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Neo Doll 2024

まあまさかこんなに早く再演がくるとは。
(※大いにネタバレしております)



「NeoDoll」キービジュアルのメルヘン感を良い感じに裏切ってくる重ためなストーリーでございまして、戦争を終えた世界線で巻き起こる近未来的なようでドールの成長に合わせて人間の感情を丁寧に再認識させられるお話。
爆弾投下の音が苦手だったんですが、前回より大きい会場になっていたのでまあまあ耐えられるくらいには…

「今より少しだけ未来」のお話の中に、20年以上前の戦争の話が出てくるというのが、それってもう直近に戦争が起きてしまうのでは…と思って前回は怖くなっていたんですよね。そして初演時はストーリーはあんまり刺さっていないと言っていたのですが、なんだか「こういうものだ」と思って見るからか、1年熟成されて感情を知っていくドールのセリフの1つ1つに少々自分の感情を動かされるようでした。
でもその刺さっていないところを大幅にカバーする音楽の良さがありまして、久しぶりに聴いた曲が全て懐かしくてマイ初日は最初から涙目。ドールの訓練の辺りで曲が少しアレンジされていたり、背景の絵が追加されていたりアンサンブルの方が新しく加わったりで細かいブラッシュアップと会場がだいぶ大きくなったので広々と踊るドールたちがよかったなぁと。
ただ、普通に見ていてもステージが見えにくいシアターHなのに、ツバキとルビーの緊迫した大事な場面をステージ下でやるというのはちょっと解せぬ。

そして私はどうしても博士たちの背景と思惑のほうに気がいってしまうのですが、1番のサイコパスは親友とは言え亡くなった命をドールにしてまで蘇らせようとした桜葉博士、という印象はやっぱり変わらず。それを「愛の力で」と歌うところでゾッとしたり。他の方のポストで「ツバキもノバラも桜葉博士のことは思い出さない」といった内容をお見掛けして確かに!と思ったのですが、もしかして親友ではなかったの…?と考えだしたら違う方向に膨らむ妄想。
でも、桜葉博士もルビーも「諦めないで」って口にしているのに気付いて、やっぱり親友だったのかななんてことも思っていました。

千石博士は、今回飛龍さんが「悪」に振り切ったために真の悪役と化していたのですが、千石ソングの中にある「あの人」が一体誰なのか、個人的にはこの今の物語には出てこない人なのかなと思っていたりするんですが、千石さんをここまで狂わせるくらいに大事だった人がいたことにちょっと胸が苦しくなったり。誰かを愛するが故に心が闇に覆われてしまったクインベリル様的ポジションに近いかなと。
なんというか本当に千石さんがツバキを盗んだのか?というのはずっと疑問に思っていて、というのも桜葉さんに「ツバキを返して!」と言われたときの千石さんが嘘を言っているようには見えなくて、そもそも桜葉さんが作ったドールだと分かっていたら会わせるようなことしないのでは… とも思い、いや会わせても気づかれない自信があったのか、でもそのあとにお前は紛れもなく人間だとも話しているし、あの影絵の中にある注射は一体…??とまだ疑問だらけだったりします。

もし続編があったら、再度復讐をしに来た千石さんをドールたちが治癒していってあげてほしいですね。絶対元は普通の人だったはずだし、過去と向き合って苦しむ千石さんを飛龍さんの芝居で見たい。

そして行った日の公演によって見え方は異なっていたのですが、最後にもうドールたちが自ら考え人間の思考を変えることができているということにちょっと怖くなった日があって。どうかドールたちが負の感情に支配されて人間を襲うことのないよう願っています。

と、スーパーネガティブ期に観劇してしまったため思考が重ためかつ後ろ向きね。本当にやぁね。

以下は印象に残った演者さんのことをつらつらと。

お顔がとてもタイプ…と思っていた藍染カレンちゃん。
初めましてでどんな方か存じていなかったのですが、幕開きの無機質なドールというより洗脳されたドールという言い方のほうが合う目の見開き方からすでに心を奪われてしまった次第です。少し低めの声もまた良くて、すぐさま好き~!となってしまいました。ニカーって笑ったときの笑顔が可愛すぎる。

同じくルビーの桜井えまちゃん。
シンプルに全てが良い。変に癖がない真っ直ぐな歌とお芝居が本当にとても良い。Jewelはみんな技量のある方がキャスティングされているので、その中のリーダー的ポジションとなると大変そうなところ、全く負けていなくてとてもとても良かった。またミュージカルに出てほしいというか絶対に出たほうがいい。

拝見できるのをとても楽しみにしていました、輝生かなでさん。
宝塚の元男役さんが演じるリンドウを見ることができるなんて!という嬉しさ。とても踊れる方というイメージはあったんですけど男役時代を拝見できていないので、どちらかというと女性らしい綺麗なお姉さんのイメージが強くリンドウはどうなるのかな~と思っていたところ、めっっっちゃくちゃピュアなリンドウさんがそこにおりました。
他の方ももちろん素敵だったんだけど、動きも声のトーンもツバキとの距離感も私の中のベストオブ理想的なリンドウ。ダンスはもう釘付けでした。ツバキになりたい。あぁツバキになりたい。

拝見できるのをとても楽しみにしていましたpart2、愛蘭みこちゃん。
宝塚時代からとても好きな娘役さん。可愛らしい雰囲気ですが、かっこいい女性も似合う方。ツンっとしたお役は絶対に似合う(そして見たい)と思っていたので、クリスタルと配役が出たときは嬉しかった~~
表情の豊かさが大好きなんですが、今回も冷たい表情からガーネットを受け入れるときの戸惑うお顔も、死というものと直面したときの涙も、本当に素敵。あとラップはもう毎回テンションが上がる上がる。座席で動いちゃいけないのが辛いくらい。もう舞台に立たれないかと思っていたので、これからも芸能活動されていくと知りそれも嬉しかったです。(がんばれみこちゃん~!!)

エメラルドの西葉瑞希さんは、本当にダンスがかっこよくて視線泥棒。サファイアの小山璃奈さんも、初演サファイアちゃんが大好きな私はそのイメージが強かったけど、近い雰囲気の方で嬉しかった。草場愛さんのアザミも好きだったなあ。天真爛漫。そして続投組の明音ちゃん、美音ちゃんも安定感がとてもある方々なので見ていて安心かつ癒しなお2人でした。個性が増していたガーネットちゃんも可愛かった。

そして最後に千石博士の飛龍さん。
初演のイメージがあるので、だいぶ怖いほうへ振り切ったなと思った初見。ちょっと目が合いそうになると逸らしてしまうくらいには震え上がっておりました。知っているはずなのに改めて見惚れてしまうあのスタイルも、圧倒的な歌声も、恐怖へといざなってくれる声色も、まあなんともう贅沢にたくさん堪能させていただきまして、低いセットをかがんで出入りしているお姿、銃を持つ手、接触を注意されたときの嘘くさい笑顔、千石ソングの巻き舌、他にもいろいろ好きなポイントがありまして、全て書き出したら細かすぎて引かれてしまいそうなのでそろそろ自重しますが、やっぱりあの後ろ姿が最高にかっこいい。ちょうど通路芝居で止まるポジションの真後ろの席だった時がありまして、まぁ~~~もう最高でした。脳裏に焼き付けました。
個人的には編み込みが可愛く見えてしまっていたので、ないほうが好きだな~なんて思っていたけど芝居に入ったら全く気にならなかったです。千石さん、毎日自分であみあみしてるのかな。可愛いな。

これはまた再演がありそうだなぁという感じがするので、次回も楽しみにしていようと思います。どうかお願いだから音源を!!出してください!!!!