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各国のオープンデータの取り組みを評価するための指標まとめ

訳あってオープンデータの評価モデルにどのようなものがあるのか調べていたところ、Open Data Charterのサイトで公開されているガイドブック内で主要なものをまとめてくれていた。ありがたや。
以下各評価指標についてのメモ。
(アイキャッチ画像出典:CC BY 4.0 Open Data Charter

1. Open Data Barometer

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作成主体:World Wide Web Foundation
概要:オープンデータの準備状況、実装、影響の評価。世界の傾向を分析し、国と世界の地域に関する比較データを提供。
評価方法:コンテキストデータ、技術的評価、二次的なサードパーティの指標を組み合わせた定量的および定性的データに基づく評価。詳細ドキュメントへのリンク
調査対象:115ヶ国(2016年時点、G8, G20の国と、OGP・OECDの加盟国のほとんどが含まれている)
最新結果:2016年8月-12月(4th edition)

日本の評価
結果へのリンク

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・READINESS では GOVERNMENT POLICIESのスコアが69とちょっと低めだが、GOVERNMENT ACTION と CITIZENS AND CIVIL RIGHTS はそれぞれ83 84と高め(基本100点満点)
・IMPLEMENTATION でスコアが低いワースト5は「財政支出:5」「契約:5」「土地所有:35」「健康・医療の状況:60」「環境統計:60」
・IMPACT は3指標で50-70と中程度といったところか

所感
・IMPLEMENTATIONでどの分野が弱いか把握できてわりと参考になりそう
・どのデータを見て評価したのかも公開してもらえると助かる

2. Global Open Data Index

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作成主体:Open Knowledge International
概要:オープンデータとして利用可能な15の主題分野の主要なデータセットの評価。市民社会との関連性を確保するために、主要なデータセットは専門のCSOと共同で開発。
評価方法:専門家のレビューを伴う継続的なクラウドソーシングによる年次調査。調査とレビューにおけるディスカッションの内容は公開される。詳細ドキュメントへのリンク
調査対象:94ヶ国(2016/17 edition)
最新結果:2017年6月(2016/17 edition)

日本の評価
結果へのリンク

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・6つの基準で満点を取れているのが「予算」「法律」「法案」「法人登記」の4点。
・一方で0%だったのは「気象」「選挙結果」「位置情報(郵便番号、住所)」「土地所有」の4点。
・次いでスコアが低かったのは「調達:45%」「地図:50%」。

所感
・なぜか 1. Open Data Barometer​ では95と良好なスコアだった「選挙結果」がこちらでは0。謎なので評価基準を詳しく見てみたところ、こちらの基準では「投票所」のデータ公開が必要とされているという違いが。
・各データセットの詳細ビューに入るとレビュアーのコメントなども見れて面白い。

3. Open Data Inventory

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作成主体:Open Data Watch
概要:21のデータカテゴリにわたる公的統計の対象範囲と公開性の評価。国家統計局(NSO)およびその他の国の公式サイトで提供されているデータを対象としている。
評価方法:熟練した研究者によるリサーチ。政府関係者からの提供情報も考慮される。Open Data Watchのスタッフによる2回のレビューを経る。詳細ドキュメントへのリンク
調査対象:178ヶ国(ODIN 2018/19)
最新結果:2018年7月-10月(ODIN 2018/19)

日本の評価
結果へのリンク

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・データカテゴリ別に見ると、「ジェンダー統計(DV被害に遭った女性割合、管理職の女性割合等)」が3つの基準で全て0となっているのが目立つ
・データカテゴリを3つの基準で俯瞰すると、「対象範囲」でポイントを下げているものが比較的多い
・データ要素から見ていくと、Second administrative level(担当課)の情報の公開が全ての統計データで0となっている

所感
・具体的にどの統計データを見て評価したのか、リンクまできちんと掲載されていて評価内容を確認しやすいのが良い
・担当課はe-Statのメタデータに載っているはずだけど…と思って見てみたら、なんと日本語ページでは担当課名まで掲載されているのに対し、英語ページには「Publisher」として担当府省名までしか掲載が無かった。それでスコア0になっていたのか。

4. OECD OURdata Index

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作成主体:OECD
概要:データの可用性、アクセシビリティ、および政府による利用のサポートに焦点を当てた、OECD加盟国およびパートナー国の政府のオープンデータ政策の評価。
評価方法:OECD事務局による分析とともに、OECD加盟国およびパートナーの公的機関の職員による調査。二次的なサードパーティの指標が含まれる。評価方法はレポート内に記載されているが詳細な評価基準は記載がない。
調査対象:36ヶ国(2019年時点)
最新結果:2019年(Survey on Open Government Data)

日本の評価
結果へのリンク

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・OECD加盟国の中では4位と評価は高め
・2017年と2019年の比較では、3つの指標すべて減少しており、特に「Data availability」が0.30→0.27と減少している(元データはこちら
・「Data availability」「Data accessibility」のコメントでは、data.go.jpの改善が必要であることが具体的に指摘されている。

中央のオープンデータ・ポータルである data.go.jp で利用できる価値の高いデータセットは少ない。中央省庁に向けた取り組みが不足している可能性がある。
data.go.jpに対するステークホルダーのエンゲージメントが不足していることもあり、データアクセシビリティにおいてOECD平均を下回っている。改善するためには、中央政府はポータルがユーザー間の交流のポイントとなり、コラボレーション、イノベーション、市民のエンゲージメントを促進するためのツールへの投資を検討すべきである。

所感
・日本の調査結果レポートのコメントはかなり的確な印象
・評価基準の詳細が公開されるとより参考になりそう
・OECDは有用なレポートが多いが、目的のレポートやデータを入手したい時にあちこちに散らばっていて探すのがけっこうつらい

5. European Open Data Maturity Assessment

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作成主体:European Data Portal
概要:ヨーロッパ諸国のオープンデータの成熟度を評価するための体系。オープンデータ政策、オープンデータポータルの機能、オープンデータのインパクト、オープンデータの質を評価。
評価方法:毎年政府調査として実施。各国の政府関係者が調査票に回答し、European Data Portalのチームと協力して検証と分析が行われている。詳細ドキュメントへのリンク
調査対象:31ヶ国(2019年時点、EU加盟国 + その他数ヶ国)
最新結果:2019年(2019 edition)

日本の評価
なし
ただし各国を比較できるダッシュボード詳細なレポートあり

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・各国はオープンデータ成熟度の高い順に、「Trend-setter」「Fast-tracker」「Follower」「Beginner」の4つのグループに分類されている。
・「Trend-setter」に分類されたのは、アイルランド、スペイン、フランス。
・4つの尺度別に見ると、平均して一番成熟度のスコアが高かったのは「Policy:74%」。一番低かったのは「Impact:57%」。

所感
・毎年評価基準がアップデートされているので、経年比較がしづらくなるデメリットはあるものの、評価体系としての信頼性は高い印象。
レポートが全83ページとかなりのボリュームだが、各国の具体的な施策にも触れられていて施策考える側にとって重宝しそう。
調査票も公開されていて参考になる。

まとめ

・「1. Open Data Barometer」と「2. Global Open Data Index」は最近では更新が止まってしまっている雰囲気。たしかにこれだけの調査するにはかなりリソース注ぎ込まないといけないはずなので毎年実施するのは大変だろう。

・特に評価基準や細かなレビューコメントが公開されているものはネクストアクションを検討しやすく参考になる。順位だけでなく中身もちゃんとチェックする習慣を付けていきたいところ。

・「5. European Open Data Maturity Assessment」のアジア版とか作れたらとても良さそう。ただEUでいうところのDCAT-APのような共通の標準を設定できないとそのまま導入は難しいか。

・今回ODIの「Open Data Maturity Model」を外した理由としては、具体的に各国を評価・比較した結果等が見当たらなかったからなのですが、もし導入事例をご存知の方がいましたらご一報ください。


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