全てがさらされる、生々しい実験劇場
インクルーシブアーツフェスで見た「ベイビーミニシアター」
児演協が主催して、15分のミニシアターを合計11組がオリジナルで作る試み。そのうちのまとめて見られた3作品。
今回はレポートにはならなくて、私的な感想を。
子どもたちが安全に安心してみる環境を大事にしているため、ベイビー作品は定員が制限されて、大人だけの参加者が入れる機会は非常に少なくて、今回は貴重な機会。
小さな子を連れて代々木オリンピックセンターまで来ることの立地的な大変さや、殺風景な体育館であることを考えると、やっぱりフェス向きというよりは、子どものいる現場に、作品が出かけていくことに意義があるように感じるけれど、この機会がないとけして見られないので、フェスさまさま。
作品自体は15分ずつと短いものの、このプロジェクトが始まる前から何年もベイビー作品に向き合って取り組んできた人たちと、始めたばかりの人たちとの差がどうしても見えるというか、当然のことながら始めたばかりの方たちはまだ発展途中で、作品自体も迷いや思い込み、固定概念などが、そのまんま赤ちゃんに向かってさらされる、生々しい実験劇場のような感じで、そのことがものすごく興味深くもあり、疑問でもありました。
すごく感じたのは、「演じる」ということがベイビーたちの前ではともすれば逆効果になること。うまく演じることよりも、演者がリアルに感じる感情がリアルに伝わっていること(楽しい演技で笑顔を作るよりも、本当に楽しむこととか)のほうが、子どもは明らかに反応をするんだということ。
そして、「演者と観客」という一方向の関係性だけではどうしても成立せず、こどもが別の子に興味を示すことや、周りのあらゆることにたくさん反応すること、その客席間の反応も含めて包摂した場を作らなければ、「赤ちゃんの過ごす場」としては不自然になってしまうこと。
即興性と作り込みのバランス、コミュニケーション取ることと取らないことのバランス、
きちんと意味づけることと意味を超えることとのバランス、そのバランス感覚こそがアーティストや作品の個性なのだなと思いました。
本当に繊細に丁寧に作っていくことと、大胆にそれを飛び越える事。
そんな作品作りをしたいな、とむくむく思う3作品連続上演でした。
・・・個別の作品の感想は、全体公開する勇気も必要もないと思うのと、感情的(笑)なので、有料クローズドにさせていただきます・・・
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