俺がお前でお前が俺で(ゴリラ舎)
つまです。
先日、私が動物園でゾウの鼻水を浴び続けた話をしましたね。
それがこちらの記事です。
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ゾウの鼻水を浴び続けた妻
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今日はですね、これまた動物園でのお話をします。
ゴリラ舎でのお話です。
「俺がお前でお前が俺で」
あれは私がまだ幼稚園生のころ、家族で地元の某動物園に行きました。
そこで出会ってしまったのです。
ゴリラの「やすこ」に………。
そう、自分と同じ名前のゴリラに出会ってしまったのです。
その時は何だかむず痒いような気持ちになりましたが、それだけでした。愛着が湧くわけでも、嫌な気持ちになるわけでもなく、ただただ自分と同じ名前のゴリラをガラス越しに見ていました。
しかしその数年後、小学生になった私は遠足で再びその動物園に行くことになってしまったのです。
これは小学生の私にとっては大変な出来事でした。小学生の好きな単語、爆笑ワードといえば「うんこ」「おなら」「ゴリラ」じゃないですか?「ゴリラ」ってとっても頭が良くて仲間思いでかっこよくて強くて、大好きですよ?でも小学生の時って「ゴリラ」って超・からかいワードじゃないですか?そんなもん、遠足に言って同級生と同じ名前のゴリラがいたらどう思います?絶対に「おいやすこ〜!お前ゴリラやったんか〜!」的な低俗なイジりが男子を中心に始まるじゃないですか?なんなんですかあの小学生の女子いじり?好きな子をいじめたくなるとかよく聞くけどそういうのはこの世から滅せよって思いますね。滅せ。ばかもんが。ちょっと話がズレました。とにかくそんなゴリラ見つかろうもんなら、1週間ぐらいあだ名がゴリラじゃないですか?絶対に見つかりたくないじゃないですか?
遠足で、班行動になった時に私はこう決意しました。
なんとしても、
ゴリラ舎を避けねばならぬ
そこからの私はよく覚えてないけど、あの手この手でゴリラ舎を避けてみなを誘導し、動物園を回りました。全然覚えてないけど、すごい努力だったと思います。すごく頑張った。私。抱きしめてやりたい。
けれども…無情にもその時はやってきました…
みな、やはりゴリラは見たいと言うのです。
「ここまでか………」
私は半ば泣きそうになりながら(抱きしめてやりたい)ゴリラ舎へ足を踏み入れたのです。
しかし……
ゴリラのやすこはいなかったんです。
(あれ?やすこ、いない…?なんでだろう…?でも、よかった、これでからかわれずにすむな。)
やすこがいないことに少し引っかかったものの、私は安堵しました。よかった。あの(クソみたいな)イジりをされなくてすむ…。ていうかね、イジり笑いってクソだと思いま
話がズレました。
そんなこんなで、ゴリラ舎を出た私の足取りは軽く、その後の遠足はとても楽しかったです。あんまり覚えてないけど。
班行動をしていた私達は、全体集合場所であるゲート付近へ到着しました。集合時間まで、まだ少し時間があったので、それぞれ土産物屋を覗いたり、走って遊んだりしていて、私も気まぐれにふらっと一人で近くにあった展示室へ行くことにしました。
展示物を見ながら(ほとんど漢字が読めずわからなかった)、展示室を奥へと進んでいくと、大きなガラスケースに大きな何かが入って、プレートに何やら書いてあります。なんだろうと思いながら近づきいた私は、ハッとして立ち尽くしました。目の前にある大きな黒い塊、見覚えのあるひらがな三文字。
やすこ、剥製になってた
ガラスケース越しに再開する二人のやすこ。
人間の方のやすこは暫く立ち尽くしたあと、静かに集合場所へ向かいました。
その再開以来、私はゴリラを他人のようには思えません。俺がお前でお前が俺で。やすことヤス子のお話でした。これからも頑張ってやすこの分まで生きようと思います。