#880字小説『愚痴垢』/誕生日【#シロクマ文芸部】
◆小牧幸助(シロクマ文芸部・部長)さんの
「誕生日」から始まる小説・詩歌を書く企画に参加します。
※詳細は本文後に記載
#880字小説 、3分程度で読了可能な超短編小説ですので、
ぜひご一読ください。
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『愚痴垢』
「おいおいおい。お前のアカウント、愚痴が止まんねぇなぁ」
「自由に呟いて、何が悪いの」
「悪いとは言ってない。ただ、なんで誕生日なのにそんなに荒れてんだよ?」
「それは……」
「ほい、ケーキ。コンビニので悪いけどな」
今日は、僕の30歳の誕生日当日。
だけど、SNSにアップする写真もないし、祝ってくれる人もいない。
……はずだったけど、1人きりでサービス残業中に同期社員が差し入れを持って来てくれた。
僕と全く同じ生年月日なのに、恋人や友人たちに囲まれて、盛大に誕生日を祝ってもらっている「Lv30♂」の「レベルアップした!」とはしゃぐ投稿が目に入ってしまったんだ。
そいつと比べて、自分が惨めに思えて落ち込んで、八つ当たり。
誰かと自分を比べて幸福度を測るなんてナンセンスだ、とわかっているのに。
「なんで僕の誕生日を知ってるの?」
「お前のアカウント覗いたら、風船飛んだから」
「あ、あれは……」
「プロフ見たし。お前、愚痴垢のわりに個人情報ばらしすぎじゃねぇ?」
「でも、僕の愚痴垢の存在を知ってるの、偶然見られて知られた君だけだし」
「じゃあ、俺が気づいてよかったよ。一緒にケーキ食おう。どっちがいい?」
涙でにじんだ視界でも、いちごのショートケーキとモンブランだということくらいはわかった。
食べ終わったら、愚痴垢の呪いの投稿を消去しよう。
アカウントごと消すのは……、まだ保留。
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#シロクマ文芸部 /11/9発表・11/12〆切のお題
「誕生日」から始まる超短編小説(880字小説)でした。
文字数:880字(空白・改行を除く文字数)
◆小牧幸助(シロクマ文芸部・部長)さんの企画に
参加させていただきました!
詳細は、下の記事をご覧ください。↓
★Xのアカウント:想田翠/140字小説・短編小説 @shitatamerusoda
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◆前回の「紅葉鳥」から始まる超短編小説(1400字小説)です。
5分程度で読了可能だと思いますので、ぜひご一読ください。↓
◆前々回の「珈琲と」から始まる超短編小説(1000字小説)です。
4分程度で読了可能だと思いますので、ぜひご一読ください。↓
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