私立高校非常勤講師、出版社他|髙木勉さん(3)
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2020年10月29日(木)19:30~21:00
「しつもん×探究トーク」第3弾を開催しました。
高校の教師をしながら出版社を設立、いったん教師を離れさまざまな挑戦を経て、再び高校へ。とてもユニークなキャリアをお持ちの髙木勉さんをお迎えして、学校の内と外、それぞれの立ち位置から見えていた世界、様々なチャレンジの発端やそのプロセスで起きたこと。繋がりをつくり続ける髙木さんの活動をお聞きしました。
「しつもん×探究トーク」最新のお知らせは、しつもん財団ホームページをご覧ください。
<ゲスト講師> 髙木 勉氏
1993年、福井県生まれ。京都教育大学を卒業後、京都の私立高校の数学非常勤講師として就任。教育現場で働きながら、社会を学ぶためにウェブメディア『京都メディアスタジオ』を設立。インタビューを通し、様々な分野で活躍する方々に会う。これを機に「学校と社会をつなぐプロジェクトのプロデュース」「講演会の主催」「出版社設立」「オンラインサロンマネジメント」「ウェブ開発」など、教育の垣根を超え、活動中。
著書『Remember』 『学校を出よう世界を見よう』(tomorrowland books)
<対談者> しつもん財団理事 藤代圭一
教えるのではなく問いかけることでやる気を引き出し、考える力をはぐくむ「しつもんメンタルトレーニング」を考案、全国大会優勝チーム、アイスホッケーU14日本代表チーム、さらには地域で1勝を目指すキッズチームまで、数多くの実績を挙げている。現在はスポーツだけでなく、子どもの学力向上をめざす保護者や教育関係者に向けた講演・ワークショップをおこない、高い評価を得ている。著書に『しつもんで夢中をつくる!子どもの人生を変える好奇心の育て方』(旬報社)ほか。
自分からあふれ出るもの・あふれ出るとき
髙木:さっき質問がきてましたよね?
藤代:そうでしたね。今見つけたので読み上げますね。
「外の世界に行ってから教育現場に戻った時ほかの先生と話が合わないということはありませんでしたでしょうか?また、どのようにして皆さんを巻き込んで行きましたか?影響を与えていったか?」
髙木:話は合わないですね。
藤代:笑。合わないですか。
髙木:そりゃー合わないですよ。井の中の河津のカエルくんがたった1人外に出て、戻ってきたらそれは話は合わないです、なかなか。それはよく考えたら、もう当たり前で普通のことなんですけど、でも自分が実際に見てきたものなので、これが真実だと思ってあとはやるだけ。でもどうやって理解してもらうかはめちゃめちゃ僕は体験してきて、これだなぁというのが自分の中にはあるんですけど、僕、学校現場で講演会を主催したい、子どもたちにも実際に聴いて欲しいと思った時に、じゃあゲスト呼んでトークライブしてもらおうって思ったんですけど、それを教育委員会に持っていこうと思ったんですね。そしたらやっぱり理解されなかったんです。ダメだと。でも理由はひとつで実績がないからダメだったんです。だから実績を作ろうと。できない理由は向こうにあるんじゃなくてこっちにあるんですよ、いつも。自分の実績があったらできる訳ですから。なので、実績作ろうと思ってウェブメディアの後は講演会の主催を始めたんです。
藤代:なるほど。
髙木:最終的に、最初は10何人しか来なくて本当にゲストの方に申し訳なく、一年後にはキングコングの西野さんをゲストに呼んだ講演会400人くらいの講演会をいろんな方の協力と手助けと借りながら主催したあたりから、学校側からウチでもそういうのやっていこうよという声が聞けたんです。
藤代:えー、すごいですね、それは。
髙木:はい。その時に初めて思いましたね。いつも自分次第だと。なんでしょう、僕、教育でも同じだと思うんですけど、与えるものというより「自分からあふれ出て」ようやく伝わるんだなと。「愛も教育もあふれ出るものだ」とかちょっと偉そうに書いたりしてるんですけど。笑。自分からまだ伝わってないということは、理解されていないってことは、あふれ出てない状態で、自分を信じてどんどんやっていくとある一定のところから、それいいなって感じ取ってくれるようになるのかなっていうのがあります。
藤代:なるほどなぁ〜
髙木:そうやって自分がやってみることかなって思います。
藤代:最初は、いやーちょっとそれ無理だよって言われたけど、言い方がこれ適切かどうかわからないですけど「学校側から依頼されるにはどうしたらいいだろうか?」という問いがあって、まずは実績を作ったり、外で興味を持ってもらえるような機会を作っていこうと。そういうのを続けていたら、その通りになったというか。
髙木:はい、そうです。
藤代:やって欲しいと、ウチでもそういうのをやってくれないか?と。
髙木:はい。Youtuberを呼んでやりましたよ。その先生もどうせなら学校とちょっと遠い人を呼ぼうと。Youtuberの友達を呼んで、全校生徒の前1000人くらいですかね。僕のまわしが下手でドン滑りしちゃって。でもそのあとが良くて。ドン滑りしたんでその後の飲み会に、学校の先生も交えた飲み会を開いてたんで、Youtuberだし全然来ないかなー?って、応援してくれる先生とか興味持ってくれた先生5人くらいかな?って思ってて。いざ飲み会に行ってみると25人もいたんですね。で、そこで「実はYoutubeやりたくて」とか、「旅系のYoutuberやってて僕も世界一周したんです」とか、昔の話とかブワーって出てきて、めちゃくちゃ素敵な空間でよかったー!と思って。方や先生には「君、まわし下手だね」ってビシーッて言われて笑いながらですけど。なんかそーいうのを見た時に、やっぱり自分次第で自分からあふれ出てちょっと伝わったのかなー?ってすごく感じて。で、学校の先生も実際にそう思ってるんだなと思ったんです。
藤代:共感してくれる人がいると。
髙木:はい。多くの先生が社会のことを見たほうがいいって本当は思っていると。でもどうしていいか分からなかったり、一歩が踏み出せなかったりっていう部分、だから否定しているっていうより、壁が一歩越えられなかったりするんで。ひと足先に一歩超えちゃって、超えられるよって言えたのかなーと。
藤代:なるほど。
髙木:そんな感じの答えでいいですかね?どうなんでしょう?
藤代:そうだと思います。大きな組織になればなるほど、いろんなルールとかやらなくちゃいけないこととかもちろんあって、それを前にしちゃうと途方に暮れちゃうことってあるじゃないですか?こんなこと自分ができることやったってどうせ意味ないじゃないかって。そういう気持ちになることってありますよね?誰でもね。理想の未来に向かっていきたいんだけど、今できることそんなに無いしって思うけど。でもやっぱり一歩、目の前のまずできることをやって重なっていくと、周囲の方たちの見る目もちょっとずつ変わってきたっていうお話ですよね、髙木さんの。
髙木:はい、そうですね。大きく見ると叶わないと思います。大きいことをやろうとすると。いつも自分から広がっていくんやと思います。自分と目の前の子ども達、そういう感じでちょっとやってみたいって僕が言って、そして周りの先生も「俺もちょっとやってみよう」っていう先生がどんどん出てきて、うちの高校では今コロナであれですけど、カンボジアとの連携プログラムとかを他者と連携していって、カンボジアに3〜40人行ってるんですかね。それとか、奈良の吉野町の町おこしプロジェクトを近大の学生と一緒にやりたいっていう先生が出てきたり、いろんな先生が出てきて刺激しあって、僕が大きなきっかけとか、そういうんじゃないですけど、そうやっていろんな人から溢れ出てるのがちょっとずつ伝染していっているという感じですかね。
藤代:確かにそうですよね。ひとつの村とか集落を見てもその人たちが文化を作っていくわけですからそれは学校という単位でもそうかもしれないですよね。
髙木:そうですね、学校は大きい、大き過ぎる、学校は大きくなり過ぎちゃったっていうのがあるので、変えようと思って全部変えるっていうのは難しいですよね。例えば入試変えようと思っても数年かかる訳ですよ。大き過ぎるからリスクもそこまで取れない。失敗したらまた変えるのに数年かかっちゃうので。だったらやっぱ、先生たちが変えたいと思うなら、自分が変わって自分のクラスをやってみよう、そうやって小さいところから目の前のところからやることが大事なのかなって思います。
藤代:なるほど、いいですね。今回、トークテーマとして、探究というところを置いてるんですけども。改めて、見ていただいてる皆さんにも答えてもらいたいと思うんですけど「あなたが今、探究したいことは何ですか?」その答えをぜひ、コメント欄で教えていだだければと思います。今やってるお仕事を通して具体的にこれを探究したいでもいいですし、髙木さんがおっしゃったように、本当はサーフィンが好きだから波乗りについて探究したいとかでもいいですし、どんなことでもいいんですけど、改めて、
「あなたが今、探究したいと思ってることは何ですか?」
その答えを教えてください。髙木さんも後ほど、今、探究したいことを教えていただければと。
髙木:探究というのはどういうイメージなんですか?
藤代:そこはちょっと今はお任せしましょうか。イメージはその人それぞれでOKです。探究と聞いてイメージしたもので。
『筋トレ』
『夫婦仲。夫婦仲を探究、すばらしいじゃないですかー』
『仕事、学び、遊びが暮らしの中ですべて満喫できる』
『自分を探究したい』
先ほどのお話の中で「あふれ出て伝わる、すごく分かります。ただ実績が無いとみんな理解しづらい、だからひとつひとつ小さいことをしていくってことですか?」という質問いただいてますけど、まさにそうです。その通りでしたね。
髙木:大きいことが一発でできたらいいんですけどね。それは難しいので。積み重ねであふれ出るんでしょうね、自然とやってたら。そしたら自然と伝わっていくもんなんだなーと思います。
『自分が本当にしたいことを見つけることを探究したい』
『自然の摂理、宇宙の摂理、生命の摂理』
『探究したいのは自分と自然です』
『家族内の人間関係について探究したいです』
『人やペットのエンディングに関わること』
髙木:わ!僕の話で、ブレる旅に出たいっていう。ブレ旅!笑。価値観を壊すっていうのが大事だと思いますね。今もってる価値観をどれだけ壊してあげるか、自分も壊せるか、子どもたちも壊してあげるか。が、ないと成長もできないし視点が狭くなるので。
『自分自身を探究したい』
『世界中の感動できる素敵なもの、美術館、音楽、風景、ダンス、カクテル、グルメなどを探究したい』
髙木さんはいかがですか?探究の定義については触れずにここまで進めてますけど。
髙木:そうですね、探究。探究ってしつもんきた時に僕は出なくて、答えが。本当に「やってみたい」が大きいんです。僕のイメージだと探究は突き詰めたいというか。そうじゃなくて入口にめちゃくちゃ興味があるという。なんで、探究っていう意識はあまりなかったですね、逆にそれがよかったんですかね。探究っていうか突き詰めるっていうことを自分は求めてないのなぁと思いました。入口でやってみたいやってみたい、飛び込んでみたいの方が大きい。突き詰めるというのを探究と言うならば。
藤代:極めるということが探究とするならば、その入口に、いろんな入口に立ちたいということですね。
髙木:はい。
藤代:へぇーー、おもしろい。
髙木:探究の意味が合ってるか分かりませんが。逆に見方を変えると、それを突き詰めているんだなって思います。
藤代:そうですね。縦の軸からするといろんなものがあるけど、横の軸から見るとそれを突き詰めていると。
髙木:いろんなことを100個するんだっていうことを探究しているのかもしれないですし。見方によってはそうなりますよね。
『目に見えないものを探究したい』
『持続可能な教育を探究したい』
『コロナ禍で行事がなくなり、通常授業が続く学校生活の中で子どもたちが興味関心を失わない授業とは何か?』
『自分と質問、人間関係について』
『自分と家庭、自然、社会との心地よいバランスとは何か?』
『学ぶことが面白いと思える授業の仕方』
『昭和頑固オヤジの常識を壊す』
藤代:僕も昭和頑固オヤジなんですよねー。笑。
髙木:壊されてください!笑笑。
『自分にとって大切なことを探究したい』
髙木:なるほどー、そう言われたらそうだなーって全部思いますね。
藤代:そうか、そうですよね、髙木さんが体現しながらやっていることって、ひとつの物事があって、これって色んな方向から見ると違う見方ができるじゃないかって、それを内から見たり外から見たりしようよっていうのが1つと、やりたいと思ったことはやってみようよっていうのを子どもたちに伝えたいから自分もそれをするんだということをすごく感じますけど。
髙木:僕の中心となるのは、そこですね。ガンジーの言葉にあるんですけど、僕はそのことを言葉にできなかったんですけど、ガンジーの言っている名言があってその言葉をそのままいつも使っているというか、それは、「あなたの見たい世界の変化にあなた自身がなりなさい」というガンジーの言葉なんですよ。
藤代:おー、なるほど。
髙木:見たい変化がちょっとよく分からないので、本当に直訳するとそうなんですけど「あなたが見たい世界にあなた自身がなりなさい」これはまさに自分がやってきて、これが僕の中での教育の中心で、先生は先を生きるものなので、このことを常に意識してこのことを常にやっていけば大丈夫だというのが自分の中の軸ですね、教育の。
藤代:なるほどなー。
髙木:ガンジーだけじゃなくていっぱいあるんですよ。僕は教育の本を、出版の仕事もやっているんで自分の本も出したいと思って。
藤代:はい、読みましたよ。いっぱい名言が書いてありましたよ。
髙木:本当ですか?この本、読みましたか?ありがとうございます!この本、まだ書店には並んでないんですけど。これをバージョンアップさせて世に出したいんですね。ド派手な「学校を出よう世界を見よう」これは本の形ではどこにも売ってないんですけどねーそうなんですよ。書店に並んだらぜひ立ち読みでもいいんで。ここにね、載ってるんですよ色々、教育者の名言が。僕が響いたもの。皆さんも響くんではないでしょうか?
藤代:確かにそう言われてみると、自分自身が「大切にしている言葉」とか「問い」みたいなのは誰しもあって、それが自分自身の『軸』みたいなものを作っていったりするんですかね?
髙木:言葉、大切にしたいと思います。
藤代:これ、聴きたいですね。大切にしている言葉とか問いがあれば、別に問いの形になってなくてもいいんですけど、しつもん財団と言いながら「しつもん」にしなくてもいいのかな?ま、いっか!笑。
「あなたが大切にしている言葉は何ですか?」
ぜひコメントで教えていただければ。問いの形になってる方は問いでもいいんですけど、それが「探究の礎」にありそうですよね。自分が探究したいこととか。
髙木:言葉っていうのは本当に大切にしていて、その名言集みたいなのはいっぱいあるんです。ちょっと持ってきますね!
藤代:あ、はい。じゃあコメント読んでますね。笑笑。
『出る杭は打たれるが出過ぎた杭は打たれない』
なるほど!いいですね、出過ぎましょうね。
『この子たちに光を。ではなく、この子たちを光に』
おーー!すごい!いい言葉。
『無ければつくる』
『で、あなたはどうしたいの?』
『自分の敵はだいたい自分』
『take it easy.』
お、なんかいっぱい本持ってきましたね。
髙木:名言だけで言うと一部なんですけど、見てください。シンプルな名言集もあるんですね。例えば「ホンネの金言」や「賢者の名言」
藤代:名言を集めた本、ということですね?
髙木:そうです。キャッチコピー、相田みつを、エンジェルメッセージ、きみを自由にする言葉。
藤代:おータイトルが素敵ですね。
髙木:そうなんですよ。言葉の本はめちゃくちゃあります。
『いつも心に乾かぬ涙を』
『あなたが居たい理想の世界は?』
『愛という字は心を受けると書く不思議』
『エンジョイ。楽しむ』
藤代:ここに出てくる答えが、僕は「探究したいこと」とか「子どもに届けたいこと」のベースになってるんじゃないかなと感じますけどね。
僕もあるんですよ!いつもすぐ思い出すんですけど、伊坂幸太郎さんていう小説家が好きで『終末のフール』っていう、もうすぐ地球が滅亡するときの小説があるんですけど。ある1人の人が「もし明日地球が滅亡するとしたら、あなたの生き方って変わるんですか?」って問いかけるんですよ。『明日滅亡しないんだったらやること』と、『滅亡するんだったらやること』と、違うのか?という問いかけを僕は大事にしていて、100%はできないんですけど・・・
「滅亡しちゃうんだとしたら今日やりたいことってやるかな?」と問いかけるかもしれないですねー。
髙木:やー難しいなー、僕は180度違うことをやってるかもしれない。
2人:笑笑
藤代:そうですよねー、現実はいろいろありますからね。
『意志あるところに道はひらける』
『どうせ後悔するならば、やらずに後悔するよりやって後悔しろ』
『一期一会、出会いは宝』
『あなたは私、私はあなた、世界は私の見たいようにしか見ていないから』
『人生は!と?があれば大丈夫』
他の方が大切にしている名言や残している言葉から「自分自身が本当に大切なことって何かな?」というのを探るのもいいですよね。僕も昔は「しつもん」をして内省して自分を見つけていくんだと思ってたんですよ。
髙木:自分に「しつもん」して、ってことですか?
藤代:そうそう、自問自答って言うんですかね?自問自答することが自分を知る最良の方法だと思ってたんですけど、そうじゃないことに気付きまして。半分そうなんですけど、他の人の答えも聞いてみると。そうすると、今みたいなのもそうですね。髙木さんの答えを聞いたり、他の皆さんの答えを聞くと、私はそうじゃないなとか、私はそうだなとか、輪郭がさらにこうクッキリするじゃないですか?昔は自問自答、自分自身と向き合えば自分のことを知れると思ってたんですけど、他者と向き合うことも重要なんだと言うことがより分かって。髙木さんの外と中を見ることの大事さにも通じることかなと僕は思うんです。本当にやりたいことが見つかるのは、色んな視点で見ること。
髙木:そう思います。これが嫌いというのを見るのも、自分には合わない、こうじゃないっていうのをシッカリ見るのは大事ですね。
人の成長に関われる「接点」とは?
藤代:子どもたちと日々接しているなかで、どんな瞬間に人が成長するのかな?というのも僕たちは興味があって、聞いてみたいなと思うんですけど。髙木さんが感じる、こういう瞬間に子どもたちって成長するよね、とか、成長の兆しが見えるよねっていうのを感じるのってどんな時ですか?
髙木:成長の入口は、自分の枠の外に触れた時。
藤代:おーなるほど。成長の入口は自分の枠組みの外に触れた時にあると。
髙木:でも触れるだけでは、成長している風でしていないと思います。自分の枠の中でぐるぐる回っている時は成長してないですけど、枠の外に飛び出したのが成長の入口かなと。あと、成長する瞬間はやってみる行動にしかないなと思います。
藤代:例えばそれって、子どもたちにどのように働きかけるとかってあるんですか?
髙木:入口は僕がしゃべるのもそうなんですけど、最近は「これだ!」っていうのが見つかって、この方法をやっているとちょっといいんじゃないか?というのがあるんですけど、それは映像なんですよ。Youtubeでもいいんですけど、僕は授業中に「アナザースカイ」を見せてます。僕が有料で買って、著作権の問題も授業中なら大丈夫というのがあるので、
藤代:どんな番組か知らない人もいるのかもしれないので説明すると。タレントさんとか芸能人の方、有名な方が、自分自身が変わるキッカケとか自分自身を思い出す場所はどこか?ってことで、その場所を紹介したり、向き合ったりということですよね?
髙木:そうですね、その方のストーリーをその方の大切な場所でいろいろ撮るっていうアナザースカイという番組の昔の録画とかを子どもたちと一緒に見てます。
藤代:それは子どもたちにとってどういうキッカケになるんですか?
髙木:そもそも色んな人生があるぞということを知れる。
藤代:なるほど。
髙木:はい。やっぱり映像はよりリアルに近いものがあるので。1人目とかはなんか授業つぶれて嬉しい〜とかなんですよ。3人目くらいからは目つきが違う。
藤代:へぇー。
髙木:あ、自分も人生について考えてみようと。他の人の人生を知ることによって自分も考えてみようという感覚に子どもたちがなってきてるなっていうのは、直接そう言われている訳じゃないんですけど、話し方とか目つきとかから感じます。いろいろ映像見せた中でアナザースカイがめちゃくちゃ素晴らしいって。アナザースカイと髙木勉でコラボしてくれないかな〜って。笑。
藤代:他の人のストーリー生き方に触れるっていうのはいいんじゃないかってことですよね。
髙木:めちゃくちゃいいと思います。
藤代:かつ、映像っていうのは情報量が多いから文章だけでなく耳でも目でも楽しめるという部分からも髙木さんが関わっている子どもたちにはすごく良かったということですよね。
髙木:あとアナザースカイの宣伝ばかりしてるんですけど、もうひとつ良い点は世界の映像とかが流れることです。それだけでもバシッと入ってくる訳です。何ここ?っていう、何その生き方、何その景色、自然、街並みっていうのがバシッて入ってくる。プラスそこにその人の生き方が入ってくるというのがすごい素晴らしいなーと思って。しかも1本25分なんですよ。それもまた、ちょうど授業でもやりやすい。
藤代:そうか、子どもたちにとって何となく作りあげられてきた「こういう生き方をするんだろうな」っていうものから、全然違う生き方をしている人に触れることによって、また揺さぶられて「自分はどうしたいのかな?」っていうのが生まれてくると。
髙木:そもそも、あんまり考えてないですよね?自分の人生を。僕も高校生とか大学生の時はほとんど考えてなかったし、自分の人生を生きている感覚がなかったです。他人に言われるまま先生がいいんだろうって言ってくれたことに関する感謝はめちゃくちゃあるんですけど、「本当に自分で選んでたか?」というのはちょっと分かんなかったりとか。じゃあ何で教育大学なの?って言われても、誰かが何か言ってくれたから、とか。どこか他人の人生を生きている感覚があったんですよね。そんな中、僕が高校生に戻るんだったら自分の人生に向き合いたい。「自分はどうしたい?」ていうので色んな人の人生を知ると向き合う時間もやっぱりできるかなー?って思います。色んな選択肢を与えるって言うんですかね。「決めるのは子どもたち」なんで、こっちは入口だけ。たくさん見せるっていうことは重要なポイントなのかな?って思います。
藤代:確かに。自分がこうだろうって思っている思い込みとか常識みたいなものが本当にそうなのか?っていう光を照らすっていうことを髙木さんはされてて、最終的にはみんなが決めるんだけど、見えてる世界をもうちょっと広げてあげたいっていうのがあるっていうことですよね。
髙木:あります。
藤代:この前小笠原諸島に行った時に、僕は今沖縄と島根県の離島で暮らしているんですけど、小笠原諸島ってフェリーで24時間かかるんですよね。
髙木:ほうほう、めっちゃ遠い!
藤代:そうなんですよ。船便も週に何回かしか来ないんで、「おー!」って思った瞬間があって、それは、商店で売られているものが普通に賞味期限切れてるんですよ。
髙木:お店で並んでるものがってことですか?
藤代:全部じゃないんですけど、それを見た時に、東京の感覚からすると賞味期限切れてるじゃん何でこんなの並んでるの?っていう感覚じゃないですか。でも島の人たちからの感覚からするとフェリー来ないと物資が届かないわけで、賞味期限切れているのも普通っていう感覚なんですねお話をすると、それって僕の中にはない常識でその中で生きてる人たちがいるって聞いた時に、僕は世界が開けているって感じがあるんですよね。そういうのって結構ありますよね?身近にもね、きっと。
髙木:めちゃくちゃあります。身近にもありますし、一番感じるのはやっぱり海外に行くことかなって思います。一番分かりやすく感じますよね?そもそも生きている環境が一番違う。
藤代:文化も全然違うと。
髙木:今はあれですけどね。僕は本当に一番、海外を見てみる、日本人特にね、行きやすいっていうのもあるので。機会をいっぱい作るのは大事だなって。一番分かりやすいのが海外なので、世界に出ようっていうのはポイントかなって思ってますね。
藤代:なるほどなー、ではもう結構いい時間になってきたんですけども。
あ、質問いただいていて。
『枠というのはコンフォートゾーンと考えていいですか?』
はい、そうだと思います。
コンフォートゾーンというのは安心安全な、どう訳したらいいのかな?ここにいれば安心安全。でもその物事の見方しかできないという可能性もある。仮に外側から見たいとするならば一歩出てみるのがいいよねっていう話でしたよね。確かにそうですよね、外側から眺めてみないと分からないこともあると。
髙木:あります。いやー、そうですよね。でも今の時代だからこそ先生も外に出れると思うんですよ。
藤代:というと?
髙木:もう外を見る時代だなーって思いますね。社会に置いていかれないって意味でもそうですし、もっと工夫できるじゃないですかいろいろと。テクノロジーとかうまく使ったりとか、昔よりも自由度があるというか。具体的にどうっていうのはちょっと分からないんですけど、今の時代だからこそ、もっと外に見て先生たちのレベルアップが大事だなって思います。子どもは希望だってよく聞きますけど、星みたいなもんじゃないですか?希望って。照らされないと輝かないんですよ。大人は希望だって言うんですけど、それよりも、大人がどれだけ輝くかにかかってる。後は、早く大人になりたいなって思ってもらえる生き方ができてるかっていう、その生き方は子どもたちに憧れられるかい?っていうのは結構大事かなって思いますね。そう大人がなったら未来は明るいと思います。
藤代:いいですね。
中米で買い物をした時「今日はお釣りがないよ」って言われて笑いました。
笑。面白いですね、確かに。そういうもんだと。そろそろ時間となりました。最後のしつもんとしては、
「目の前のことを客観的に見るために何がしたいですか?」にしましょうか。
髙木さんであれば、教育というものを色んな見方をするために今の働き方を選んらっしゃると思うんですけど。目の前のこと、というのはお仕事とか探究したいこととかそれぞれイメージしていただいたものでいいんですけども。それを、前からだけじゃなくて下からとか、上からとか、見るためにはどういう工夫とか、やりたいことはあるか?ってことをぜひ考えていただければと思います。
髙木:今そこは小笠原諸島ではないですよね?
藤代:違います、今は沖縄にいます。コメント待ち中の脱線として、、たぶん離島に住んでらっしゃる方もいると思うんですけど、スケジュールに関する考え方にすごくゆとりがあって、簡単な話、フェリーが来なければ帰れないんですよ。当たり前なんですけど。でもやっぱ、僕の感覚とか都会的な感覚でいくと、時間通りに来るじゃないですか?結構何でも。だから自分のスケジュールって組みやすいですよね?だから、崩れちゃうとイライラしちゃったりとか。あ、遅刻しちゃうとかってあるけど。フェリー来ないってことはもう変えられない訳で。もう来ないんですよ。じゃあ、何しよっか?っていう切り替えがすごい早くて。すごいなぁ〜って思いましたね。そういう環境だからこそ、得られる感覚があるんだなーってのを感じましたね。
『仕事を辞める』
『環境を変える、旅に出る』
『文章に書き出してみる』
『外に出てみる。やりたいことをやれる出会いを大切にする』
『旅をする』
『目の前のことを自分目線ではなく他者目線で考える』
『非日常に身を置く。紙に書き出す』
『時間軸や空間軸を変えてみる』
『見る、つかむ、渡してみる等いろいろ試してみて予想と違う体験をしてみる』
『瞑想する』
『とにかく色んな人に会う』
『違う国の生活を体験する』
『色んな人と話す、関わってみる、場所を変える』
『色んなところに参加する、色んな人の話を聞く』
なるほど、いいですね。髙木さん、改めて。もうすでに実践されてると思うんですけど、さらに何か客観的に見るためにこんなことやってみたいなーと思うこと何かありましたか?
髙木:自分の今の枠なんて、まだまだみみっちいのでもう一歩出るために、やっぱ次は海外で仕事したいということで、システム開発の仕事をそのために6月から勉強し始めてウェブ開発、最近やったんです。改めてやろうということで。ヨーロッパで何かしたいということで今、知り合いと話を進めています。ヨーロッパに会社を作って、システム開発何かやってみたい。またこれが1つ枠を超え、また新しい視点ができるのかなと思います。年内にやっちゃいたいですねー。一昨日もそこの国の人と打ち合わせをして、楽しみです。
藤代:ありがとうございます。ではですね、今日は髙木さんをお招きして、学校の中と外から見て子どもたちに伝えたいことを伝えるために色んな視点を持ちながら関わっているその背景とか考えていることとか実践されていることたくさん色んな角度からインタビューさせてもらったんですけども。今日この時間を振り返ってですね、学んだこととか得たものや発見したものは何があったでしょうか?この時間を通じて学んだことは何がありましたか?ぜひコメント欄で教えていただければと思います。
「今日この時間を通じて学んだことは何がありましたか?」
その答えを教えてください。
『枠を超えるべしということを学んだ』
『アナザースカイが授業で使えそうです』
髙木:本当にこのアナザースカイのおすすめなんですけど、一番最近の田村淳さん、ロンブーの。その時のアナザースカイは日本の未来を感じました。ぜひ見ていただきたい。
藤代:僕たち大人で見て話し合うのも楽しそうですね。
『どんな人も受けとめる』
『価値観が違う人からも学んでみる』
『できない理由は自分にあるということを知れました』
『たくさんの視点を持てるようになりたいですし、子どもにもそうなって欲しいです』
『自分から溢れ出していく』
『旅行に出る、複数のコミュニティに参加する』
『年齢職業など違う人と話をする』
『価値観を壊すことをやり続ける』
『自由に生きること』
『自分自身が輝くことは周りをも輝かせることを学びました』
嬉しいですね、こうしてコメントいただけて。本来であれば顔と顔を見てね、コミュニケーション取れたらいいんですけども。今回はこういうやり方でご参加いただいて本当にありがとうございます。
髙木さん、改めて、今日この時間はいかがでしたか?
髙木:楽しかったです!最高です、はい。どうなったら最高ですか?というイメージ通り。皆さんどうでしたでしょうか?よかったですかね、ペラペラしゃべってただけなんでね。
藤代:最後何かぜひ一言、いただければと思うんですけど。
髙木:またお会いしたいですね、皆さんに。結局自分次第だと思うんで、僕も「子どもにどう育って欲しいか?」っていうのは聞いて、それに自分がなろう。子どもに何も教えられないんですけどね、背中で語れるように。
藤代:背中で語ると。
髙木:そう生きたいですね、僕はそうやって今までやってきて、これからもそうしていけたら。どんどんどんどん先に行っちゃいたいなと思いますね。
藤代:ガンジーの言葉が常にあるんですねココ(胸の辺り)にね。
髙木:ありますよー。ガンジーの言葉なんですけど早く僕の言葉にしたいくらい。言います、色んな人に。
藤代:いつも言ってて「あれ?髙木さんの言葉じゃないの?」って言われるように。
髙木:ガンジーも同じこと言ってるよねってなりたいです。
藤代:では、長い時間お付き合いいただき嬉しいなと思っております。僕たちとしては、1人でも多くの人がその人らしく輝いて欲しいと思い、学校の中や家庭の中で実践していだたけたらと思ってこのような活動をしてますので、今後とも一緒に何かできることがあったら見つけていきたいなというふうに思っています。髙木さん、今日はありがとうございました。
髙木:ありがとうございました!
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あとがき&動画の配信について
この日の対談は、ひとつの側面として、自然に起こる「自分との対話の様子」があちこちに散りばめられていたように感じます。生きた「しつもん」であり、その人自身に寄り添い一体化している「問いかけ」だなぁと感じます。それは私たちの営みの1部だよね?そんな感覚になりました。対談当日に得られた感覚ではありませんでしたが、くり返し対談を聴きながら文字起こしをして記事化するというプロセスを経て、そう感じることができました。毎回そうなのですが、私にとって豊かな「ふりかえりの時間」となっています。
また同時に、第1弾でお迎えした寺中さん(アンディ)から受けとった感覚を思い出していました。それは「探究することで得られるものは何だと思いますか?」という問いに対するアンディの答え。以下にコピペしますね。
アンディ:何だかちょっと抽象的だけど、「それが生きていくことだっていう構え」ができることだなって思う。より自然な方に進んでいく。だからどちらかというと、新しい力が身につくとか、こんなことができるようになるっていうよりは、より自然な方の姿に近づいていくためのものが「探究」ということなんじゃないかなーと思う。
ふじしー:なるほどなー。
結果として得られるものがあるから探究するって感じじゃないんだね。
アンディ:うん、本来そういうものだ。
学ぶとか生きていくとは、本来そういうものだ、と思う。
もし感じるものがありましたら「しつもん×探究トークvol.1」をチェックしてみてください。(高橋香織)
【動画の配信について】
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