
サピックス:4年生:440−34(伝統工芸の基礎知識):社会のメモ
伝統工芸の基礎知識
伝統とは
昔から受け継がれてきたものという基本的なイメージを持つことが重要
単に古いだけでなく、長い年月を経て培われてきた文化や技術、精神などが含まれる
例として、中国の4000年の歴史や、代々受け継がれる家庭料理のようなものが挙げられる
伝統的工芸品とは
国(経済産業大臣)によって指定された工芸品
単なる古い工芸品ではなく、特定の条件を満たしたものが指定される
指定されるための重要な条件
100年以上前から続く技術や原材料が使われている
技術だけでなく、原材料も受け継がれていることが重要
100年前には存在していたものが、現在も入手可能であることが必要
ただし、原材料の一部は輸入に頼らざるを得ない場合もある
手作業で作られていること
機械生産ではなく、職人の手によって作られる
日常生活に密接に関わっていること
普段の生活で使用されるものが対象
一定の地域で、ある程度の人数によって生産されていること
産業として成り立っている必要があり、特定の地域で継続的に生産されていることが重要
職人たちの生活を支える仕事として成立していることが求められる
伝統的工芸品の問題点
原材料の入手困難
100年前には存在していた原材料が、現在では入手困難になっている場合がある
後継者不足
若者が安定した仕事を求める傾向があり、伝統工芸の職に就く人が少ない
伝統工芸の仕事は、収入が不安定な場合もあり、後継者育成が難しい現状がある
折り物と染め物
織物(おりもの)
糸を先に染めてから織る技法
代表的な原材料
絹(きぬ)
蚕(かいこ)の繭(まゆ)から作られる
養蚕業が盛んな地域で生産される
シルクとも呼ばれる
着物などに使われることが多い
綿(めん)
綿花(めんか)から作られる
日本でも綿花栽培が行われていた
比較的重く、普段使いの衣類やタオルなどに使われることが多い
吸水性が高い
麻(あさ)
麻の繊維から作られる
丈夫で、漁網などに使われていた
衣類としては、夏向けのジャケットなどに使われる
織物の製造工程
糸を様々な色に染める
染めた糸を織り、布にする
この布を使って、着物やその他の製品を作る
染め物(そめもの)
布を織った後に染める技法
糸を染めるのではなく、布の状態にしてから染める
染め方には様々な方法がある
染め方によって、異なる呼び名がある
伝統的工芸品の具体例
織物
西陣織(にしじんおり)
京都府の代表的な織物
高級な着物として有名
桐生織(きりゅうおり)
群馬県の代表的な織物
西陣織と並び、高級な着物として知られる
結城紬(ゆうきつむぎ)
茨城県の代表的な織物
紬(つむぎ)は、繭を綿状にしてから糸を作る技法を用いる
大島紬(おおしまつむぎ)
鹿児島県の代表的な織物
結城紬と同様に、紬の技法で作られる
久留米絣(くるめがすり)
福岡県の代表的な織物
絣(かすり)は、独特の模様のデザイン
12歳の少女が考案したという説がある
小千谷縮(おぢやちぢみ)
新潟県の代表的な織物
麻織物の一種
雪の上で布を晒すのが特徴
染め物
京友禅(きょうゆうぜん)
京都府の代表的な染物
宮崎友禅斎が考案したとされる
加賀友禅(かがゆうぜん)
石川県の代表的な染物
京友禅と並び、有名な友禅染
琉球紅型(りゅうきゅうびんがた)
沖縄県の代表的な染物
沖縄独特の模様が特徴
様々な地域の文化の影響を受けている
和紙(わし)
主な原材料
楮(こうぞ)
三椏(みつまた)
代表的な和紙
土佐和紙(とさわし):高知県
美濃和紙(みのわし):岐阜県
石州和紙(せきしゅうわし):島根県
和紙の生産地
原材料の楮や三椏が採れる地域が中心
四国地方では、楮のバックが確認されている
アトラスにも記載されている
筆(ふで)
熊野筆(くまのふで)
広島県の熊野町で作られる
筆の生産地として有名
昔はお坊さんが使っていた
京都や奈良へ売りに行っていた
筆の原材料
動物の毛
羊、馬、タヌキなど
書道用、化粧用など、用途によって使われる毛の種類が異なる
熊野筆の例
国民栄誉賞の副賞として贈られた
化粧筆としても使われる
伝統的工芸品が多い地域とその理由
東京、京都
歴史的に人が多く住んでいた地域
都として栄えたため、職人や文化が発展した
新潟を含む北陸地方
豪雪地帯であるため、冬の間は農業ができない
冬の間の生活を支えるために、家で物作りをしていた
出稼ぎに行く人もいたが、家で伝統工芸品を作る人も多かった
このため、北陸地方には伝統的工芸品が多く残っている
その他の地域
日本各地に伝統的工芸品が存在する
その土地の人が、その土地の暮らしに合わせて、原料や技術を使い、生活を支えてきた
それぞれの土地の文化や風土が、伝統工芸品に反映されている