制度の私物化
【ブログ更新日】2022-07-02 08:00:15
市長が市民モニターに対して、「安芸高田市議会の評価について」というアンケートを送付したことについては、前号で触れました。
市民モニター制度は、令和3年度から取り組んでおり、ホームページによると131人の市民が就任しています。この制度の目的は、次のとおりです。
安芸高田市が取り組む施策に対する評価や要望をお聞かせいただき、市民のニーズを把握し、市が今後行っていく施策に生かすことを目的に設置する。
まず、モニターは、「安芸高田市の施策について答えるのが仕事だ」と認識されていたと思いますが、今回は、市長が議会を攻撃している中心課題について回答を求められ、驚き戸惑っておられるモニターが多いと思われます。
市民は、それぞれ政治的、思想的な立場や考えを持っています。
この制度には、こうした市民が広く参加することで、多様な意見が反映され、施策が充実していくことが求められます。
ところが、市長が主催するこの制度に、市長が攻撃している中心課題を持ち込み、攻撃対象に対する判断を求めています。
モニターは、「政治の道具に使われた」と感じるでしょう。
市民は「モニター制度は、市長のご用達制度だ」と思うでしょう。
今回のアンケートは、この制度への信頼性を失い、市政全体に不信感が拡大させます。
政治家が制度を私物化すれば、こうした現象が起きてきます。
だから、制度の私物化は決して許してはいけないのです。
市長は、政争に目がくらみ、こうしたこともわからなくなっています。
モニターは、市政に関心が高い市民が多いと思われますが、たとえば、甲田のモニターが、美土里町や八千代町の議員の日常活動に関心を持っているは思われません。
モニターと議員が同じ町でも、後援会員でもないと会報等は手にはいりませんし、後援会集会にも参加することはまれですので、情報が伝わらないのが普通です。
こうした状況は、安芸高田市特有のことではなく、全国でも同様です。
ということは、モニターには、16人全ての議員について、答えるだけの環境にないということがわかります。
このアンケートの結果は、有効性、信頼性に欠けることになります。
何のためのアンケートなのでしょうか。
そもそも、このアンケート無理があるということです。
しかし、市長はこのアンケート結果を以って、「議員活動の不十分性」を叫び、議員攻撃の道具に使うのでしょう。
実態を知っている市民はうんざりし、いい加減にしろと思います。
実態を知らないネット市民は、「いいね」を押し、賞賛のコメントを送り続けるでしょう。
これに意を強くした市長は、市政の混乱を尻目に「自治体改革の旗手」を演じ続けるのでしょう。