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<中国>男と女

Twitterで先日こんなつぶやきを見かけた。

中華系の彼女にデート費用を時々割り勘にしよう、と提案したら「今までの彼氏は全額黙って奢ってくれたし何ならクレジットカードごと渡してくれた人もいる」と逆ギレされた

それに対して様々な人が「中華系の女は気が強くて自分を女王様だと思ってて、男のことなんかATMくらいにしか思ってないんで別れた方がいいですよ」とリプライしていた。

女王様だと思っているかどうかは別として、確かに気が強い女性は多いと思う。ただ、実際中国(のド田舎)で生活していると、気の強い女性よりもはるかに質の悪い男性に悩まされることの方が多い。

例えば、ジムで運動していると見ず知らずのおじさん達からじっと見られる。

あまりに不快なので睨みつけてもそれでもなお、見てくる。時には近くまで来て見てくる輩もいる。負けじと「このマシン使いますか?すぐ終わるんで待っててください」と言うと、「いや……」と言って数歩下がるが、私が別のマシンに行くとまたその近くまで来る。そしてまたじっと見てくる。私がジムを出るまで見ている。何しにジムに来てるんだ。自分の筋肉に集中しろ。

タクシーに乗って行先を告げると男性運転手から「一人で暮らしてるの?結婚してるの?彼氏はいる?何歳?」と質問攻めに遭う。

更に、質の悪い男性は職場にさえいる。

初対面での第一声が「あなたは綺麗ですね」だった事務科の男性。会う度に「彼氏はいる?」「将来中国人と結婚したい?」「今度二人で旅行にいこう」などとたわけたことを言ってくる。
私の自宅アパートの管理も担当しているので、必ず月に数度のメンテナンス時には顔を合わせなければいけないし、何より彼が私の部屋番号を知っているのが怖い。
そして私は結婚相手の国籍は別にどこだっていい。どこだっていいが、絶対にあなたではない。もっと私の心の声に忠実に書くと、お前はねーわ。

そもそも結婚するか分からんし。

そうなのだ。彼らの何が質が悪いかというと、独身の女性は全員結婚したがっていると考えているところだ。これは何も中国人男性だけではなく、日本人のおせっかいおばちゃんおじちゃん達も同じだと思うのだが、彼らは自身がその結婚相手にふさわしいと信じて疑わない、そこら辺単なるおせっかいさん達にはない面倒くささがある。

ある時、その男性のいる事務所へロシア人の同僚と行ったことがある。

彼は私たちを見るなりにこやかに近づいてきて、「〇〇のビーチリゾートのホテルだよ」とそのホテルのチラシを私に押し付けてきた。隣のロシア人には目もくれず。

顔の美醜は人それぞれ基準があるので、彼女が私より美人だとは言わないが、最近の中国人の美のステータスのひとつである肌の白さは圧倒的にロシア人同僚が上である。私よりも背が高いし、私よりも細い。そして私よりも優しい。これは自信をもって言える。
彼と目も合わせずチラシも受け取らない私より、「へぇ、あそここんなきれいなホテルがあるんだ」とにこやかに会話をする彼女の方が明らかに優しいではないか。

それでも彼はかたくなに私を狙ってくる。何故か。ロシア人同僚には子供がいるから。

たったそれだけである。

子供がいるだけでもしかしたら独身かもしれないのに、彼はロシア人そっちのけでホテルのよさを私に訴えていた。

ちなみに私以外の独身の40代までの女性の同僚も皆、同じようにナンパの被害に遭っている。インドネシア人の50代の同僚は「私も主人と死別して独身だけど、ナンパはされなかったわ」と笑っていた。

要は、若く(見え)て独身なら誰でもいいのだ。

・責任を持って仕事をしている
・笑いのセンスがある
・家族思い
・動物が好き

とか、そういう価値観なんかあってもなくてもいい。そもそも内側なんか見ようともしていないのだから。

ある時、ボスが「年末のパーティーで各国の民族衣装を着てファッションショーをしよう」と言い出したことがあった。

それに対して夫婦で働いているスペイン人が「私はフラメンコダンスのドレスを持って来てるけど、この人(夫)のはないのよ」と言うと、ボスは一瞬ぽかんとして

ファッションショーに男はいらないでしょ

と笑った。

その場にいた他の中国人たち(女性含む)も笑っていた。
外国人たちは「現代のグローバルスタンダードには合わない考えだね」と言い、前時代的なファッションショーはどうやったら中止させられるのかという話をした。

私たちはそれに女性蔑視や男尊女卑などの病名を付けて治療しようとしてきたが、彼らにとってそれは当然のことなのだ。それを前提に生活している。

「中華系女性は気が強い」「男のことを金づるとしか考えていない」というのは、社会がそういう女性を作っただけではないのだろうか。

男性のために若く綺麗に存在している女性。

だから女性は見られて当然、デートに誘われて当然、結婚してあげるんだから。


前述のファッションショーは「女性だけが出演するんだから、女性社員には当然その分の給料が支払われるんですよね?」というアメリカ人の質問で中止になった。

それよりも、見られて不快だ、デートに誘われて不快だ、結婚相手の候補として見られていること自体が不快だ、ということをはっきり伝えずに、ただ無視を続ける面倒くさがりな私こそ現代のグローバルスタンダードに合わない価値観なのだろう。

もしまたデートに誘われたり結婚について聞かれたりすることがあれば「お前はねーわ」と返事くらいするべきなのか。

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