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軽井沢風越学園|寺中祥吾さん(2)

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2020年8月30日(日)10:00〜11:30
「しつもん×探究トーク」第一弾を開催し、400名以上の方にご参加いただきました!もっともっとたくさんの方に、この対談が届きますように。

第1回目のゲスト講師は、2020年3月に開校した軽井沢風越学園の寺中祥吾さんをお迎えしました。

<ゲスト講師> 学校法人軽井沢風越学園 寺中祥吾さん(アンディ)
「体験から学ぶ」という学習領域を背景に、教育研修関連企業、大学教員を経て、現在は2020年度開校の軽井沢風越学園に所属。ふじしーとは10年来の友人。時々会って話すけれど、今回はみなさんに聞いてもらいながら、もう一歩踏み込んでやりとりできるのが楽しみです!
<対談者> しつもん財団理事 藤代圭一(ふじしー)
教えるのではなく問いかけることでやる気を引き出し、考える力をはぐくむ「しつもんメンタルトレーニング」を考案、全国大会優勝チーム、アイスホッケーU14日本代表チーム、さらには地域で1勝を目指すキッズチームまで、数多くの実績を挙げている。現在はスポーツだけでなく、子どもの学力向上をめざす保護者や教育関係者に向けた講演・ワークショップをおこない、高い評価を得ている。著書に『しつもんで夢中をつくる!子どもの人生を変える好奇心の育て方』(旬報社)ほか。

大切にしたいことを大切にするために

ふじしー:では、アンディにも聞きたいし、今日参加している方にも、ぜひ「しつもん」に触れるということをしていただきたいので、チャットのところでお答えいただければと思うんですけれども、今皆さんの活動の中で、子どもたちに指導をするとか教員として関わるとか、いち保護者として子どもと関わるとか、そういう中で、大切にしていることは何がありますか?その答えをぜひ教えていただければと思います。

こんな関わり方を大切にしていますとか、
こんな思いを大切にしていますとか、どんなことでもいいんですけど、

「いま皆さんが活動されている中で大切にしていることは何ですか?」

その答えをぜひ、チャットの中で教えてください。
お、ありがとうございます。わ、すごい、いっぱい!

『物事の本質を理解してもらうためになぜ?を深めることをしています』
『その人の世界を邪魔しない』
『良い悪いをこちらが決めない』
『まずは一旦受け入れること。否定しない』
『強制しないようにすること、でもジレンマがいつもあります』

アンディ:うんうん、ジレンマありますよねー。ふじしーは、大事にしていることって結構変わってくなーって感じする?

ふじしー:えーっと、僕の場合はなんかこう、さっきジレンマっていう言葉があったけど、行ったり来たりして、一時期は「もうこれだー!」って思ってやるんだけど「あれ?ほんとにそうかな?」って揺れ動く時があって、んでまたこっちから見ると、またやっぱり「あっちじゃないかなー」って揺れてて、なんか芯はある気はするんだけど、じゃあ果たしてほんとにそれでいいんだろうかっていう疑問は持ちながらいつも関わってる気がするなー。

周りから見ると良くない側面があるとすれば、あの人ってちょっといつも試行錯誤だよねっていう感じ?いい側面があるとすれば、最適解というか、もっともその瞬間にベストなものを探しているっていう感じはあるけれど、ベストなものが見つかったと思った瞬間にもうすぐに「あれーほんとにそうかな?」っていうことはよくあるかなー。

アンディはどうですか?今の活動の中で大切にしていること?

アンディ:大切にしていること。すごい今、今、感じているのは、

ふじしー:うん。

アンディ:スピードかな。

ふじしー:というと?

アンディ:今まで、やっぱりファシリテーター・ファシリテーションという扉を通して関わっていたところがあったから、すごくじっくり待つとか、その人の世界が立ち上がってくるのに付いていくとか。そういうことが本当にこう体に染み込んでいる感じがしていて、でも本当に日常の中ではもっとたくさんのことが同時に起こっていて、そのじっくり待つとかその人の世界を大事にするということが今の自分にはブレーキになっている気がして。

ふじしー:あーなるほどね。

アンディ:瞬発的に今思ったことをすぐ返すとか、そこで起こってることをすぐ仕組みとして試してみるとか、今の自分にとっては「スピードを上げること」がその人を大事にすることにつながるんじゃないかなっていう気持ちがある。

ふじしー:うんうんうん。なるほどねー。それはやっぱり日々毎日接する中で感じてきたことなのかな?

アンディ:今まではあんまり思ったことがないなぁ。やっぱり子どもたちの気持ちって刹那的なところあるから、今やりたいとか今こんな気持ちだってことはそんなに持続することがないんだけど、そこにポンっと入ってあげることで広がっていくことってあるなーって思う。

ふじしー:じゃあこの「待つ」と「スピード感」みたいなものは、ジレンマの中で、あるね。

アンディ:あるある。

ふじしー:もちろん対象とか年齢とかその子の状況にもよるから、簡単に一般化はできないけど。やっぱり僕は結構「待つ」みたいなところを、非日常的に入る時はすごく大切にしてて。だけど例えば今、日本代表のね、年代別のチームとかに関わらせてもらう時に2週間でチームを作らなきゃいけない場面とかあるんだよね。2週間で海外で戦うためのチームを作らなきゃいけないって時に「待つ」とその「スピード感」の葛藤はすごくあって、スピード感持ってやり過ぎることでなんかすごく彼らを誘導してないかなっていう葛藤と。待ちすぎてることによって、結果的には彼らの経験になったからいいねとか、失敗して負けちゃったけどいいんじゃない?って言うんだけど「本当にそうだろうか?」「最高の経験になったんだろうか?」と言うのは、あるよね。

アンディ:うん、ある、確かに。スピード、言い換えれば、自分の瞬発力みたいなものなのかもしれないなーと思うけれど。

ふじしー:うん確かに、そうだよね。よくさ、高校生最後の夏って表現が使われると思うんだけど、それってみんなに同様にその年の最後の夏が訪れてて、小学校3年生には3年生の最後の夏だしその瞬間に感じられることって違うもんね。他にはある?今、大切にしていること。

アンディ:うんとねー。自分の心地よさとか、自分の正しさと言うか、自分がいいなと思うことを切り離さないと言うことなんだけど、例えばこの前あったのが、国際交流みたいなプロジェクトの中で、結構はじめの段階で子どもたちと一緒にどんなことをやりたいかというのを担当のスタッフがやりとりした時に、8割くらいの子たちが貧しい国の子たちを助けたいみたいな。

ふじしー:ほぉーーなるほど。

アンディ:募金を集めてお金を贈りたいとか、そういう声が上がったっていう話をしていて、そのスタッフはそれがすごい違和感で、実態のない恵まれない人たちみたいなのが子どもたちの中にすごいあって、そういう助けなければならないみたいなのがあって、子どもたちはわかりやすいから、そういうことやってる団体調べようとか、募金どうやって集めるか考えようとか、動きは起こっていくんだけれど「本当にそれいいのかなぁ?」という気持ちが、スタッフの中には違和感みたいなのがあって。そのスタッフは一旦、ちょっと出会って欲しい人がいるからみんなで話聞こうって言って、実際に国際協力やってる人の話を聞いたみたいなんだよね。で、そこから少し潮目が変わっていくみたいなプロジェクトのプロセスがあって、それって一見こう、子どもたちがやりたいって言うことに沿っていくこともできたし、それを大事にするって言えば聞こえはいいんだけど、でもそのスタッフの違和感みたいなものを「いやーでも自分はちょっと違うと思うんだよな」というものをちゃんとフラットに場に出せたことで、たぶん、子どもたちにとっては少しこう、観える視点が増えたと思うんだよねーー。

ふじしー:うんうんうん。

アンディ:それを恐れないということは大事にしたいなと思った。

ふじしー:それは子どもたちが主役ということだけではなくて、そこに、スタッフの人たちもその一員としてそこにいてみんなで作っていくってことを大事にしていくからこそ出てくる感覚なのかな?

アンディ:うんうん、そうだね。

ふじしー:分断されてないってことだよね、子ども、先生、みたいな感じで。

アンディ:うんうん。

ふじしー:なるほどなー。実体がないっていうのは、その子たちが本当にそう思ってやってるのか、聞いたからやろうってなってるだけなのか、分からないからってことだったのかな。

アンディ:そうみたい。

ふじしー:でもよくあるよね。例えばゴミの問題とか。テレビを見て、これは大変だーと思う瞬間ってたくさんあるじゃない?それを鮮明に感じてやろうとしたプロジェクトなのかどうか。今回はそれを大切にしたってことだだよね。

アンディ:そうだね~それも本当にさっきの「瞬発力」と「待つ」ということの葛藤と同じように、大人の価値観を表明することへの恐れみたいなものはやっぱりあるし、それがなくなっちゃうと、大丈夫なのかっていう気持ちももあるし。

ふじしー:確かに確かに。何だろねー難しいよねー。学校の関わり方の指針みたいなのがあるからそれによっても変わるよね。今アンディがいる学校には共有意識としてあるってことだよねきっと。

アンディ:そうだね、暗黙的にあるっていう感じかなぁ。

ふじしー:子どもたちがどんどん進んでいくことも大事にするけど、そこに客観的な視点として自分自身が感じたことも伝えていこうねっていうことが暗黙的にあるっていうこと?

アンディ:そうだね「つくる」っていうことを真ん中に置いてるから、全員が当事者になるってことは大事にしていて。「大人だから外から見守る役割」っていうふうにはあんまり捉えられてなくて「協同的な伴奏者」のときもあるし、「一緒に本当に作っていくって立場の人」であるときもある。

『募金の件、よく分かります。まずは聞いて一旦行動したからこそ、その違和感て分かるのかなと感じます。最初に決めたからとやり切るより、本質を観ていくのは大切だと思います』

ふじしー:なるほど。そこに参加することによって、「本当はそうじゃないんじゃない?みんな困ってないかもしれないよ」って言って、そっちにこう誘導、そっちじゃないよーって方向転換させるための発信をするとまた事情は変わってくるよね。

アンディ:そうだよね〜

ふじしー:僕は多分昔ずーっとそれをやってたから、逆に反発みたいなのがあって、そういうのは一切やめようと。だから、見守ろう、彼らがやりたいようにやってこうと。ちょっと立ち位置を迷ってた時があって、極端だったと思う自分自身が。だから今度は子どもたちのチーム、子どもたちが決めているんではあるんだけど、僕は外の人になってしまったというか、一緒につくるという感覚はその時は感じられなかったかなぁ。難しいね、でもこれはね。

『全て子どものやりたいことにOKを出すことがいいとは限らない気がします』
『上も下もなく一緒につくる、素敵ですね』

ふじしー:そういうのってさ、先生方が感じた違和感とか、今子どもたちがこんなふうに進んでてとか、みんなで話する場は用意されてたりするの?

アンディ:大人が?

ふじしー:うんうん。

アンディ:みんなで話そうみたいな場は、そんなにはないかな、今。どちらかというとアンオフィシャルな場で共有されていることが多くて、どちらもあって、そういう場が必要だなーと思う時と、学校の特徴として、「みんなで一斉にこのことをやりましょう」とか「みんなで一斉にこれを学びましょう」みたいなことって極力少なくしているところがあって、やりたい人たちが集まってやる。共有したいと思えば、共有したいと思った人たちが共有する場を作ってする。ということを大事にしたいというか、そうありたりいと思っている組織で。でも、その難しさも同時に出ていて、本当に一人ひとりが判断して考えないといけないから、その分の負荷はかかってるなーという感じはするかな。

ふじしー:ビジネスでも今、分散型の組織づくりみたいなのが注目を浴びている中で、教育もきっと、意思決定を1つの場所に集めるんじゃなくてそれぞれが持ってもいいんじゃないか?みたいな形には、少しずつ移行していく学校もあるかなーと思うんだけれど、それをチャレンジしている部分があるっていうことだよね。

アンディ:そうだねー、チャレンジしている。同時に、一人ひとりが決め切る、作り切る、ということをやってく経験がないと、最後のところで誰かに決めて欲しくなったり、みんなで合意形成したくなったりするっていうのは起きてる。

ふじしー:そうだよね、これはでも子どもたちもそうだし僕たち大人もそうなんだね。きっと皆さんもしつもんとか、子どもたちの決めたことを大事にしたいという方が多くご覧いただいていると思うんだけど、自分が決めるっていう感覚って大人になってからは組織の中に入ると少なかったりするじゃない?自分で決めているようなんだけど、アンディが言ってくれたように「合意形成はしっかりとってみんなの承認を得てやっていきます。みんな賛成しましたよね?」っていう感じで進めていくって、まぁ安心感持って進められるんだけど、自分が決めたからやるんですみたいなって感覚って、僕は社会人になってから多くなかったから、それを子どもたちに渡していこうっていう感覚は強くあったかな。あ、質問もいただいてますかね。

『アンディの学校では生徒間でトラブルがあった時どんなふうに解決してますか?一般の学校は時間もないので、先生が話を聞いて事実確認して握手して終わり。みたいなことがよくあると思いますが』

ふたり:確かにねー。笑。

『子供自身の力がとても必要とされますね。それを信じて待てるのかどうかということろも試されている気がします。ただ子どもにどこまでできるのかということが親として不安になります』

ふじしー:確かにそうだよねー

『質問からの作業が、質問者も含めた協同作業にするのが大事ですね。先ほどの方はある意味、経験値の差からくる見守りで、遠慮して何もしないと、ただの傍観者ですね』

ふじしー:傍観者と見守りもまたちょっと違うよねってことか。なるほどなぁ。皆さんの質問に答える時間は後に残しておきたいなと思う中で、、今回のテーマはですね「探究としつもん」なのですよ。アンディの話もいっぱい聴きたいんだけど。

探究することの価値とは?

ふじしー:探究することで得られることって何なんだろうってことを、改めて見つめたいなと僕たちは思っていて、国が決めたから探究をどんどんやっていこうとか、そういう時代だからということにそれを感じることも大事だと思うんだけど、一方でそれにごまかされないというか、自分自身がそれを大事だと思ってるのかどうかを見つめることって大事かなーと思っていて。

あ、じゃあ皆さんにも聞こうかな。アンディにもこの後答えを聞こうと思うんですが、皆さんの答えもチャット欄で聞かせてもらいたいと思います。

「探究することで得られるものは何だと思いますか?」

物事を探究していくことで得られることは何だと思いますか?ご自身の経験からでも結構ですし、子どもたちの探究する姿で感じたことでも、どんなことでもいいので教えていただけたらと思います。おーーもう早速!早い!

『自信、自力解決力、意外な結果、新しい手段、生きる楽しみ、自ら考える力、自分への自信、知恵が出てくる、多面的にいろいろなレイヤーで気づきがある、工夫すること、学ぶ楽しさ、知的好奇心、自己満足、世界を肯定する力、自分とは何か、人の本質、新しい発見』

すごいですね、皆さん早いな。事前にしつもんしてないんだけど皆さん早いですね。すごいなー!それほど皆さんは、探究する価値みたいなものをお感じになってるということですよね。アンディ自身はどうですか?探究することで得られることって何だろう?というのが今のしつもんだったんだけど。

アンディ:何だかちょっと抽象的だけど、「それが生きていくことだっていう構え」ができることだなって思う。より自然な方に進んでいく。だからどちらかというと、新しい力が身につくとか、こんなことができるようになるっていうよりは、より自然な方の姿に近づいていくためのものが「探究」ということなんじゃないかなーと思う。

ふじしー:なるほどなー。
結果として得られるものがあるから探究するって感じじゃないんだね。

アンディ:うん、本来そういうものだ。
学ぶとか生きていくとは、本来そういうものだ、と思う。

ふじしー:なるほど。うんうん。僕もさ、そういう感覚で生きてきたし、最近もそういう本を書かせていただいたから、なんかね、それについて今しつもんが思い浮かばなくて。そうだよね、としか思わなくて。

ふたり:笑笑

ふじしー:皆さんにとって学びになるような「しつもん」ができないんだけれど。。何だろうね、でも、そうでなかったのはなぜなんだろうね、じゃあ。そういうシステムというか仕組みにできなかったのは、なんでだったんだろうね?

アンディ:とはいえ、そうは言ってみたものの、やっぱり学校の中でこういう力がついていないと卒業後どうなのか?とか、進路はどうなのか?とか、そういういろんな不安が出てくるなと思っていて、そういうことに答えながら教育が作られてきて、それの本当に最適なものが出来上がってだいぶ時間が経ってきているということだと思うんだよね。それはひとつの成果であるが。

ふじしー:うん、それがいいとは思ってはいたけれど、本当にみんなが共感したり理解したり納得するだけのなんかこう、なんていうかな、結果って言ったら大きすぎるのかもしれないけど。それが見えないまでは、こうしていきましょってなかなか言えなかったってことだよね。

アンディ:うん。

ふじしー:なんかさ、それって子どもたちの夢を聞いたときにすごく顕著だなって思っていて、この子の夢は応援したいと思える夢と、そうじゃない夢があると思うのね、僕がいろんな人と関わってきた中で、例えば野球選手になりたいとか、プロサッカー選手になりたいというのは比較的お母さんお父さんも応援してくれるんだよね。分かった!って、いろんな環境を整えてくれて、どちらかというと応援してくれる夢ね。まあ、他にもケーキ屋さんになりたいとかね、そういう夢。

でも今、人気のYouTuberになりたいは、あまり子どもたちは賛同を得られてなくて。それは多分、僕たちがまだYouTuberになるプロセスで何を学べるかってのが見えてないのと安心感がないんだなーと思ってて、サッカー選手とか野球選手になる過程で学べることって経験値としてもそれぞれの皆さんにあって、コミュニケーションとる力とか、努力することとか、目標持って毎日コツコツ進んでいくこととか、そういったものがあるから、じゃあ応援しようってのがもしかしたらあるのかもしれないなって直感的に感じたんだけど。

アンディ:確かに。

ふじしー:例えば、YouTuberはすごく大変で、題材を決めて、企画を作って、じゃあどのようなな過程で撮影しようかとか、どうやって編集しようか、どうしたら多くの人に見てもらえるかな?とか、ビジネス的な視点がたくさん入ってないと視聴数は増えてかないじゃない?ただ単純に好きなことをやるってだけでもすごく素敵なことだと思うんだけど、もっと見て欲しいとか、YouTuberで有名になりたいって夢だったとすると、いろんなことを学ばなきゃいけなくて。だから、ひとつの夢として僕は素敵だなって思う一方で、それがやっぱり細かく分解して見えてないと「そんなのはやめなさい」って言っちゃうかなーってすごく感じてる。

アンディ:探究には、すごく乱暴に分けると「問題解決的な探究」と「創造的な探究」ってあると思っていて、

ふじしー:うん、そうだね。

「問題解決的な探究」と「創造的な探究」

アンディ:「問題解決的な探究」って分かりやすいから、学習の素材としては使われやすいと思うんだよね。こういう困りを解決するとか、こういうことを達成するみたいな。ゴールも明確で。そして多くの場合は、そこに他者がいて実際に困っている人とか変えたい人がいて、それが解決すると感謝されたり、何かが変わったりするフィードバックもあったりして。

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そういう問題解決的な探究と、こんなものを作ってみたいとかこんな風にしてみたいっていう創造的な探究って、大人がそこに関わっていくときに「しつもん」ということを考えると「問題解決的な探究」はすごく「しつもん」が効いてくることが多いなぁと思っていて。「創造的な探究」の場合は、例えば「なんでそれやりたいのか」とか、まだ言葉になる前の欲求で、創造的な探究に踏み出している時に言葉にするのを急ぐと、ちょっとブレーキになってしまうなぁっていうことを感じることはある。

ふじしー:そうだよね。好きだからやっていることがあったとするじゃない?例えば今、昆虫が大好きで仕方がない。で、小学生の子どもがいたとして「どうして昆虫のことが好きなの?」って聞いた瞬間に、言葉にしようとするがあまり探究心が薄れていくということもあるっていうことだよね。

アンディ:さっき「テーマはどう決めていますか?」って質問をいただいていたけど、問題解決的なものはテーマを決めやすいけれど、創造的な探究って勝手に生まれていくとか、遊びの延長だったりして、さっきのふじしーのYouTuberの例と同じように、大人はちょっと不安になる。これずっとやってていいのかなぁ?とか。

ふじしー:そうだよね。

アンディ:ついそれを、問題解決的に、例えば「そんだけ虫が好きなら、じゃあ、あそこの川にホタルを戻そうっていうプロジェクトにする?」とかって言って、そういう風に問題解決的にやってみたくなっちゃう。それが全部悪いわけじゃないけど。

ふじしー:うん、そうだよなー。

『昆虫が好きなら、何見てるの?って聞いてあげるかな』

あ、いいですね。そういうしつもんは、また違う問いだよね。無理にでも言葉にしてもらおうという気持ちが僕たちは大きいのかな。

アンディ:知りたいもんね。

ふじしー:うーん知りたいねぇ。そうか、観察の中から身につけるという視点ももちろん大事だし。難しいですね。そういうタイミングもさ、すごく難しいよね。

アンディ:そうだねー。

ふじしー:一方でさっきの先生の話じゃないけど、そこを大事にするあまりに、色んな客観的視点を見つけられなくなることもある。でも、さっきの話にちょっと戻すと、探究に2つあるんじゃないかという、アンディから話があって、問題解決型の探究と自分から自ら生まれている創造的な探究。どっちも自ら生まれている側面もあるのか。

アンディ:うん。

ふじしー:僕、海士町という島にいて、すべてじゃないんだけど、やっぱりね、周りからやってくる探究が多い気がしていて。僕がいる島は人口2300人の島で、人口が減っていく中で高校がつぶれてしまうかもってことからV字回復した島なんだけど、地域の課題がたくさんあるんだよね。だから解決しなきゃいけないことってたくさんあって、じゃあ子どもたちから生まれてくることって何なの?っていうところは、大人が求めている課題と違ったりするんだよね。

アンディ:うん。

ふじしー:だから、創造的な課題がコミュニケーションをとる中で、いつの間にか地域の課題に持っていかれていて、、っていう場面が、すべてじゃないよ、全部じゃないんだけど、そういうのは僕自身もあるかなぁーっていうのを感じた。

アンディ:うん。特に感度が高い子は、感度が高いって言い方も変だけど、他者に興味がある子は、ついそういうふうに困っている人がいるとか、解決しないことがあるというと、そっちに気持ちが向いて、それももちろん大事な探究だし、その中に自分のどんな欲求が隠されているのかとか、これを進めていった後に自分の中に何が残っていくのかとか、そんな中からまた次の創造的な探究がうまれていく可能性にも開かれていくといいよね。

ふじしー:なるほどねぇ。確かに。
ちなみにアンディは今、探究していることって何かあるの?

アンディ:そうだねぇ。

ふじしー:あ!これみんなにも聞こう。

アンディ:そうだね。

ふじしー:自分自身が本当にやりたいと思って探究していることって、皆さんにもたくさんあると思うんですけど、それをぜひ教えていただければと思うんですが。

「あなたが今、探究していることはなんですか?」
ぜひその答えを、チャットで教えてください。

なんか、今パッと思い出したから話すね、しつもんの答えを待ちながら。大学生から相談を受けた時があって。論文を書かなきゃいけない、でも僕大学卒業していないからわからないんだけど、ああいう論文って、もともと自分から問いを作って、それを解決したり解釈したりすることを発表するんでしょ?だけどそれが、教授から問いは与えられていて、という話を聞いたときに、あ。まさしくそういうことか、というか。

アンディ:うーん。

ふじしー:別に悪くはないと思うんだけど、本当に自分がその問いに自分事として取り組むことが難しいんだろうなと。

アンディ:そうだよね。昨年まで大学に勤めていたんだけど、ふじしーに来てもらったゼミの中で、1年目のゼミでは創造的な探究「あなたは何をしたいのか」とか「何でワクワクするか」っていうことを、1人ずつとすごくじっくり話して、テーマないし問いをたてて、そこから探究していくっていうことをやったんだけど。最初はみんなその問いがたった時に「おお、なんか楽しそう」って思うんだけど、持続しないんだよね。全然。

ふじしー:えー。そうなんだ。

アンディ:そう。それって、やりたいことをやらせてるみたいな状況に、なんかジレンマになっていって、2年目はふじしーにもプロジェクト関わってもらったけど、僕の方で4つのプロジェクトを作って、それに選択して入って。どちらかというと課題はある程度あって、それをどう進めていくかとか、課題をどう再設定するかっていうことを学生たちがやっていったっていう探究の仕方で、そうするとなんかやっぱり、今年もふじしーに個人的に相談がいったりして、そこからやりたいことが生まれてくるっていうのがあって、、。

ふじしー:ジレンマだね。

アンディ:うん。

ふじしー:あー。しつもんの答え、ものすごくたくさんいただいています。
「みなさんが探究していることは何ですか?」というしつもんでしたが。

『人が成長するポイントは何かとか、自分の内側にすべてある意識でつくりだせること』
『夢と現実のギャップの埋め方はどうすればいいか』『一人一人の幸せは何か』
『自分の中の反応とその奥にある恐れや不安を認識することで自分をニュートラルにすることを探究している』

すごいなぁ。みなさん。

アンディは、最近探究していることある?
本当にここ数日でも、時間をかけて探究していることでいいんだけど。

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