新法が今年の12月から施行されることになりました。
しかし、家賃相場は自分で調べなければ、このようなトラブルは避けられません。
家賃相場の調べ方は、別の記事にまとめているので参考にしてください。
参考記事:マンション投資“買う前に知るべき” 必須3項目!
⑧ まとめ
魅力的に見えるサブリースには落とし穴がたくさんあります。
投資用マンションの購入をする時は、1千万単位の額の大きさに金銭感覚が麻痺してしまい、小さい金額をしっかりチェックしなくなります。
また、額の大きな売買契約書に意識がいき、サブリースの契約の細かい箇所をみていない人が多いのです。
署名捺印だけで簡単に契約できますが、契約したらあとが大変です。
最後に、サブリースのリスクをまとめました。
1、サブリース会社に払う保証料、礼金や更新料などで収支が悪化します。
2、自分の物件のなのに、誰がいくらの家賃で入居しているのかもわからず決定権も無いに等しくサブリース会社のいいなりになってしまいます。
3、サブリースを外すのに違約金が発生します。 二重契約の場合は、二重で違約金が発生します。
4、そもそも、解約ができずサブリース会社の利益のためのマンション投資のなってしまうかもしれません。 借地借家法で守られているので、サブリース会社は強気です。
5、不動産を売る時に、サブリースがついていると苦労します! サブリースのせいで売却が出来なくなるかもしれません。
6、サブリースならぬサギリースの被害にあわないように 家賃相場は自分でしっかり調べましょう
ここまで見てくださった方であれば、もうサブリースの甘い誘惑に負けることは無いでしょう。
区分マンション投資でサブリースは、やめましょう!
今回は、「区分マンション投資 サブリースのリスク」というテーマについてまとめさせて頂きました。
このマガジンでは、マンション投資に関する情報を色々な角度から、わかりやすくお話をしています。
Note以外では、YouTube(アニメーション)やインスタグラムなどでも皆様のお役に立ち情報をあげています。
また、購入や売却を検討されている方向けの個別相談も行なっています。
興味のある方は、チェックしてみてください。
最後まで、お読み頂きましてありがとうございました。
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