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1000回再生を目指すボカロPが何を考えて曲作りを進めたか画像・動画付きで振り返る【DTM】【MV】

はじめに

曲作りの進捗とそのとき考えていたことをXに公開してましたが、文字数が全然足りないしもっと多くの人に見てもらいたいのでこのnoteにまとめます。

完成してYouTubeに投稿したものがこちら。

10月5日に投稿してから3日後、2024年10月8日18時現在のYouTubeでの再生数は138回です。


ニコニコ動画に投稿したもの

2024年10月8日19時30分現在、78回再生です。


曲作り当時思っていたことや、それに追記したり個人的な考えを書いていきます。


①最初の方針

K-POPみたいな曲作りたい

前作はギターを派手目に弾いたロックなバンドものだったので今回は Magnetic - ILLIT (아일릿) にギターぶちこんだ、みたいな曲を最初は作ろうとしてました(無理難題)。

ギターを派手目に弾いた前作

ILLITのMagnetic。超カッコいい。このスピード感はどこから来てるの??

この曲を参考に、132 bpmのちょうどいい感じのテンポに生ドラム音源ではなくドラムサンプルを張り付けた。

ドラムサンプル貼り付けてコード進行考えたところ


やっぱりマスロックな曲作りたい

宮口カイライさんのStella [ demo ]を聞いて、あまりのかっこ良さにK-POP路線からマスロック路線に変更する。


やっぱりロックな曲にするということで、疾走感が欲しくてテンポを194 bpmまで上げて、ギタージャカジャカ弾いてコード進行とリフを何となく決めた。

ギターを自由に弾きたかったのでコード進行はあんまり変なコード入れずにシンプルにした。

ギターのフレーズは開放弦入れたり変拍子にしてマスロック感を出そうとした。

ギター持ってコード進行作ると9th入れたり、Ⅲ7に♭13th入れがち


メロディーはシンプルで少し跳躍を入れてみた。のびのび歌わせたい。

なかなかいいメロディーだと思う。かっこいい歌詞がしっかりハマればそれなり以上のかっこよさになるだろうと思った。」(スマホのメモより)

メロディーの勉強は、好きな曲のメロディーを移動ドで分析するのがいいと思ってます。めっちゃ良いメロディーと思ったものでも意外とシンプルだったり発見は多いです。

あと、跳躍を入れるとなんだかかっこよくなります。

今回はサビの入りとボーカルメロディーの入りが同時ですが、サビでボーカルだけ2拍くらい先走って歌う、みたいな構成もちょくちょく耳にします。

他にもサビ前に数小節追加してサビへ助走つける展開にしたり。


②全体のコード進行、メロディー、構成をざっくり決める

ギターひたすら弾いてよさそうなフレーズをメモする

とりあえずフレーズをストックして、あとからリフとかaメロに割り振る。

開放弦、弦飛び含んだ複雑なフレーズはすぐメモしないと忘れる

なんとなく全体の構成を考える。


ギター全部白紙にして考え直す

マスロック作ろうとしたときあるある、ギター頑張って考えた結果かっこよくないが発動。
ギターリフ、aメロのフレーズを考え直す。

のびのび自然に弾いたフレーズが良さそうでリフに採用した。
マスロックはもうこりごり。

苦労してこねくり回して生み出したものより、時間をかけず自然にできたものの方が良い結果になる、という意見はよく目にします。

今回の構成
リフ→aメロ→リフ→リズム変えたbメロ→サビ→静かな間奏→cメロ→大サビ→アウトロ

1つのセクションだけしっかりアレンジまで作ってから他のセクションに取り掛かると、その時点で曲作りを投げ出す確率がめちゃくちゃ高い気がします。

序盤に全体のコード進行とメロディー、静かなとこ盛り上がるとこをざっくり決めておくのがいいのかな、と思います。

構成をざっくり決めた時点で、曲がチープに思えてコード進行等を複雑にすると、あとで苦労したり途中で投げ出すことがよくあります。

曲をたくさん作っていくと、「この段階でこのくらいのチープさならアレンジしていけばそれなりに様になるな」と完成形とのギャップを理解しゴールを予想しながら作れるようになるんじゃないか、と思ってます。


③ドラム打ち込み

イントロのドラムは手数めっちゃ多めで派手にしたかったので キェルツェの螺旋 - the cabs のフレーズを参考に打ち込みました。

手数の多さから爆撃機と称されるthe cabsのドラム


それを参考にした僕の曲

キックに低音、スネアに音の芯を出すために他の音源をスタック(被せ)したが、今聞くとスネアをもっとドパン!とかっこよく鳴らしたかった。

曲の雰囲気はドラムの音がかなり影響するらしい。

サビで疾走感出すためにbメロでゆったり溜める感じにした。

イントロ以外は大体ドラム音源の内蔵パターンを貼り付けてキックの位置を調整したくらい。

「ここでドラムに拘って時間使い過ぎて曲投げ出しそうになって怖くなった。急いで他のパート作り始めた。」(スマホのメモより)

初心者DTMerや非ドラマーにとって生ドラム音源の打ち込みは鬼門だと思います。

フレーズが分からない、強弱とノリのつけ方が分からなくて打ち込み感が強くなってしまう、OHとかあって音量調節が大変、人が叩けるフレーズという制約がそれなりにある、トラックが多いからその分ミックスが大変、など労力の割に報われづらいと感じます。

最近はドラムのサンプルパックをペタペタ貼っつける方が手軽に様になりやすいんじゃないかと考えてます。


④迷走、他人の曲を聴くのが辛い、前半やり直す

一旦書き出して寝ながらスマホで聴いたら、全然カッコよくなくて愕然とした。

一旦書き出してスマホで聴くと客観視できる。
これ今回のデカい発見でした。

「進捗を目に見える形で投稿してて、それなりに様になるようにって力入れて作ってるからなかなかのプレッシャーになってる。
進みが遅いと思われてそう、と勝手に自分でプレッシャーを生み出してる。

リフがカッコいいかもう判断できない。メロディーは普通に良いはず。
Xで他人の曲聴くと辛くなってくる。

実力以上の名曲を作ろうとして空回ってる感じが凄い。
もっと自分のハードル下げるべきかも。」
(スマホのメモより)

ここで心が折れてますね。

忙しない曲を目指すのをやめ、イントロからやり直すことにした。

入りはシンプルで静か、長めに溜めてからサビに構成作り直した。


⑤ベースとシンセ入れる

ベースは大体ルート弾き、ベース弾くの楽しくて曲作りの中のオアシス。

ファ~としたシンセ入れたら一気に好きな雰囲気になった。

無料で貰ったシンセ、iZotope Iris 2 がプリセットから雰囲気ある音ばっかで大好きです

ボーカルにはSynthesizer V 重音テトを使用した。

自分が持ってるSynthesize V の歌声データベースはMai、Yuma、テトの3人ですが、今回テトを選んだ理由は

・MaiとYumaよりキャラクター性が確立していて人気が高そうで、テトって理由だけで聴いてくれたり宣伝してくれる人が比較的多いと感じるから

・人っぽさとボカロっぽさの中間で声が丁度よく感じ、歌声がかっこよくてこのときの自分の中で曲のイメージと合っていたから

もちろんMaiもYumaのめっちゃ歌上手くて完全に人が歌ってる感じも大好きです。


⑥作詞

音数、抑揚、話の流れの制約と言いたいことの兼ね合いがかなり難しく、いい言葉が降りてくるまで腕組んでうんうん唸るだけで全然進まない苦手作業。

歌詞が違和感なく音にハマってるだけで偉いと思ってます。

かつそのうえで韻を踏んだり、カッコいい言い回しとか上手いこと言えたらめっちゃ凄いと思います。

「曲があんまりかっこいいと思えない。作詞頑張っても、曲がそこそこ以上のかっこよさには絶対ならないな、って薄っすら気づいちゃってモチベが上がらない。」(スマホのメモより)

曲調に引っ張られて思ったよりシリアスかつめっちゃ作文、になって時間かかった。

ふわふわファンシーな単語ポンポンポン、で作った方が絶対楽だった。

今回メロに少し跳躍入れてみたら大変さが増した。

曲も詞も良いか悪いか全く判断できない。

Synthesizer V studioは重いのでスタンドアロンで立ち上げて編集

サビの現状


その後メロディーのハマりが気になったので直した

修正前
修正後

歌詞が音に上手くハマってないと一気に素人っぽくなると感じます。

かっこいい言い回しより音ハメ重視で、まずは加点を狙わず減点を回避することを目指すべきなんじゃないか、と思ってます。

作曲やミックスや動画編集は、一度じっくり取り組んで到達した地点へは2回目以降はすんなり行ける感じがして、自分の技術レベルが積み上がっていく実感があります。

でも作詞は新曲のたびにレベル0からスタートする感覚です。
異質です。


記事の中間くらいなのでもう一回目次置いておきます。



⑦ハモリ、調声

Cubaseの移調機能でスケール上の3度上と3度下のハモリ作る。

調声は自動処理→ノート分割、全体のAIリテイク後に気になるところに再度AIリテイク、あと雰囲気に合わせてテンションとかpowerのパラメータを上下させた。

凄い人だと、キュインキュインと調声してまっせ!って声に加工しててかっこよくて憧れる。
多分ピッチカーブを弄り倒してる。

今回もピッチカーブまで手が回らなくて弄れなかった。

調声は自分の中で最も練習が足りてないと感じる工程。

盛り上がるとこでテンションのパラメータを上げる

サビあたりの調声結果


⑧仮ミックス

前作の反省点として、完成後の音がプロの曲と比べて小さいこと、がある。
これはローミッドあたりで音が被りまくってるのが原因だとネットで見た。

そして今回はミックスでむちゃくちゃ大事だという音量バランス調整にじっくり取り組むことにした。

各トラックをオーディオで書き出して色分けしたところ

全部のトラックを一括でめっちゃ音量下げて、曲中の音量差が大きいボーカルトラックのみコンプとマキシマイザーかけてある程度音量一定にしてから、全体の音量調節開始。

ほぼプラグイン無しで音量調節だけ行った音源。これだけでミッドが凄くすっきりして驚く。

音量調節には石田ごうきさんの音圧アップのためのDTMミキシング入門講座!を参考にしました


最初にドラムからミックスしていく。

キック以外ローカット、あと大体ミッドをカットした後コンプでパツっとさせた。

ドラムをミックスしたところ

ミックスにはKeinoazaさんの動画が作業工程を全部公開してくれているのでめちゃくちゃ参考になります。

「ミッドがモワついてるのでカットしていきますね」って言ってEQ操作全部見せてくれるので、どういう音がミッドがモワついてる状態なのか耳で聞いて勉強になるし、どうやってピークを探すか等のEQ操作の仕方もめちゃくちゃ勉強になってありがたいです。


(僕のミックスが悪かったら営業妨害になりそうで不安です。それは僕の知識と技術と経験が足りないだけです。)

Keinoazaさんのミックス解説動画


色々ミックスした後にボーカルのミックスする。今回ダイナミックEQを使ってみた。

「この曲自分でなかなか好きになってきてる。もっとカッコよくしてあげたい気持ちが湧いてきた。
ミックスがまともならちゃんとかっこよくなりそうな予感がある。」
(スマホのメモより)


⑨ミックス完了、曲完成

なんかバランス悪く感じたので音量調節からやり直した。

sonnox claroで確認できた200 hz付近の被りまくった帯域は色んなトラックでがっつりカット。

3~5 khzも被りがちらしいから、最初からボーカルに譲って他トラックをカットしてた。

ドラムはアンビエントのみ、それとその他全楽器にうっすらセンドでルームリバーブかけた。
ボーカルは追加でうっすらホールリバーブをかけた。

自然界の音は、その空間からの反響音を含んでいる、という事実を最近知って感動しました。

DTMで扱うドライな音源にはうっすらルームリバーブとか足して自然な感じにするらしい。

TK from 凛として時雨くらい音シャキッとさせたいけど全然シャキッとしない。


ここにきてスネアの音かっこよくないと気づいたが、今から音を劇的に変えるのは難しそうで諦めた。

一番最初の、ドラムキットの選択時点でもっとカッコいい音を探したり作らなければいけなかったのかも。

wavesのVUメーターを使ってマスタリング前にヘッドルームを12(単位は分からない)に設定して、針が0付近に振れるまで一括で全トラックのボリュームを上げた。これが正しい作業なのかは分からない。ネットで見たやつ。

マスタリングにizotope ozone 10を使用。
高域持ち上げられ過ぎたのを微調整して完成。

遂に曲が完成

プロの曲と比べるとやっぱり高域の伸びが足りてないように聞こえる。

iZotope製品のAI使って自動で良い感じにしてくれる機能はめっちゃ便利ですが、偏ったバランスにされることが多々あるので微調整したり、その前段階を見直したり、見直さなかったりします。

ozone10でrockタイプと判断されて、ハイがブーストされ、ボーカルやギターがめちゃくちゃ強調されて音量バランスが崩れることはよくあります。

プリセットの変更で起こる音の変化と、内部で行われてる処理とその目的をしっかり把握できたらミックスの技術が上がりそうだと思ってます。

曲作りはここで終了しましたが次からはMV制作です。


⑩MV素材集め

Blender

無料の3DモデリングソフトBlenderでMV素材を作る。

ambientCGとPoly Havenで良い感じのテクスチャを探し、マテリアルとワールド背景に貼り付けて微調整し、背景透過させて画像で書き出した。

torusと球を配置
マテリアルにテクスチャ貼り付け
ワールドにテクスチャ貼り付け、メタリック、クリアコートを1、クリアコート粗さ0でツルツルに
斜めから赤系ライトを当て、背景透過させた


書き出したが結局MVでは使わなかった

あと直方体でも同じことをした。これがメインの素材になった。

端見切れてる?のがポイント
こういう静物!感が好きです


Unreal Engine 5

無料のゲームエンジンUE5でMV素材を集める。

cityサンプルをインストールして、街中を飛び回ってイイ感じの構図をスクショする。fovを小さくして広角にするともっとカッコよくなる。

現実じゃできない地面の下からの構図が好き
ワイヤーフレーム表示にするとまたかっこいい
画面どっかクリックすると青色ワイヤーフレームになる

あとAviutlでオーディオスペクトラムを作る。


⑪MV完成

高機能動画編集ソフトのDaVinci Resolve(無償版)を使ってMV作る。

用意した画像たちを適当な合成方法で重ねると好きな感じになるが、ギラギラしすぎて曲と合わないかも。

静止画だと動きが無くて寂しいから渦エフェクトでむにゃむにゃ動かしてる。

視聴者は動画にどんなこと思ってるか全く想像つかない

かっこよくて好き
ここでドーナツ素材使った
ここでUE5の街並み素材使った
davinci resolveで発見した小技いつか解説したい


⑫改めて完成した動画のリンク貼る

曲名は何となく雰囲気で『憐憫と未来の話』に決定。


⑬制作過程を公開しながら曲作り切った感想

曲作り始めて動画公開するまでちょうど3週間かかり、その間Xに進捗を公開し続けました。

正直時間をかけすぎたと思います。
作曲初期の熱が冷めないうちにサッと作ってパッと投稿して、トライアンドエラーのサイクルをもっと速く回したほうがよさそうだと思います。


自分じゃもう何回も聴いたのでこの曲が良いか悪いか全然判断できませんが、ありがたいコメントを数件頂けて、本当に感謝しています。


今回初めてnote記事を書いてみました。6500文字以上書いて思ったより大分時間がかかりました。

作った曲と同じように、この記事を読んでくれた人がどう思うかは今の僕には全く判断がつきませんが、このnoteから僕に興味持ってくれたり曲を再生してくれる人が1人でもいたらこの行動は正しかったと言えます。

ありがとうございました。


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