映画「鈴木さん」こんなにも美しいところ
映画「鈴木さん」を見ました。映画館に行かずとも見られます(有料)。
とある「美しすぎる国」。カミサマを崇め奉り、結婚と子孫繁栄が推奨される。
45歳を過ぎて未婚だと市民権を失い、街から出るか入隊しなければならない。
「私やん」と思って見ましたが、終始どんなホラーよりも気持ち悪い映画でした。
主人公のよしこさんはもうすぐ45歳で、経営している介護ホームの存続が危うくなっています。
そこへ、謎の男「鈴木さん」が迷いこんできます。よしこさんは「ここで生きる」ために彼との偽装結婚を企てます。
彼の正体はなんとなく見てる人には分かるんですが、物語中では気づかれません。
「異質なもの」をデマを流してでも必死で排除しようとする行動、そしてその行動を正義とする民衆。
まさに現代そのものです。
多様性を認めよう、と言いつつ自分は多数派でいたい人々。
私は直接的な言葉で「なんで結婚しないの?」とか「結婚しないと不幸だよ」などと言われたことはまあ、あんまりありません。ゼロではないが。
しかし、社会から受け取るメッセージ・・・「結婚」=「安心」「信頼」みたいなものには大いに傷つけられ、生き辛く感じていました。
正直、この映画で何かしらこう自分の生き方が肯定されたり、安心できるようなことになるのでは・・・と淡い期待を抱いて観ましたがあんまりそんなことはなかったです。
やっぱりみんなそうなんだよね、という絶望。自分を守るためには暴力すら辞さなくなる狂気。
ただ、よしこさんと鈴木さんは一緒にうどんを食べたり、アイスを食べたりするだけで、直接触れ合うこともなかったのですが、それでも気持ちは通じていたんだな、となんとなく分かるのが救いかもしれません。
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