若松孝二監督『われに撃つ用意あり』(90) 1968年、原田芳雄と中上健次ーー血縁と朋輩
原田芳雄がいて、桃井かおり、石橋蓮司がいて。まるでーー彼らの青春の記念碑の如き映画だったーー黒木和雄監督『竜馬暗殺』(74)のようなキャストのなか、松田優作がいない。優作は、前年(89)に亡くなっていた。そっくりさん俳優の又野誠治が姿をみせていることも、松田優作不在の印象を更につよくする。
優作で予定されていた役は、蟹江敬三に代わっていた。
原田芳雄を中心とした桃井かおりと松田優作の、長い特別な、三人の関係性。
刑事役が蟹江でなく優作だったら、まったく違う感情の充満した映画に