国民民主・田村まみ参議院議員による中間年薬価改定に関する質疑(第216回国会 参議院 予算委員会 第1号 令和6年12月6日)
第216回国会 参議院 予算委員会 第1号 令和6年12月6日
国民民主党・新緑風会の田村まみ参議院議員の質疑より中間年薬価改定に関する部分(参議院インターネット審議中継に掲載されている動画の7:13:07~7:32:23)を文字起こししました。
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骨太の方針2024の「経済・財政新生計画」で示された社会保障制度における新たな財政の枠組みについて
田村まみ 委員
加藤財務大臣にはまたかと言われそうですけれども、薬の話に入っていきたいと思います。まず、総理に聞きたいと思います。
総理は所信表明演説で「国民の皆様に安心していただける社会保障制度を構築します」とおっしゃいました。
総理は、本年、骨太方針2024の「経済・財政新生計画」において社会保障制度の新たな財政フレームを示されたのですけれども、これまでの社会保障の財政フレームの考え方と何が違うのかを、まずはご説明ください。
石破茂 内閣総理大臣
社会保障につきましては、2016年度以降だと思います。実質の伸びを自然増の水準から高齢化による増に抑えるという方針を定めたというのを大勢の方がご存じのとおりでございます。
毎年度の予算編成におきまして、制度改革、効率化に取り組むことで達成はしてきたのでありますが、本年の骨太方針2024におきましては、これまでのそのような努力は継続をいたします。で、具体的な内容については、経済・物価動向等に配慮しながら、各年度の予算編成過程において検討したいと思っております。
というのは文章にすると何のことかよくわからないところがないわけではないが、要するに今までと何が違うということは特にあるわけではございませんが、具体的な内容については努力を継続しながら、色々な動向によく配慮をしながら、予算編成を各年度において行ってまいりたいということでございます。
中間年薬価改定の実施について
田村まみ 委員
加藤財務大臣にお伺いします。
財政審の「令和7年度予算の編成等に関する建議」の中で、薬価、国が定める医療用医薬品の公定価格について、「薬価については、令和3年度(2021 年度)以降、毎年改定が実施されており、本年度も実施される」と記載があります。財務省は本年度も薬価改定を実施するという方針でしょうか?
加藤勝信 財務大臣
少子高齢化が進む中で医療費が増加をしていますけれども、その中でいかに国民負担の軽減をするか、それはある意味では手取りをどう減らさないかということにもつながると思いますけれども、そのためには必要な対応をとっていく、そういった意味で薬価そのものは固定されているわけでありますが、薬の流通価格は、それぞれ卸さんと病院の間とか、卸さんと大量に販売する薬局さんの間等の、それぞれの間の中で様々に変化をしているわけでありますから、その実態に合わせて更新をしていく、これがこれまでの薬価改定で、それを2年に1回だったことを、さらに中間年においても実施をしてきているということであります。
他方で、それが薬価改定そのものが創薬イノベーションを阻害しているのではないか、あるいは医療用医薬品の安定供給という意味において、その確保という点から問題があるのではないかという指摘があることも十分承知をしております。そうした対応として、個々細かくは言いませんが、今回これから提出させていただく令和6年度の補正予算においても対応を考えさせていただいているところでございます。
その上で、令和7年度の薬価改定においては骨太方針2024で、「イノベーションの推進、安定供給の確保の必要性、物価上昇など取り巻く環境の変化を踏まえ、国民皆保険の持続可能性を考慮しながら、その在り方について検討する」とされています。様々な考慮の視点、要請が盛り込まれておりますから、そういったものに応じられるよう、メリハリのある対応を図るべく、年末に向けて厚生労働省をはじめ関係省庁とよく調整をしていきたいと考えています。
田村まみ 委員
月曜日にも予定されている財政方針演説で、今回も努力して改定して下げていきますという方針が出ないことを祈るのですけれども、次に総理にお伺いしたいと思います。
骨太方針2018で、「新経剤・財政再生計画」の改革工程表に沿って、社会保障費を高齢化による増加分に相当する伸びに抑えるという本年度までの、今、加藤大臣からご説明があった社会保障分野、大変厳しい状況なので色々改革をされたのですけれども、毎年薬価にだけ焦点が当てられていて、7年連続で薬価が引き下げられ続けている事実はご存じでしょうか?
石破茂 内閣総理大臣
2年に1回であったものが1年に1回になったということは承知をいたしております。
そこにおいて、薬価のみに焦点を当てたものではございませんで、いかにして給付、そして負担の在り方をより良いものにしていくかという視点でやってきた。
ただ事実として、2年に1回であったものが毎年になったね、ということは承知をいたしておるところでございます。
医療用医薬品の供給不安への対策について
田村まみ 委員
それでは事実としてその結果、今の状況下として医療用医薬品が不足して、国民生活や患者に大きな影響が出ているということが報道もされていますけれども、総理は具体的にご存じでしょうか? 認識をお述べください。
石破茂 内閣総理大臣
実際にそういうことが起こっているということは承知をいたしております。
私も地元で40年来応援していただいている方々に関係の方々大勢いらっしゃいますので、そういうことは承知をいたしておりますが、そこでコロナの時にはインフルエンザはガーンと減りました。コロナが収束に向かったら今度はインフルエンザがガーンと増えました。その疾病の発生状況にもよるところがございまして、この薬価だけの問題ではないと思っておりますけれども、そういう薬不足というようなことが起こっているということは認識をしておるところでございます。
田村まみ 委員
厚生労働大臣にお伺いします。
今触れていただいたコロナ禍2020年の冬から顕在化した医療用医薬品の供給不安は4年間経った今でも収束の兆しがありません。
厚労省はこの間どのような対策を講じたのでしょうか?
福岡資麿 厚生労働大臣
今おっしゃられたように供給不安は続いていますが、手をこまねいていたわけではございませんで、例えば企業に対して増産の働きかけや増産する体制整備への補助を行ったり、基礎的医薬品や不採算品の薬価の下支えを行ったり、卸の方々に適切な在庫の確保をしていただいたり、そういったお願いの取り組みをしてきたところでございます。
その結果、今年で言えば、例えば咳の薬等において言えば、去年の11月から1月期に比べて124%の出荷ができる状況になっているということです。
ただ今年、マイコプラズマ等の流行もあって、一部に咳止めが足りないような報道等も出ております。引き続き必要な対策を分析しながら講じてまいりたいと考えております。
田村まみ 委員
7年連続で薬価が引き下げられたことが、私は大きな要因だと考えております。
ジェネリックを中心に多くの薬が赤字で増産要請をしていると言っているけれども、誰も赤字の薬は作りませんよ。補正予算や特例措置で手当てをしていますけれども、公定価格で値段を下げておいて補助金を出すのはちぐはくではないですか。救済のために支援金を付けるという対応は本当におかしいですよ。
福岡大臣は、課題認識と対応策が誤っているとは思いませんか?
福岡資麿 厚生労働大臣
まず毎年薬価改定をするかについてはご意見が分かれるのはご存知のとおりですが、先ほど加藤大臣もおっしゃられたように薬価と実勢価に差があるとすれば、適時適切な時期に国民皆保険の維持のためにも薬価を見直していく作業をしなければいけないとは思っております。
その中で、今おっしゃられましたように薬価の毎年改定が……今、薬価制度において、例えば新薬創出加算みたいに革新的な医薬品だったり、基礎的医薬品みたいな薬価の下支えをしていますが、委員が問題視されているように、例えば流通の在り方とか総価取引方式によって、一品一品ではなく全体が引き下げられるシステムがあります。その中で本当に必要な医薬品の価格がどんどん下がっているとすれば、そこは不採算品再算定とかで薬価を下支えするということは、ある程度合理性のあるものだと思っております。
田村まみ 委員
何かいじめているようなのですけれども、応援するつもりで質問しているのですね。
福岡大臣は今年の5月22日の予算委員会で中間年改定について1回立ち止まって考えるべき、廃止を含めて見直すべきと対応策をご自身で提案されているわけですよ。
まさしく私はこれ、大きな一点になると思うので、今、加藤大臣の言葉を借りて色々なご意見があると言われましたけれども、中間年改定を1回廃止すると厚労省として主張されてはどうですか?
福岡資麿 厚生労働大臣
私が議員として申し上げたのも、その薬価の在り方についてはですね、常に検証すべきだというような意識について申し上げさせていただきました。
その検証においては、従来から申し上げているようにイノベーション推進とか、国民皆保険の持続性に加えて、やはり今、問題意識が出ておりますように、医薬品の安定供給の確保というのは大変重要な論点だと思っております。そういうことを踏まえてですね、今後の薬価改定を適切に実施していきたいと考えております。
医薬品の流通改善について
田村まみ 委員
薬価の取引価格を基準にされていると聞いていますけれども、福岡大臣、この流通改善を行わなければいけないとして厚労省が取り組んでいますが、これは完了しているのでしょうか?
福岡資麿 厚生労働大臣
結論から言うと、まだ今取り組んでいる最中ということでございます。
流通関係者の方が遵守すべきガイドラインを定め、一定のルールのもとで今、取引環境の整備を行っております。ご存じのように今までの総価による値引き交渉だったりですね、過度な薬価差の偏在といった課題があるとされたところから、本年3月にガイドラインを改訂したところです。
それに沿って様々な見直しがされているところですが、長年色々な商習慣として取り組んできたところを今改めるべく様々な取り組みをしていただいている最中だということでございます。
薬不足はいつまでに解消されるのか
田村まみ 委員
正しく出ていない実勢価で薬価改定が続いているということが今わかりました。
総理、患者・国民のために薬不足が一体いつまでに解消されると政府として考えていらっしゃるでしょうか?
石破茂 内閣総理大臣
これからご審議を賜ります令和6年度補正予算案には、企業における更なる増産の体制の支援を盛り込んでおりますので、またご審議を賜りたいと思っております。
で、増産をしましたと、ところがその薬が効く病気は全然流行りませんでしたみたいなことも当然あるわけで、やはり危機管理というところから考えると、ある程度は余裕を持っておかねばならないと思っております。
何年何月までに解消しますみたいなことを申し上げることはできませんが、
中長期的な構造改革につきましては、5年程度の集中改革期間を設けていきたいと思っております。それは卸は卸、薬局は薬局、製薬会社は製薬会社、色々な立場がございますが、国民に必要な薬というものが、適時適切に揃えられる体制を早急に構築する責任は私ども政府にあるということはよく認識をいたしております。
田村まみ 委員
私、(政府は)大きな改革をしていると思っているんですね。
その時に7年連続で薬の値段が下がるというのは、業界の人達は今やる気を失っているんですよ。しっかりとそこのマインドスイッチするために、中間年改定を1回止めて、みんなでちゃんと安定供給基盤を取り戻す、流通価格もちゃんと正常化させる、そのために総理、中間年改定の廃止を決断してください。
石破茂 内閣総理大臣
委員のおっしゃることは、お話としては、なるほどそういうこともあるのかと考えております。
令和7年度の薬価改定のことについてのご指摘かと思っております。ですから骨太方針2024というのを踏まえて対応していかねばならない。そこで大臣からもお答え申し上げましたが、イノベーションの推進と国民皆保険、これをどうやって両立させるのかい、ということでございますので、これ二律背反にならないようにどう考えていくかということです。
なんか抽象的なことを言って何も言ってないんじゃないかというお顔をしていらっしゃいますが、いえいえ(笑)、そこについて、またご陳情も皆様方各方面からいただきながら、そこの一致点というものを見出していきたいと思っております。それこそが熟議の国会でございますので、そのことをよく認識をいたしておるところでございます。
毎年薬価改定を実施する法的根拠の有無と4大臣合意について
田村まみ 委員
一応確認ですが、実際これ毎年改定していく法的根拠はないと思うのですけれども、あるのであれば教えてください。
実際はどこで誰が決めるのか、総理、端的にお答えください。
(加藤大臣と石破総理が、福岡大臣を指さす)
田村まみ 委員
つーっとしているんですけれど、総理、誰でもいいですよ。
福岡資麿 厚生労働大臣
ご指摘のように薬価改定の時期については法律で決められたものではございませんで、ご指摘の診療報酬改定がない年の薬価改定につきましては、平成28年の4大臣合意「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」に基づき、市場実勢価格を適時に薬価に反映して国民負担を抑制するために行っているというものでございます。
その上で令和7年度の薬価改定の方針については、総理がおっしゃられたとおりです。
田村まみ 委員
すみません、確認です。4大臣とはどなたですか?
(委員長は福岡大臣を指名しようとしたが、福岡大臣が紙をめくって答えを探している様子だったためか、鹿沼均厚生労働省保険局長を指名)
【2024/12/9追記】田村委員は総理へ答弁を求めるよう通告していました。
鹿沼均 厚生労働省保険局長
お答えいたします。
平成28年12月20日に決定したものでございまして、4大臣につきましては、内閣官房長官、経済財政政策担当大臣、財務大臣、厚生労働大臣の4大臣でございます。
田村まみ 委員
今呼ばれた大臣の皆様、私が今から言うことをよく聞いておいてください。
まず、経済再生担当大臣に是非お伝えしたいです。
石破総理は所信表明で日本を守ると題して、経済財政の項目に、経済安全保障の観点から半導体のサプライチェーンの国内回帰を挙げておられました。この去年今年の補正予算を含めても2兆、1.5兆と大変大きな予算をつけています。国内回帰のためにこんなにお金がかかっているんですよね。
でも、今、創薬の基盤に向けては、100億円とかそんな補正予算なんですよ。国内製薬企業の上位10社のうち、国内製薬企業の海外売り上げTOP10が9社入っているんですね。その海外の割合66%ですよ。もう国内で薬作れなくなっていくっていうのが、もう数字で出ているんですよ。
遅くなりますよ。そのマインドを変えるために中間年改定を止めてほしいと私は言っているんです。そして何よりも国民に皆保険が制度としてあると言っているのに、薬が適品適時届かない状況、総理が本会議で災害の時に大変数珠つなぎで頑張って運んでいる卸の方話しましたけど、若手みんな辞めてますよ。今、未来が見えなくて。
だから1回止めて、制度を変えると言わないと、本当に安定供給基盤が崩れて創薬できなくなる。今はその瀬戸際なのです。今年考えて止めないと、日本で薬作れない。
是非ご決断ください。総理、いかがですか。
石破茂 内閣総理大臣
委員の真摯な危機感はよく承りました。やはり創薬の能力がすごく落ちているということは、現実として認識をいたしております。
それから国民の税金の使い方として何が一番正しいのか、やはり薬屋さんに行って薬はありませんよと、そして新しい薬を作る能力落ちてますよと、海外に薬を依存しているということが、国家としてどうなのかという視点から、よく意見を承ります。
そこは問題意識を共有いたしますが、なお、その委員はじめ専門の方々の知見というものを承りながら、また行政は行政として今までずっと政策を積み重ねてきて、それはそれで良かれと思ってやってきたことであってですね、ずっと指摘あるように、どこかの利益を代弁してやっているわけではなく、行政もイノベーションと国民皆保険の両立ということを念頭に置きながら、ここまでやってまいりました。
だからそこにおいて、今の危機感というものをどのようにして反映をしていくかというマインドは持っておかねばならないと、今、委員のご意見を聞きながら思ったところでございます。
田村まみ 委員
お願いします。
私は実は専門家ではなくて、スーパーの従業員でした。カスタマーハラスメント対策についても、どうしても聞かねばなりません……
更新履歴
2024/12/8 0:42
田村委員の発言「私、(政府は)大きな改革をしていると思っているんですね。」について、「大きな改革をしている」の主語が政府ではなく、製薬業界や卸業界かもしれないため、( )内を削除しました。
2024/12/9 11:53
4大臣合意の4大臣とは具体的にどの大臣を指しているのか、という質問について、田村委員は総理へ答弁求めるよう通告していた旨を追記しました。
2024/12/27 16:17
国会会議録検索システムに公式の会議録が掲載されましたので、リンクを追加しました。