いつの間にか最後
いつの間にか最後になってしまうことって、たくさんあると思う。むしろ生きていく中では、これで最後にしよう、と思って終わらせることの方が少ないんじゃないだろうか。
子供の成長は早い。子育てをしていると、いつの間にか最後になってしまうことは多い。
日曜日。午前中はのんびり過ごして、午後から家族で散歩をした。
先に娘と赤ちゃんと僕の3人で公園へ。なわとびを500回とんで、その後は赤ちゃんのベビーカーを揺らしたりしながら小説のことを考えていた。よく晴れて日向は暖かい午後だった。
娘は優しそうな親子を見つけて一緒に遊んでいた。遊んでくれたパパには帰り際に会釈したけど、もう少しきちんとコミュニケーションをとるべきだったかもしれない。
やがて妻も合流して、近くの駅ビルへ。無印良品にはお目当てのものはなかったけれど、いくつか必要なものを買うことができた。
「パンを買って屋上で食べたい」と娘が言うので、駅のコンコースにあるパン屋さんでパンを買って、駅ビルの屋上へ。ベンチに並んで腰掛けてパンを食べた。赤ちゃんの表情がおかしかったのがツボに入ったみたいで、娘が体を折って息も苦しそうに笑っていた。こんなに笑っている人を見たのは久しぶりだ。明るくて、温かくて、少し経っても思い出すような、多幸感のある時間だった。
そろそろ帰ろうかと歩きだすと、娘がもう少し遊びたいと言い出した。妻に赤ちゃんを託して先に帰ってもらうことにして、家の近くの公園に寄った。
かくれんぼをしたり、鬼ごっこをしたり。仲良く遊んでいる小学生くらいの子たちがいて、羨ましそうに見ていた。もう出来上がっているグループに混ざりにいくのは、さすがの娘もためらうらしい。
ホームセンターでキッチンの収納グッズを買って、帰宅。壁付けの調味料入れ。コンロ奥の物置き。縦にも横にも置けるフライパンスタンド。ごちゃごちゃしていたキッチンが少し整理できて嬉しい。
お風呂に入りながら、そういえば1日に2つも娘と公園を回ったのは久しぶりだったなと思い返した。公園は2〜3歳頃が一番たくさん行っていたような気がする。1日に4つの公園をはしごしたこともあった。
娘と1日に2つの公園に行くのも、いつかきっと最後になる。「これで最後にしよう」なんて、歌謡曲の歌詞みたいな約束は多分しないだろうから、きっと「これが最後だ」なんて思わないまま、最後の1回はいつもどおり過ぎていってしまうんだろうな。
「これがきっと最後になりますよ。」って、あらかじめ誰かが教えてくれたりしないもんかな。一期一会って、そういう心持ちのことを言うのかな。
昨日も無事に小説をアップできた。いつの間にか最後になってしまったこと。気づかないうちに別れてしまった人について、昔書いた小説を焼き直して書きました。よかったら読んでみてください。
オムニバス掌編小説集、「鳴海ニュータウンズ」は毎週日曜更新、1本100円です。メンバーシップに加入いただければ、260円/月で過去作も含めすべて読んでもらえます。よかったら。