Code for Japanのメンバーとして2020年度VLED勝手表彰「貢献賞」を受賞しました
VLEDの2020年度オープンデータ・ビッグデータに関する優れた取り組みの表彰、通称「勝手表彰」にて、Code for Japanで取り組んできた「新型コロナウイルス感染症対策のためのデータ公開支援」を「貢献賞」として表彰頂きました。
データの標準フォーマットの設計とオープンデータ化の働きかけという、GitHubのコミットログにも載ってこないような部分を評価頂けたことにまず感謝の気持ちでいっぱいです。
データ公開支援の経緯
2020年3月上旬に東京都の新型コロナウイルス対策サイトがオープンソースとして公開され、各地でサイトが立ち上がりました。エンジニアの方々はいつまでこの状況が続くか分からない中で、毎日データを更新されていました。
自治体から新型コロナウイルス感染症に関する情報がオープンデータとして公開されるように後押しすることで、地域のエンジニアの方々による対策サイトのデータ更新がスムーズになり、地域の方々により情報が届きやすくなる状況を作りたいと考え、オープンデータ用の標準フォーマットを作成し、データ項目定義書の公開を進めました。
標準フォーマットの設計にあたっては、東京都のチームの清水さん、天神さんにご協力頂きました。利用者側の使いやすさを担保しつつ、データ作成者側の入力の負荷を上げない最適なバランスを探る上で、また実際に東京都から公開するオープンデータを標準フォーマットで公開する上で、お二人のご協力は不可欠でした。心より感謝申し上げます。
実際に自治体へ展開するにあたり、総務省、内閣官房IT室、地域情報化アドバイザー、オープンデータ伝道師など様々な機関の方々にご協力頂きました。特に「事務連絡」として各自治体に通達して頂けたのは大変大きかったです。いちシビックテック団体では成し得なかったことでした。深く御礼申し上げます。
(出典:https://www.soumu.go.jp/main_content/000680542.pdf)
実際に各地のシビックテックの方々からは、
データ項目定義書があったことで県にオープンデータ化の交渉をしやすかった
これまでになかなか進まなかった自治体との連携を進めることができた
といった声も寄せられました。
私個人としての想い
サイトを開発して立ち上げて終わりではなく、日々のデータ更新によって正確な情報発信をしようと尽力され、自治体にオープンデータ化を働きかけられた各地の開発者の方々を本当に尊敬しています。
そして何よりも、実際にオープンデータ化を進めて頂いた自治体の皆様に心より敬意を表します。実際、自治体によって、庁内で様々な議論や葛藤があったのではないかと思います。
シビックテックの力を信じてデータを公開して頂き、本当にありがとうございます。
授賞式で上記の内容をお話させて頂いたところ、Code for Japanと一緒にこの賞を受賞された福井県の担当の川上さんの受賞コメントで、
信じてデータを公開して良かったです。
とのお言葉を頂くことができました。
信じて頂けて、つながって、本当に良かった。
ちょうど10年前、東日本大震災発生時、私は社会人1年目のエンジニア1年目で、ただテレビに映る津波の映像に怯えながら何も出来ずにいました。
あれから10年経った今、シビックテック活動に参加し、周囲の人と協力しながら少しでも自分の力を活かして貢献できるようになったことが本当に嬉しいです。
課題はまだ残っている
これでめでたしめでたし、で終われないのが、今でも手作業でPDFファイルやHTMLからデータを取得して日々対策サイトの更新をしている地域があるということです。
新型コロナ関係のデータをオープン化できない理由としては、人的リソース不足、情報公開方針の違い、CMSの仕様等さまざまであり、強引にオープン化を求めることはできません。
ただ、自治体からオープンデータが公開されていれば、自治体の情報発信をシビックテックの力でサポートすることが可能になります。それによって、より多くの方へ必要な情報を届けることができる可能性があると考えて頂きたいと思っています。
このコロナ禍は、危機に立ち向かうための連携体制を作る良い機会でもあります。チャンスを逃すことのないように、私は今後も様々な立場から後押しを進めて行きます。