十二支作品「トラ(頭部)」について
あけましておめでとうございます。今年もよろしくおねがいします。
ということで、今年の十二支をテーマに創作した作品についてです。
創作のきっかけ
十二支というものは、創作にとてもいいモチーフです。今年もTwitterに、トラをモチーフとした多くの作品がアップされていました。十二支は、誰もが共有する時事ネタであり、なおかつ魅力的な動物たちでもあります。あと、十二支を創作すると、なんだか縁起が良さそうですよね。
テーマ
従来のトラ作品は、縞模様が無いものはほとんど無く、蛇腹をずらすなどの方法で、インサイドアウトを用いて縞模様を表現するのが主流になっています。
インサイドアウトを用いて創作されたトラには、名作も数多くあります。神谷哲史さんや小松英夫さんの作品などはとても有名です。
一方で、今年だけでも既に5つほど同様の手法で作品が創作されるなど、あまりにも使われすぎて、それだけでは少しばかり食傷気味だとも感じていました。インサイドアウトは、現状ではほぼ唯一有効に2色の模様を折りだす方法です。しかし、陰影を使えば、まるで2色あるかのように見えるのではないか?そこで僕は、蛇腹折りで見られる陰影に目をつけました。
蛇腹折りの陰影を模様に用いる
上記のような手法の作品の代表例は、前川淳さんのクジャクでしょう。ミウラ折りを見事に用いて、非常に美しい陰影をもって模様をなす飾り羽が表現されています。しかし、普通に折っても、紙の重なりには影が生じます。それを使えば、比較的自然な造形、構造で縞模様を折り出せる!という希望的観測が今回の創作の始まりでした。
蛇腹の陰影で縞模様を出すとき、注意するべきことがあります。縞模様以外の面を減らすことです。というのも、多くの面が重なり合っている状態では、このようなアイデアの作品では模様の認識を阻害するおそれがあります。そこで、今回の作品のキーポイントを次の2つに定めました。
・ひと目でトラであると分かるようにする
・縞模様以外のパーツをシンプルにして、縞模様の視認性を上げる
創作過程
今回の創作は、上の展開図から始まりました。本当のことを言うと胴体も作る計画があったのですが、その計画は(確か)夏頃に断念。年末年始に、顔だけに絞った創作を再開しました。
最初に浮かんだ構造が、上の展開図です。そして実は、その構造に一切の変更を加えていませんし、残りの折り方も大方見当がついていました。たまにはこういうこともあります。多くは無いですが。
本折り
今回は蛇腹折り作品、特に面の単純な構成が重要な作品なので、極力無駄な線が見えないようにという意識で折りました。蛇腹折りの経験が少ないので、あんまり分からないけど。
完成品と展開図
こんな感じです。まぁ見ての通りです。強いて言うならば、頬の房毛でかなり悩みましたが、それくらいです。
展開図はこんな感じです。構造から立体なので、ある程度以上正確な展開図を書こうとするとどうしても畳めなくなります。
あとがき
ちょっと反骨的な作品なので記事にしてみました。書くほどの分量でもなかったかな?少しでも創作などの参考になれば幸いです。