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覚え書き
最近、プロアマ問わずショートショートを読んでいて、ショートショートを紙の本として売るのがなかなか難しい理由の一端が、なんとなくわかってきました。
一冊のなかでどうしても出来不出来の波がある。これが最大の難点ではないかと思います。序盤につまずいてしまうと、後半を読むのが苦痛になってきてしまいかねない。作品の好みは人それぞれなので、万人受けを狙うのはなおさら難しいのではないかと。たとえ後半に出色の作品があっても、序盤の印象を引きずっていて十分に楽しめないおそれすらある。
掲載順を決めるのはそれこそ編集者の仕事の範疇なのかもしれませんが、模範解答がどこかにあるわけでもありません。
持論ですが、ショートショートの成立要件のひとつに「意外な結末」があると、私は考えています。しかしこのことも、作品ごとの印象の均一化の妨げになっているかもしれません。
いかにその結末が意外だったか、いかに綺麗に騙されて心地よかったか……を判断基準にしてしまうと、それこそ個人の印象に過ぎず、千差万別になる。綺麗に騙される幸福な読者もいれば、読んでいる途中で結末に気づいてしまう聡明な読者もいる。その点の均一化を図るのはまず無理だと思われます。
本格寄りのミステリー作家が一作ごとにぶち当たる「意外なトリック・綺麗に騙される面白さ」というハードル飛越を、ショートショート作家は一冊のなかで何十回も繰り返さねばならないわけです。難しいのは当然です。
もちろん、特に意外な結末は用意されていなくても、ショートショートというか小品が成立しないことはありません。ただ、結末に主眼を置かないのであれば、なぜディテールを描き込んで短編や長編にしないのか、その題材はその程度の薄っぺらいものなのか、という疑問は必ずついて回ることでしょう。
意外な結末を作り出すこと自体にはある程度テクニカルな部分があり、既存の作品から学んだ、拡大再生産的なアプローチが可能です。
しかし、その技法すらも封印するとなると、ショートショートの面白さの本質はいよいよ万人に向けて訴求しづらくなってしまいます。
ショートショート、好きなんですけどね。歯痒いところです。
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