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二度目の起業で挑む“AI導入”の未来―ANIFTY売却、マッキンゼーを経て2度目の起業にかける想い
はじめまして。FirstShift CEOの仲 思成(なか しせい)と申します。
私はこれまで、日本のクリエイターと世界中のファンをつながる世界初の二次元イラストに特化したNFTプラットフォーム「ANIFTY」を立ち上げ、東証プライム上場企業への売却を経て、マッキンゼー・アンド・カンパニーでコンサルタントとしてテクノロジー領域を中心に生成AIのプロジェクト等に携わってきました。
そして今、二度目の起業として、AI導入を検討する企業とAIサービス(ソフトウェア・コンサルティングサービス・SIer)の最適なマッチングを支援するプラットフォーム - 「AI導入.com」を立ち上げています。
今回、メルカリ・CADDi・ANYCOLORなどに投資してきた投資家やAI領域の業界リーダーを中心に5000万円の資金調達を実施しました。
この機会にこれまでの歩みや、私がAI領域にかける想いをお話ししたいと思います。
ANIFTY創業:クリエイターとグローバルファンをつなげる挑戦
私が最初に起業家として挑戦したのは“素晴らしい作品を作るクリエイターが正当な対価を得る世界を実現する”というビジョンでした。日本には素晴らしいイラストレーターやアニメーターといったクリエイターがたくさん存在します。しかし、彼らの多くは法人からの依頼で作品を描く以外に大きな収益源がなく、結果的に「素晴らしいオリジナル作品を作っているのにマネタイズできず、クリエイターとしての将来を諦める」という壁にぶつかっていました。
そこで当時、NFTの仕組みを活用して、クリエイターが直接オリジナル作品を海外のファンに販売できるプラットフォームを作ろうと考ました。それが「ANIFTY」です。
ANIFTYはNFT市場拡大の波に乗り、リリース半年で世界100カ国からユーザーを獲得し、一部のクリエイターは月収の1/3をANIFTYから得ているという状況をつくることができました。
とあるクリエイターから「自分の作品の価値をもっと信じてみようと思いました」と言われた際に「心からANIFTYをつくってよかった」と感じた感動を忘れられず、自分の起業家としての原動力につながっています。
その後、更なる事業加速を考えた結果、国内最大規模のクリエイターネットワークを保有する株式会社クリーク・アンド・リバー社への売却が当時最善の選択だと判断し、一つの大きな区切りを迎えました。
マッキンゼーでの学び:生成AIに見た可能性
ANIFTY売却後、次に私が選んだ道はマッキンゼー・アンド・カンパニーへのジョインでした。理由の一つは、より多くの企業の“挑戦”を支えたいと思ったからです。コンサルタントとして関わることで、様々な業界・企業の課題に触れ、その解決策を一緒に考え伴奏するのはとても魅力的な経験でした。
1人だけの「生成AI担当者」としての挑戦
私がマッキンゼーに在籍していた頃、2022年11月30日にChatGPTがリリースされました。最初に触れたとき、その衝撃に圧倒され、「これは必ず世界を変える」と強く確信したのを覚えています。
まだマッキンゼー日本オフィスでは前例がない状況だったのですが、当時所属していた企業のオペレーション変革のプロジェクトで、パートナーとマネージャーに「ぜひ自分ひとりだけでも、生成AIによるオペレーション変革を推進させてほしい」と直談判しました。ありがたいことに「まあやってみろ」と言われ、プロジェクトにおいて1人だけの「生成AI担当者」になり、クライアントと伴奏させて頂ける事になりました。
ChatGPTが出たばかりで、マッキンゼー日本オフィスには、生成AIを活用した明確な成功事例がまだ存在しません。クライアント取締役から「本当にROIは出るのか?」と何度も厳しく問いただされ、毎日議論しては跳ね返される、という日々が続きました。けれど、ANIFTYなどを通してテクノロジーに触れ続けた経験上、「生成AIは必ず企業を変革する」という強い確信があり、毎日朝5時に起きては世界中の最新の生成AI事例を収集し、取締役との議論に臨むという日々が続きました。
最終的に「これは行けそう」とご判断頂き、PoCを実施した上でROIが証明され、全社で生成AIを導入していく事が決まりました。クライアントとPoCを一緒に実施し結果をこの目で確かめることが出来、「生成AIは企業を変える」とより強い確信を抱くことになりました。
AI導入におけるギャップ
マッキンゼーでは前述のような、テクノロジーによる企業変革のプロジェクトに多く携わりました。その中で強く感じたのは、企業がAI導入に抱えるギャップです。ChatGPT登場から一定期間が経過したタイミングで、「AIを導入したいし、可能性は感じているけれど、何から手をつければいいのかわからない。具体的にどんな課題をAIで解決できるのかも不明瞭だ」といった声を、多くのクライアントから伺いました。
こういったリアルな課題に触れたことで、私自身「もっと企業がAIの可能性を正しく理解し、正しいパートナーを得られれば、日本企業はより大きなインパクトを世の中に残せるのではないか」と考えるようにいたりました。
二度目の起業へ:最適なAI導入実現にかける想い
マッキンゼーから独立し、2度目の起業を準備している中、偶然、個人コンサルとして企業のAI活用を支援する機会をいただきました。ある大手企業の案件が別の開発会社に依頼したけれどうまくいかず、最終的に私のところへ回ってきた、という話だったのです。
具体的には、バーチャルAIアバターを使った新しいサービスを作ろうとしたものの、音声や動画、自然言語処理など複数領域にわたる開発が必要でした。ところが企業側は「どのAIベンダーがそれらの領域を得意としているのか」や「どこまで専門性が求められるのか」を事前にしっかりと把握できておらず、結果的にミスマッチが発生し、一つ前の会社では失敗しました。
実はこういう失敗例は珍しくありません。急激に進化するAIテクノロジーに合わせてAI企業はソフトウェア・コンサルティング・SIerなど急速に増え続けています。そのような現状に陥った結果、AIを導入したい企業側とAI企業側でミスマッチが発生しています。ミスマッチの結果、「せっかくAIに投資したのに成果が出なかった」「プロジェクトが途中で頓挫した」という事案が発生しています。
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そこで私は、「AI導入をしたい企業」と「AI開発に強みを持つサービス企業側・ベンダー側」を最適につなぐ仕組みがあれば、多くの企業が余計な遠回りをせずに済むと考えました。こうして立ち上がったのが、最適なAI導入のためのBtoBマッチングプラットフォーム「AI導入.com」です。
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私たちが目指すこと:情報格差を埋め、最適なAI導入を当たり前に
日本では少子高齢化が進み、今後さらに人手不足が深刻化すると言われています。いわゆる“黒字倒産”をする企業も増えてくるでしょう。これは経営が赤字だから倒産するわけではなく、必要な人材が確保できずに事業を継続できないという問題です。私は、こうした課題を解決しうる大きな手段の一つがAIだと思っています。
しかし、AI導入のハードルが高いと感じる企業はまだまだ多い。だからこそ、私たちのプラットフォームでは「どのような課題をAIで解決できるのか」という問いをエキスパートが共同で整理し、最適なAIサービス企業・開発ベンダーを紹介するというマッチングフローを用意しています。私も含め、マッキンゼーやBCG、MicrosoftなどでAI案件に携わってきた経験豊富なメンバーが「企業が抱える課題の論点を分解し、AI導入の可能性を探る」ところから無償で伴走し、中立的な立場で最適なAI企業を選定・マッチングします。
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ゴッホの弟であるテオのような"挑戦者を支え続ける"存在でありたい
私の根底には、「挑戦する人を支えるインフラを作りたい」という強い想いがあります。NFT分野においてクリエイターが思い切り才能を発揮できる場を作りたかったのも、AI導入を検討する企業に正しい選択肢を提示したいのも、すべてはその想いが源泉です。
画家のゴッホの弟である“テオ”が、天才ゴッホを支え続けたように、才能や情熱を持って世の中に付加価値を出そうとする企業を支える存在でありたい - その思いを胸に企業にとって最適なAI導入を実現するAI導入.comをリリースしました。
一緒に“AI導入”の未来を作りませんか?COO募集中!
最後に、私たちの事業をさらに加速させるために、BizDev - COO候補を募集しています。
現在、弊社ではMcKinsey、BCG、Amazon、Microsoftで活躍していたメンバーが在籍し、本気で日本の生成AI業界を変えようと情熱を持って取り組んでいます。
スピード感あふれるスタートアップの環境で、自ら事業を動かしたい方、ぜひ以下のフォームよりご連絡ください。より良い世界の未来を作るため、あなたの力を私たちは心から必要としています。
終わりに
ANIFTYから始まり、マッキンゼーを経て、今度は“AI導入”という新たなステージへ。私の挑戦は常に「才能や意志を持った人々が、最大限活躍できる環境を作りたい」という想いとともにあります。AIを正しく活用すれば、より挑戦者が活躍できる - そんな未来に向けて、一緒に走ってくださる方が増えたら嬉しいです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。今後とも応援のほど、よろしくお願いいたします。