英語字幕で楽しむおうち映画レビュー4「チャーリング・クロス街84番地(84 CHARING CROSS ROAD)
あー、狙ったわけじゃないのにまたロンドンものになってしまった。しかもまたアンソニー・ホプキンス。Netflixのおすすめにしたがって観ていくと、結局好みが偏っていくことがよくわかります(笑)でも、イギリス×古本屋×手紙がテーマと来たら、画面見ただけでクリックする・・・
1950年代始め、ニューヨークに住む女流作家ヘレーヌが、稀少な古本を探していて、ロンドンのある古本屋に手紙で注文を出します。マニアックな本もきちんと手に入り、なにより生真面目な店主フランクの対応が気に入り、なんども注文を出しては届くというやりとりが始まります。ヘレーヌは感情豊かで、求めていた版と違うといってブチ切れ手紙を送ったり、ロンドンの不況に同情して店員たちみんなで分けあえるように食料を送ったり、古本屋の店員もお礼を送ったりとあれこれやりとりをしていくうちに、手紙だけの付き合いは古本屋の他の店員や家族まで広がっていきます。いよいよ海を渡って実際に出会えるチャンスがめぐってきたのですが、とうとうその夢は叶わず・・・という、実話を元にした物語。
基本的に手紙のやりとりの文章で物語が進みます。なので、これ原作本で読んでもおもしろいだろうなあ!
感情表現豊かなヘレーヌのチャーミングさをアン・バンクロフトが好演。もちろんイギリス紳士な古本店主のアンソニーホプキンスなんて、はまり役すぎる。このキャラクターのコントラストが効いていて、この二人会えるの?会えないの?とドキドキしつつ、これが恋じゃないのがいいんだなあ。あくまでも仕事と、そこから生まれる友情と、見たことのない外国の人へのほのかな憧れだけがただよっていて。
そりゃ海外通販だって今は簡単だけど(コロナの今は簡単じゃないけど)、戦後間もない時期に、アメリカとイギリスで手紙と小包だけでやりとりするなんて想像を絶する。そのやりとりを、20年の歳月を時代の変化を背景にさりげなく見せながら、売れない女流作家がだんだん活躍できるようになったり、書店の老オーナーがなくなったり、店員が新生活で辞めたりする流れも追いながら、特に何が起こるわけでもなく、静かに進む映画。
オープニングから予想がつくように、もちろんハッピーエンドではない結末だけど、観た後は不思議と悲しくない。直接出会うことよりも、やりとりそのものが財産であったことを感じさせてくれて、実際に会うだけが絆じゃないんだなあと、人に自由に会えない今を優しく慰めてもらえる気持ちになりました。
個人的には、後半のフランクの奥さんの手紙には泣かされた。会ったことのない人にまで割り切れない複雑な思いを抱いてしまうのは、女性としてすごくわかるし、コンプレックスもわかるし。奥さんに関しては、「この人なに感じてるのかな?」ってわからない芝居が本編でずっと続いていた分、あの手紙で、その存在の意義が全て伝わります。
英語学習的には、最初のシーンなんかは、典型的な旅のトークで覚えておこう!って思ったんですが、始まってからの手紙文は、話し言葉ではないのでちょっととっつきにくいです。あと本のタイトル名とか内容もマニアックだし(笑)
会話が多い映画ではないので、掴みやすさという意味では掴みやすくない・・・でも、手紙文を文章でゆっくり読めたら理解できそう。ということは、これ学習的には映画でよりも本が良いのかも?と思いました。(実際一時停止しながら字幕読みました)
んー、でもそれこそ海外通販が難しいこの時期、マジで船便になったりしてるようなので、手に入れるのはむずかしそうですね・・・