見出し画像

Jリーグ秋春制移行で生じる弊害は「○○」と「△△」!

 いつも野球の話ばかり書いていますが、今回はサッカーの話!Jリーグの秋春制についてです!

 今年30周年を迎えたJリーグですが、このところ「秋春制」の問題が話題になっていますよね!Jリーグは1993年の開幕以来、春に開幕する「春秋制」で開催されています!しかし、この年間カレンダーを秋に開幕する「秋春制」に変更しようという話です。

 何十年も前から議論されているJリーグの秋春制。忘れた頃に顔を出す秋春制。またですか?という感もありますが、今回はJFAが「7or8月開幕、5or6月閉幕」という具体案を挙げています!そうなると、今回ばかりはJFAも本腰なのかもしれません!

 でもね、私は思うのです……

秋春制に移行すると、日本の○○と合わないんだよ~!

【秋春制移行のメリットとは?】
 はじめに、なぜJFAはJリーグを秋春制に移行したいのでしょう?秋春制にすると、どんなメリットがあるのでしょう?

 一番の利点は、欧州の主要リーグとカレンダーが合うことでしょう!

 世界的に見て、現在のサッカーの最高峰が欧州のリーグであることは明らかですよね?その欧州各国の大半が、国内リーグを秋春制で開催しています!

 ちなみに欧州の主要5大リーグの年間カレンダーを見てみますと~⁉

プレミアリーグ(イングランド1部)
8月開幕→5月閉幕

ブンデスリーガ(独1部)
8月開幕→5月閉幕

セリエA(伊1部)
8月開幕→6月閉幕

ラ・リーガ(スペイン1部)
8月開幕→6月閉幕

リーグ・アン(仏1部)
8月開幕→6月閉幕

 ご覧のように、各国とも8月開幕→5or6月閉幕の秋春制です!この欧州の日程に合わせて、Jリーグも秋春制に移行したいわけです!

【カレンダーを合わせる利点は?】
 では、この欧州のリーグとカレンダーを合わせると、どんな利点があるのでしょう?

 それは「移籍」です!欧州とカレンダーが合致するということは、オフの時期も合致することになります!オフが合致すれば、移籍可能な期間も合致するわけです!

 Jリーグも秋春制に移行すれば、春に日程を終了したJリーガーが欧州に移籍して、欧州の開幕からプレーできるようになります!

 逆に欧州でプレーする日本人選手が欧州での日程を終了後に日本へ復帰し、J開幕からプレーできるようにもなります!

 それだけではありません!欧州の大物外国人らも所属クラブで全日程を全うした後に、日本へ移籍してJ開幕からプレーすることも可能になるわけです!

 現行では日本と欧州で年間カレンダーが合致せず、オフの期間もそろっていません。そのため日本と欧州をまたがって移籍する際は、移籍先の開幕に合わせて前所属先をシーズン途中で離れるか、逆に前所属先で閉幕までプレーして移籍先にシーズン途中から合流するか、どちらかにならざるを得ません!

 では過去の主な日本↔欧州の移籍例を見てみましょう。

Jをシーズン途中退団→欧州で開幕からプレー

三浦知良
V川崎(94年シーズン途中退団)→ジェノア(94-95年シーズン開幕からプレー)

中田英寿
湘南(98年シーズン途中退団)→ペルージャ(98-99年シーズン開幕からプレー)

長友佑都
FC東京(10年シーズン途中退団)→チェゼーナ(10-11年シーズン開幕からプレー)

❷Jにシーズン終了まで所属→欧州にシーズン途中入団

本田圭佑
名古屋(07年シーズン終了まで所属)→VVVフェンロ(07-08年シーズン途中入団)

吉田麻也
名古屋(09年シーズン終了まで所属)→VVVフェンロ(09-10年シーズン途中入団)

冨安健洋
福岡(17年シーズン終了まで所属)→シントトロイデン(17-18年シーズン途中入団)

欧州をシーズン途中退団→Jで開幕からプレー

パトリック・エムボマ
パリSG(96-97年シーズン途中退団)→G大阪(97年シーズン開幕からプレー)

稲本潤一
レンヌ(09-10年シーズン途中退団)→川崎F(10年シーズン開幕からプレー)

香川真司
シントトロイデン(22-23年シーズン途中退団)→C大阪(23年シーズン開幕からプレー)

欧州にシーズン終了まで所属→Jにシーズン途中入団

アンドレイ・イニエスタ
バルセロナ(17-18年シーズン終了まで所属)→神戸(18年シーズン途中入団)

ルーカス・ポドルスキ
ガラタサライ(16-17年シーズン終了まで所属)→神戸(17年シーズン途中入団)

フェルナンド・トーレス
Aマドリード(17-18年シーズン終了まで所属)→鳥栖(18年シーズン途中入団)

 ご覧のように、現行では移籍前か移籍後のどちらかでシーズン途中移籍となってしまいます。でも、Jリーグが欧州と同じ秋春制に移行すれば、こうした不都合も解消されます!

 オフシーズンがそろうと、日本人選手が欧州に挑戦するのも、外国人選手がJリーグに移籍するのもスムーズになるはずです!

 現状ではJリーグがオフの時期に、欧州はシーズンの真っ最中です!シーズン中ということは、欧州でプレーする選手は各クラブの契約期間中ですよね!なのでJリーグがオフの時期は、欧州の市場で獲得可能な選手も限られてしまいます!

 しかし、Jと欧州でオフシーズンがそろえば、契約の切れ目もそろいますよね!そうなんです!欧州とオフをそろえることで、欧州のクラブを契約満了となった選手を獲得しやすくなるんです!それが大きな利点なのです!

【秋春制のデメリット】
 しかし、日本ではJリーグの秋春制移行に根強い反対意見もあります。理由は「気候」、特に「雪」の問題です!

 ご存じの通り、日本は北部を中心に雪国があります。降雪地のクラブは冬場にグラウンドを使用できず、降雪のない地域とは練習量などの面で不利になります。

 現在の春秋制であればシーズンが降雪の季節に掛からず、雪国のクラブも大きく不利にはなりません。しかし、秋春制では冬場も試合を行うようになり、雪国のクラブは確実に不利になります(泣)

 現在、降雪量の多い地域に本拠を置くJクラブは以下の通りです。
J1=札幌、新潟
J2=仙台、秋田、山形、いわき、群馬、金沢
J3=八戸、盛岡、福島、松本、長野、富山

 上記のクラブは秋春制に移行すると、雪の影響を受ける可能性が高いと思われます。

 既に新潟や山形などのサポーターは試合時に横断幕を掲げるなどして、抗議の意思を示しています。雪国のクラブにとっては切実な問題でしょうから、反対するのはごもっともです。

【弊害は雪以外にも!】
 降雪も大きな問題ですが、それだけではありません!降雪と同様に大きな問題なのは…

日本の場合、秋春制では学校の年間カレンダーと合わないんだよ~!

 そうなんです!日本の場合、学校は4月入学→3月卒業ですよね?つまり春スタートです!高校にせよ大学にせよ、学校を卒業した選手がプロ入りしてプレーすることを考えると、Jリーグも春スタートの方がスムーズなわけです!

 対してサッカーが秋春制の欧州は、学校も秋スタートなんです!学校の年間カレンダーと合致しているのです!

 では欧州5大リーグと、その国の学校の年間カレンダーを並べてみましょう!

英国
プレミアリーグ=8月開幕→5月閉幕
学校=9月入学→6月卒業
ドイツ
ブンデスリーガ=8月開幕→5月閉幕
学校=8月入学→6月卒業
イタリア
セリエA=8月開幕→6月閉幕
学校=9月入学→6月卒業
スペイン
ラ・リーガ=8月開幕→6月閉幕
学校=9月入学→6月卒業
フランス
リーグ・アン=8月開幕→6月閉幕
学校=9月入学→7月卒業

 ご覧の通り、各国ともサッカーリーグと学校の年間カレンダーはほぼ合致します!これなら下部組織出身の選手も高校卒業後に、プロで開幕からスムーズにデビューできるわけです!

 学校を卒業して就職するのは、プロサッカー選手に限ったことではないですよね?学校を卒業すれば、みんな時を同じくしてそれぞれの進路へと羽ばたきます!つまり、欧州ではサッカーを含むさまざまな職場で新卒者が秋に就職するのです!社会全体が秋スタートになっているわけです!サッカーが秋スタートになっているのは、その一部に過ぎないのです!

 翻って日本はどうでしょう?日本では学生が3月に卒業を迎え、4月から社会人生活を始めます。そう!日本は社会全体が春スタートなのです!なのに、サッカーだけが欧州を模倣して秋スタートにしても、社会のカレンダーにフィットしないのです!

【学校以外にもデメリット】
 Jリーグの秋春制移行で考えられるデメリットは、学校のカレンダーとの不一致だけではありません!さらに考えられるデメリットは……

スポンサーの広告予算が計上しづらいのでは~⁉

 Jリーグのクラブには数多くのスポンサーが広告を掲出しています!NPBのように親会社の傘下にあるクラブは少数で、複数のスポンサーから協賛を集めて資金繰りしているクラブが大半です!なのでJリーグのクラブにとってスポンサーからの広告は非常に重要です!

 ユニホームを見ても広告がいっぱいですよね!メインの胸スポンサーに加えて背中や袖にもスポンサーがプリントされています!

 さらにはユニホームスポンサー以外にも、試合時のピッチ脇に広告ボードが設置される「クラブパートナー」もあります!

 こうしたJリーグのクラブに広告を掲出している各企業は、当然ながら広告費を予算から計上しているわけですが、そうなると……

秋春制でシーズンが年度を大きくまたぐと、広告費も予算組みしづらくなるのでは~⁉

 広告費に限らず、企業の各種予算は年度ごとに策定されますよね!人件費や交通費、出張費なども含め、年度初めまでに予算組みされるのが一般的です!

 Jリーグのクラブに広告を掲出する企業なども、その広告費を念頭に置いた予算組みを4月までにしたいわけです!そう!企業の広告予算も春スタートなのです!

 そうなると広告費も秋春制より、日程が年度にほぼ合致する春秋制の方が予算計上しやすいのではないでしょうか?各クラブも秋春制より春秋制のままの方が、スポンサーから広告を獲得しやすいのではないでしょうか?

 前述した学校のカレンダーと同様に、企業も春スタートなんですよね!学校も企業もひっくるめて、日本は社会全体が春スタートにできているのです!春スタートで構築された社会の中でサッカーだけが秋スタートに移行しても、結局は日本社会のカレンダーにフィットしないのではないでしょうか?

 では改めて、私の心の叫びをお聞きください!

秋春制に移行すると、日本の社会全体の年間カレンダーと合わないんだよ~!

と、素人ジョシは思うのでした!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?