遊戯王カード列伝『スキルドレイン』編
はじめに
どうも、火蛍です。
今回は『スキルドレイン』について紹介していきたいと思います。
古くから存在してはいたのですが時代の変化と共に怪物になっていった歴史ある一枚です。
では見ていきましょう。
スキルドレイン
1000LPを払ってこのカードを発動できる。
①:このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、フィールドの表側表示モンスターの効果は無効化される。
初登場は2002年11月21日発売のガーディアンの力です。
効果は読んで字のごとく『テキストが短いカードは強い』の不文律に当てはまるカードです。
このカードは非常に歴史が古く、その中で何度も活躍期があるため明確な活躍時期は今回あえて記載しません。
では早速このカードが環境に与えた影響を見てみましょう。
このカードが環境に与えた影響
このカードの効果が及ぶ範囲
まずスキルドレイン(以下スキドレ)の無効化が及ぶ範囲について解説します。
テキストにもある通り『フィールドに表側表示で存在するモンスターの効果』が無効化されます。
当然それ以外の範囲は無効化されません。
ちなみに無効化されてしまう場合でも『カード効果の発動の宣言』は可能となっています。
スキドレで無効化されないモンスター効果もあります。
具体的にまとめると
・フィールドで発動して効果解決時にフィールドに表側表示で存在していないモンスター効果
・墓地で発動したモンスター効果
・手札で発動したモンスター効果
これらの効果はスキルドレイン影響下でも無効化されることがありません。
要するに『効果処理を行うタイミングでフィールドに表側表示で存在していなければ』OKです。
無効化は自分・相手フィールドどちらにも適用されるため、何も考えずに使用すると自分の首を絞めかねないリスクを孕んでいますが基本的にそうはなりません。
なぜならこのカードを使用するデッキは『相手だけにデメリットを押し付けることを前提に組んでいる』からです。
古くからこのテキストを利用して様々なコンボに利用されたりしてきました。
下記にその用法の一例を紹介します。
①自分のデメリット効果を解除する
恐らく最も多くの遊戯王プレイヤーに認知されているコンボです。
可変機獣ガンナードラゴンや神獣王バルバロスといった『デメリット効果でステータスが下がるモンスター』のステータスはスキルドレイン影響下なら元々のステータス通りに修正されます。
これをメインギミックとして利用したデッキに【スキドレバルバ】【クリフォート】などが挙げられます。
クリフォートはテーマに属するモンスターがすべてレベル5以上の上級モンスターなのですがそのほぼ全員がリリースなしで召喚できる能力を持ち、その方法で場に出すと攻撃力が1800になるというデメリットを抱えています。
それをスキドレで打ち消すことでリリースなしで高ステータスのモンスターを並べられるというわけです。
②フィールドで効果を使用しないモンスターで固める
少し昔の遊戯王を遊んだことのある方にはなじみ深い使い方だと思います。
モンスターカードの中には『手札や墓地から効果を発動し、フィールドにいる間は効果を持っていないも同然』なカードも多々あります。
デッキのモンスターをこういったもので固めてしまい、自分が受けるデメリットを最小限に緩和して相手だけにスキドレの影響を押し付けるという使い方です。
これを目的にスキドレを採用するデッキは【暗黒界】【彼岸】【エルドリッチ】などが有名です。
③相手のモンスター効果を封殺する
コンボカードとしての使い方もありますが現代では『相手のモンスター効果を抑え込む』という目的で採用されることがほとんどです。
要するにメタカードですね。
先述の通りスキルドレイン1枚ですべてのモンスター効果を防げるわけではありませんがどのデッキもそうというわけもありません。
誇張抜きにスキドレ1枚で詰むデッキも存在します。
スキドレを使用するデッキのほぼすべてが①+③、もしくは②+③を目的として採用してます。
モンスター効果を無効化できるカードは他にも多々ありますがスキドレには他のそれらと明確に異なる点が2つ存在します。
それは
・場に存在する限りずっと効果が適用され続ける
・使う側にとってはメリットにもなり得る
後者に関しては前述の通りなのですが前者は現代遊戯王においては文字通り『桁違い』の影響力をもたらします。
なぜなら現代遊戯王は妨害効果が1枚につき1回の使い切りなことがほとんどだからです。
1枚につき1回の妨害が基本のカードゲームで『場に置いてあるだけで何もしなくても勝手に妨害し続けるカード』があるのはヤバいのがお判りいただけるでしょうか。
スキドレを除去できなければいくら強力なモンスター効果のテキストであろうとインクの染み同然です。
さらに先述した妨害カードも『モンスター効果への妨害』に比重が寄っていることが多く、それらのカードの大半もスキドレ影響下ではたいてい役に立たないのでデッキの半分がインクの染みがついた紙切れ同然になる事態も起こり得ます。
過去にも何度か話していますが現代遊戯王はモンスター効果が中心になっているゲームなのでそれを否定するスキドレは相性次第で相手に甚大な影響をもたらします。
この『相手への押し付け』こそがスキドレの最も強い要素になります。
風潮の変化
時折このカードの強みを一方的に押し付けるデッキが台頭するたびに『スキドレ規制しろ』とユーザーからのヘイトを集めて来ましたがそのたびに準制限もしくはお咎めなし、規制されても少し経ってほとぼりが冷めたら制限解除で済まされることがほとんどでした。
ですがこの風潮に変化が起きたのが2023年です。
この時2022年にリリースされたマスターデュエルの効果で遊戯王を遊ぶ人が増えたのですがリリース初期の環境デッキには【エルドリッチ】や【真竜】といったこのカードをはじめとした永続罠を複数枚採用するデッキが一定数おり、新規参入した初心者~カジュアルユーザーの多くがランクマッチで対面するそれらのデッキに対して『永続罠が強すぎて相手してて楽しくない』という声を上げたのです。
それについては我々もいろいろと思うところがありました。
個人的にPvPのゲームにおいて最も面白くないのは『自分がやりたいことをやらせてもらえないのに相手が一方的に好き放題している時』だと思っています。
スキドレに限らず『ルールに介入する永続罠』はこういった体験を加速させてしまう上、それらが複数枚使えることによって再現性が高まってしまうのはゲームとしては不健全と言わざるを得ません。
現代遊戯王は他のカードゲームとは比にならないほどにゲームスピードが速く『1ターン動けるかどうかが勝敗に直結する』といっても過言ではありません。
そんなゲームにおいてこれら永続罠で動きを封じられ、1ターンパスするのは事実上の追加ターンを与えるのとほぼ同義であり、そういった妨害系の永続罠が多様化してしまうと『先攻でやりたいことをやったら相手に永続罠で特殊ルールを押し付けて追加ターンを取れば勝てるゲーム』というのが結論になりかねません。
過去にも王宮の弾圧、虚無空間、王宮の勅命がこういった理由から禁止カードにされてきました。
そしてこれらのカードに対処するためのカードの採用が必須になってしまうとカードゲームの醍醐味の一つでもある『デッキの多様性』が損なわれてしまいます。
恐らくこういった事情から2023年以降は
・ルール介入型の永続罠の徹底規制
・除去カードの規制緩和
が行われるようになりました。
よってこのカードが環境に与えた影響は
・時代がインフレするにつれてこのカードが刺さる=負けの時代を本格化させた。
・過剰にゲーム性を損ねる汎用永続罠を規制する風潮を作り出した。
以上の二つになります。
現在
スキルドレインを採用するデッキは環境からは激減しましたが現在も主に【神碑】で妨害札として採用されています。
現在は1枚制限ですがスキドレを始めとしたルール介入型の永続罠は時代がインフレするにつれて勝手に強くなってしまうため、規制が緩和されることは恐らくありません。
今後の活躍次第では禁止カードにされる可能性はあります。
こういった永続罠にヘイトを抱えるユーザーも多いので真剣勝負の場でなければ使う前に対戦相手に確認を取っておきましょう。
次回予告
次回紹介するカードは『スケープ・ゴート』です。
ある時は最強の防御札、ある時は最強の攻撃札として存在感を見せてきた歴史ある1枚です。
お楽しみに。
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