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『ラスコーインタビュー、鹿』from『エスペラント/“A carved Stone”』

-いいよ、話をしながらでも描けるから
なんでも聞いてくれていいよ。

(今日はここ、ラスコーの洞窟で岩絵に熱中なさっている
(サークルの方にお話をうかがっております。って

-ここでなにをしているんですか、か。
そいつは愚問だな。
見てわからんかな、
岩に刻んでるんだけどな。

(愚問? 愚問かよ! やっぱクロマニョン人は
(社交辞令というものを知らんよなあ、って

-なんのために刻んでいるんですか、か。
そいつも愚問だな。
心のたかぶりがおさまらんから
岩に伝えて鎮めるだけよ。

(岩に伝える? 岩にもまた
(それを受け取る心がある、とか思っているのか、って

-発表予定か、
そいつはかなりかかるらしい。
飼っている犬がこの穴に落ちて
さがしにきた村の少年たちが、
偶然発見するという手はずになっているから
2万年くらいかかるかな。
まあ、あっちゅうまだけどね、あっちゅうま。

(そうだよ、その村の少年マルセルが後のオレなんだよ。
(そのとき、また改めて驚かせていただくけどな、って

-グループで手分けしているか、か。
手分けというのはとは少し違うな。
愚問ではないけれども意図がはっきりしない質問だな。
オレの周波数は、鹿に合いやすいんだな。
鹿は好きかい、あんた。
好きでも嫌いでもない、って!
あんたが噂に聞く宇宙人かい、、、、
心を亡くすと宇宙人になれるらしいが、
そうか、あんたみたいになるのか、、、、

(オレは地球的存在だよ! ただ鹿は好きでも嫌いでもないだけだよ、
(だけどオレを気味悪がっているな、って

-いや、逃げてない、逃げてない!
感染しないように距離を増やしただけ。

(それを逃げてるっていうんだよ!
(それにしてもなぜ鹿なんだろう?、って

-この四頭の鹿は、泳いでるんだな。
ほら、この右から二番目の、こいつの目尻を見てくれ。
下がっているだろ。
こいつら、泳ぐのが好きなんだよ。
泳ぐのは好きかい、、、、いや、よそう、
どっちでもなさそうだからな。

(泳ぐのは、好きじゃない。
(わざわざ海水で消毒する必要は感じないからな、って

-そうだ、あんたのこともここに彫りつけてあげるよ。
せっかくだから。
これで分かるかい、あんただって。
ただの三本線じゃないかって
あんた、ただの線で十分だよ。
まだ山羊にさえなってないよ。
草だな、草。

(そうなんだよ、よく見破ったなあ。
(なにしろオレはラスコーの草叢の精霊だからな、って

-ああ、なにか好きなものを見つけて
心ができたらまたきなよ。

(心の重さに耐えられるようになるのに、
(2万年か、、、、、あっちゅうまだな、、、、



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まつぼっくりのようにつつましく
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