ホロライブの卒業・活動終了が増えてきたのは仕方ないよなと思った話
はじめに
この記事で私が伝えたいことは以下のとおりです。
カバーの成長に伴い、方向性の違いによってホロメンが卒業・活動終了するのは避けられない流れによるものである
我々にできることは推し活への依存度を下げて外部の悪意を可能な限り抑えることくらいではないか
思うところがあるのは当然だが、それをもってホロメンや企業、異なる意見を持つファンへの通報レベルの発言や行動はNG
注意事項
私は2024年下旬に、所属する会社との方向性の違いにより人生2回目の転職活動を行いました。その観点から、会社と従業員(≒カバーとホロメン)の間に方向性の違いが生じて卒業・活動終了するホロメンが出てくることについては「当然起き得るし、やむをえない」というスタンスです。
本格的にホロメンの視聴をはじめたのは2023年9月であり、初期からホロメンを追ってきた方と比べてホロリス歴は長くないという点についてご了承ください。
また、話題の特性上、VTuberにおける「転生」について言及いたします。
上記をもとに、閲覧継続をご判断いただければと思います。
カバーの成長に伴い、方向性の違いによってホロメンが卒業・活動終了するのは避けられない流れによるものである
2024年はホロメンの卒業・活動終了が多数発生した
2024/08/06に湊あくあが卒業を発表したことはホロリスに限らずVTuber業界に激震が走るビッグニュースとなりました。それにとどまらず、2024/09/20にはワトソン・アメリアが配信活動終了(卒業とほぼ同義だが、任意のタイミングで復帰が可能ではあるもの)を発表し、2024/11/29に沙花叉クロヱが同じく配信活動終了を発表、そして2024/12/01にはセレス・ファウナが卒業を発表しています。
とくに湊あくあ、沙花叉クロヱ、セレス・ファウナについては、卒業・活動終了の理由として「契約しているカバーとの方向性の違い」といったものを共通して挙げておりました。
約半年という短期間で4名が実質卒業するというのはホロライブプロダクションの歴史として非常に多く、ホロリスにとっては応援するホロメンとの別れを惜しむと同時に、卒業を決断させるに至ったカバー社に対する不満の声も挙がっていると理解しています。
方向性の違いが発生した理由に関する個人的な考え
私はこの状況について、「カバーが上場企業となって継続的な成長を求められるがゆえに、ホロメンに一定の利益獲得を求めていることで方向性の違いが生まれやすい状況なのではないか」と考えています。
直近の四半期決算説明資料を見ると、スライド内に「在籍VTuberあたり年間収益」という項目があります。1人あたり4億円という数値については発表当時いくらか話題にもなりましたが、これは見方を変えれば「在籍VTuberには1人あたり平均4億円の売上を獲得することが求められている」ということでもあります。
沙花叉クロヱの報告配信で「仕事を調整してもどうしてもこれはという仕事が多い」といった言及があったのがその証拠ではないかと思っています。また、それにリソースを割く必要があることで、売上につながりにくい活動(ゲーム配信など、ライブや案件、グッズ制作などに関係しない活動)に注力しづらい等の事情があるのではないかと推測しています。
ホロライブは人気であるがゆえに卒業しやすい状態になっている
そして、そういった事情から方向性の違いが生まれたとして、卒業や活動終了を選びやすい状況になったというのも、卒業を選ぶホロメンが増えた理由なのではないかと考えています。
みけねこや花宮莉歌が契約解除後に活動を再開できていること、結城さくなががおうデザインのVTuberとして活動を行ってチャンネル登録者数100万人を達成するなど、卒業・契約解除後の活動に関しての実績が示されています。
ホロライブにはデビューした時点で相当数のファンが付くほどのブランド力があり、案件などを通して一般層にも名前が広まり、これまでに蓄積したノウハウやコネクションをもとに活動することができます。
それゆえ、
「ホロライブ所属のタレントでなくなっても魂を応援する」というファンを多数獲得できる
卒業して個人VTuberに転生してもじゅうぶんな活動ができるだけのノウハウやコネクションを持っている
といった状況となっており、仮に現在カバーが求めている活動内容と自身のやりたい活動内容に相違が生じた場合に、ホロメンに「収入が下がったとしても、個人勢に転生してやりたい活動をやる」という選択肢が有力なものとして生まれているというのが現状と認識しています。
こうした状況はIT業界などで転職市場が活発であることと同様、自身の持つスキルセットが他企業でも求められており、所属する企業との方向性の違いを感じた場合に我慢せず転職しやすいことと似ていると考えています。
上場企業として利益拡大は必須、それを稼ぐのは当然ホロメン
上場企業となったカバーは、常に成長し続けることを市場から求められています。実際に、上場後は毎年売上・利益を増やし続けてきました。
この売上を実現するためには、高い目標値を設定して、目標値から逆算して各分野でいくらの売り上げを獲得できれば目標を達成できるかを設定し、その目標を達成するためのプラン(ライブイベントやグッズ制作、それに繋がる公式企画、案件の受注)を実現する必要があります。
現在の収益は、ホロメンの関与が不要なグッズ制作を除けばほとんどホロメンから生まれているものですので、それを実現するためには当然ホロメンにもそれだけの成果(実質ノルマ)が求められます。
大口の企業案件があればそれを獲得してホロメンに案件配信してもらう、企画をするにしてもそれをもとにしたグッズを制作する、など。
その結果、配信を主体とした活動を行い、案件やライブなどその他の活動を減らすような方針へと転換するようなことは、市場が求める会社の成長に沿わないため、実現することはありえないでしょう。
我々にできることは推し活への依存度を下げて外部の悪意を可能な限り抑えることくらいではないか
既存メンバーの離脱を防ぐために、我々にできることはあるのか?
個人的な意見を言えば、「在籍VTuberあたり年間収益」という指標自体がホロメンに負担がかかっている事実を示しているので、会社としての売上を増やしつつホロメンの負担を下げるという意味では、様々なものの単価を大幅に上げるか、タレントの数を増やして負担を分散させるくらいしかないと考えています。しかし、どちらも企業として容易にできることではありません。
なにより、この記事を含め、Noteに上がっているようなお気持ち記事も、それをしたからといって何か変わるものではありません。
スパチャやメンシ、グッズをたくさん買えば案件を減らせるのではという考えもあるかもしれませんが、いち個人が多めに買ったところで目立つものではありませんし、むしろ収益が上振れたところで、そこからさらに高い目標を掲げられるというのが関の山です。
そんな状況で私ができることとして、思いつく限りでは、
ホロメンの卒業・活動終了で大きなショックを受けないように、自分自身を主体とした趣味や仕事を確立して推し活への依存度を下げる
ホロメンが余計なことに煩わされることがないよう、ネットの悪意ある記事やSNSの悪意ある発言を粛々と通報する
ことかなと。私の記事が後者に該当するということであれば遠慮なく通報してください。
あらゆるポストにリプライを送ったり、頻繁にコメントやスパチャを送ったりと、日常の多くを費やすほどに熱量を持って推し活していると、卒業・活動終了が発表されたときの喪失感は大きくなります。そういった活動自体を否定するつもりはありませんが、それに依存することなく、卒業や活動終了したとしてもそれを前向きに受け入れられるだけの余裕を自分の中に持つことが大事なのかなと思います。
繰り返しになりますが、今後カバーが経営方針を転換し、ホロメンの自主性のみを尊重して配信主体の活動に変容していくという可能性は限りなく低いと考えています。それゆえ、自身のやりたいことと会社から求められることのギャップが大きくなり、自分のやりたいことを優先するために卒業や活動終了を選ぶホロメンは今後も出てくる可能性が高いと考えています。
いちリスナーとしては、そういう可能性が誰にでもあることを前提に今を推していく(推しは推せるうちに推せ)。もし推しが結果的に卒業や活動終了を選ぶのであればそれを尊重するしかないだろうというのが私の考えです。
そうして卒業や活動終了したホロメンが転生していたときにどう向き合うか?
ホロメンには一生ホロライブプロダクションのタレントのままであってほしい、そのうえで配信を中心に活動してほしいという願いは、強く同意するものの、もはやそれをホロライブに求めること自体が困難というのが私の一貫したスタンスです。
ゆえに、配信中心の活動など、自分のやりたい活動をするためには、ホロライブを卒業して個人VTuberとして再始動……いわゆる「転生」をする必要があります。
そうなった際に、「卒業したことで推していたタレントでなくなったから推せない」のか、「転生によって当人のやりたいことができるようになったことを歓迎して、名前や姿は変わっても改めて推していく」のかというのは、それを受け止める個々人の価値観によるところが大きいと考えています。
私としてはどちらの考え方もあって当然だと思いますので、それを否定することは全くありません。どちらか片方の価値観に寄っている方も、もう一方の価値観に対して否定したり攻撃したりせず、そういう価値観の人も存在するということを受容してほしいとは思っています。
卒業や活動終了して個人勢に転生するという選択肢が有力なものとして存在している現状は、「最悪転生すればなんとかなる」というホロメンの心理的な余裕にもつながります。最後の手段ではあると思いますが、これ自体は現職に不満を持っている人が「最悪転職すればなんとかなる」と考えるのと同様に自然な考えだと考えています。
思うところがあるのは当然だが、それをもってホロメンや企業、異なる意見を持つファンへの通報レベルの発言や行動はNG
もし、ホロライブがずっと配信中心の事務所のままだったらどうなっていたか?
正直なところ、この仮定を考察することは困難です。
なぜなら、我々はすでに、VCからの出資を受け、上場して成長を続けたカバーの経過の上に立っているからです。
配信スタジオは存在せず、3D配信の頻度も少なく、クオリティが今ほど高くない3Dライブが続いた場合、今ほど注目を集めることはなかったでしょう。
今ほどFes/EXPOは拡大していなかったかもしれないし、今ほど大きな企業案件は獲得できていないでしょう。
もちろん、カバーという企業の成長やホロライブの発展に興味がなく、ただ推しのホロメンが好きなことさえしてくれればそれでもいいという人はいるかもしれませんが……もはや今のカバーにそれを求めることは不可能でしょう。
リスナーと会社との間の方向性の違いが生まれることも致し方ない
今からたらればを言っても仕方がない。今から会社の方針がホロメンの自主性のみを尊重する方針に変わることは現実的ではない。となれば、基本的に現状の方針自体が変わることはないだろうと考えています。
もし方針自体を変えさせたいのであれば、筆頭株主にでもなって経営に対して強い発言権を得るくらいしか思いつきませんが……これもまた現実的ではありません。
その結果、リスナーの求めるものとカバーの方針で方向性の違いを感じることもあるでしょう。
しかし、このVTuber業界で生き残るために変化して挑戦していったカバーを一方的に責めることはできないと考えています。
思うところがあったとしても、それが募るあまり誹謗中傷と受け取れるような過激な意見を各所で発信したり、現状を受容しているファンに同様の意見を飛ばすようなことをすることは、誰の得にもなりませんし、自身のキャリアに傷をつけることにもなりかねません。自身の心を守るという観点では、外部に対して攻撃的になるより前に、そうなるほど依存しすぎないように努めることが重要なのではと考えています。
私としては、遅くとも次回の株主総会には現状に対するカバー側の考えも聞けるのではと考えており、それを受けて今後のスタンスを決めていければと考えています。
おわりに
私がホロライブを見始めてから1年と3か月が経過しました。この1年3か月で当初の状況から大きく変わったことについては正直かなり驚いています。
卒業・活動終了が続いている現状と、私自身の転職活動の時期が重なったことで、もしかしてこの両方には関連性があるのではないかと思い、今回の記事作成に至りました。
前職も現職も、多くの人にとっては離職する必要のない優良企業であるとは思います。しかし、私が将来的なキャリアを考えるうえで、その会社に居続けることではそのキャリアを実現できないと考えて転職を決意しました。
もちろん、社会の歯車の一員でしかない私と、個人としての注目を一身に受けるVTuberではキャリアに対する考え方も異なるかもしれませんが……何かしらの参考になれば幸いです。
この程度のホロリス歴しかない私の考えは、ホロリス歴の長い人や、最推しが卒業・活動終了した当事者からすると浅かったり同意できなかったりすることもあると思います。
そういったご意見がございましたら、ぜひコメントお願いします。
ところで、私は夏コミに引き続き今年の冬コミにも参加いたします。参加カテゴリはホロライブではないためそちらの宣伝記事は別途作成しますが、本件に関して直接会話してみたいという方はぜひスペースにお越しください。
2日目s-04b「涼風郡」でお待ちしております。