価格弾力性 -証券アナリスト-

画像1 今回は価格弾力性について解説します。証券アナリスト試験だけでなく、企業のマーケティング活動においても重要な価格弾力性を、グラフを用いて解説していきます。後半では実際の証券アナリスト試験過去問題を取り上げますので、ぜひ最後までご覧ください。それではいきましょう。
画像2 価格弾力性とは、ある商品の価格が変わった時に、その商品の取引量の変わ具合を表す指数です。価格が変わった時、その商品を欲しい、買いたい、と思われる量の変化具合を需要の価格弾力性といいます。価格が変わった時、その商品を売りたいと思われる量の変化具合を供給の価格弾力性といいます。
画像3 価格弾力性が大きいということは、少しの価格の変化に対して取引量が大きく変わるということです。需要の価格弾力性が大きい、とは少し価格が安くなっただけで購入希望者が大幅に増えることを意味しています。需要の価格弾力性が大きい商品は高級品に多いです。例えば、A5ランクの神戸牛が割引でうられていると、購入希望者が増えるのは想像できるかと思います。
画像4 価格弾力性が小さいということは、価格の変化に対して取引量があまり変わらないということです。需要の価格弾力性が小さい、とは価格が安くなったとしても購入希望者はあまり増えないことを意味しています。需要の価格弾力性が小さい商品は素朴な商品や生活必需品に多いです。例えば、スーパーでお豆腐が割引されていても、A5ランクの神戸牛の割引よりも魅力的ではなく、購入希望者もそこまで増えないことは想像できるかと思います
画像5 縦軸に価格、横軸に取引量をとったグラフ上で、需要は青色で示した右下がりの線で、供給は緑で示した右下がりの線で表されます。青色の需要では、縦軸の価格が高いところでは需要量が少なく、価格が下がるにつれて需要量が増えていきます。9円なら買いたい人は1人ですが、1円なら買いたい人は9人いる、ということになります。緑色の供給では需要と逆の動きになります。ちなみに、需要も供給も直線で表示されていますが、細かくズームすると実はなだらかな曲線になっています。そしてそれぞれを需要曲線、供給曲線と呼びます。
画像6 需要曲線と供給曲線が交わる点が均衡価格、均衡取引量を表しています。つまり市場で、商品が5円で5個取引されているということになります。価格がこれ以上だと供給超過、つまり売れ残りが、価格がこれ以下だと需要超過、つまり買いそびれが起こります。
画像7 供給超過の例をみていきましょう。価格が9円の時、供給、つまり商品を販売したい量は9個でが、需要、つまり商品が購入されれる量は1個なので、8個が売れ残ってしまいます。
画像8 需要超過の例をみていきましょう。価格が1円の時、需要、つまり商品が購入希望者は9人ですが、供給、つまり商品を販売さえれる量は1個なので、8人が買いそびれれしまいます。
画像9 それでは、需要曲線と供給曲線から価格弾力性を理解していきましょう。今回は需要の価格弾力性をみていきたいと思います。今、需要、供給ともに価格5円、取引量5個でつりあっているとします。ここから価格が変わると、取引量はどのように変わるでしょうか。
画像10 ここで、商品の値引きが行われ、以前より安い価格で販売されるようになったとします。供給曲線は右にスライドし、3円で7個の取引が行われるようになりました。この時、価格は2円安くなったのに対し、需要が2個増えたことになります。
画像11 つまりこの商品は20%安くなると、需要が20%増えることになります。需要の価格弾力性は価格が変わった時、需要の変化度を表すので、需要の変化度20%÷価格の変化度20%で、1となります。
画像12 次に、需要の価格弾力性が大きい商品の場合をみていきましょう。価格弾力性の大きい需要曲線は傾斜がなだらかになります。需要、供給ともに価格7円、取引量7個でつりあっているとします。ここから価格が変わると、取引量はどのように変わるでしょうか。
画像13 また同じように、商品の値引きが行われ、以前より安い価格で販売されるようになったとします。供給曲線は右にスライドし、6円で9.2個の取引が行われるようになりました。この時、価格は1円しか安くなっていないのに対し、需要は2.2個増えたことになります。
画像14 つまりこの商品は10%安くなると、需要が22%増えることになります。よって需要の価格弾力性は2.2となります。
画像15 価格弾力性の数式を詳しくみていきましょう。繰り返しになりますが、需要の価格弾力性は価格が変化した時の需要の変化を表すので、式にすると、需要の価格弾力性=需要増加分÷割引分となります
画像16 また、需要の増加分は、新しい需要量をもとの需要量で割る事で求められます。たとえば、常連さん10名のお店に2名ご新規さん来店した場合は新しい2名÷10名で20%です。割引分は割引された価格をもとの価格で割ることで求められます。
画像17 よって、需要の価格弾力性は(需要変化量÷価格変化量)×(価格÷需要)になります。また、価格が下がることで価格の変化量にマイナスがついてしまうため、それを打ち消すために絶対値、もしくはあらかじめマイナスをつけておく必要があります。
画像18 それでは例題をみていきましょう。市場需要曲線がX=9-Pで表される場合、X=3における市場需要の価格弾力性はいくらですか。
画像19 X=9-Pは、縦軸価格、横軸に量をとった場合P=9-Xの形で表すことができます。この時、価格Pは6、取引量Xは3となります。
画像20 需要の価格弾力性は絶対値もしくは頭にマイナスをつけた、(需要変化量÷価格変化量)×(価格÷需要)なので、Xの変化量÷Pの変化量×P÷Xとなります。
画像21 また、Xの変化量及びPの変化量は、それぞれを微分することで求められます。X=9-Pを微分すると-1に、P=6を微分すると1になりますので、
画像22 -×-1×6÷3で、需要の価格弾力性は2
画像23 よって答えは2になります

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